あらすじ
高校一年生の水無月六花は、最愛の父が死の間際に残したひと言によって生きる理由を見失う。
だが十六歳の誕生日、本家当主と名乗る青年が現れ、“許嫁”の六花を迎えに来たと告げた。
「僕はこんな血の因縁でがんじがらめの婚姻であっても、恋はできると思っています」。
彼の言葉に六花はかすかな希望を見出すーー。
天女の末裔・水無月家。特殊な一族の宿命を背負い、二人は本当の恋を始める。
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Posted by ブクログ
「当主」「許嫁」「あやかし」
気が付いたら
当たり前のように理解できるくらいに
日常というか読書に溶け込んでるなぁ。
最初は古風なストーリーと思ってたのに
今は読みたくて仕方ないくらい
好きになった時代設定なんだよ。
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まず水無月家が
月より降り立った天女の末裔ってのが
現実離れしてるのに
かぐや姫の竹取物語に沿ってるから
背景がすんなり入ってくる。
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六花と母親・双子の姉が
水無月家の本家で対面した時に
母親から散々な言われようで
目を反らしたくなるくらい苦しかった。
でも六花はその境遇だったから
水無月家の本家に来てから
ほんの些細なことでも幸せを感じられるし
戸惑いながらも文也を好きになっていくんだよね。
そして文也は当主になるべく
虐待紛いの教育を施されているし
予言で六花の存在を知っているから
常に自分の存在意義を
考えざるを得ない環境だった。
それでも六花の存在が
文也の希望に繋がっていたなんて
次期当主の自覚とか関係なく
本当に優しい人なんだろうなぁと思った。
そのあとで六花の境遇を知って
より六花を守りたい存在になってるのが
日常の六花に対する姿勢から伝わってくる。
そんな六花と文也だから
お互いの存在が必要で大切で
生きていく為には必要不可欠な関係だと思う。
六花と文也の関係性が進展していくのが
なんとも微笑ましいし
政略結婚から恋愛になるまでの
ふたりの内面が垣間見れて
本の世界に入り込みながらキュンとする。
血に雁字搦めの許嫁なのに
その中でどう幸せの形を見つけて
家族になっていくのか楽しみ。
Posted by ブクログ
おなじみのあやかしとの関わりもあるけど、人外?の血を引く一族の因縁など、面白くて一気に読んだ。これからどうなっていくのか不安もあるけどみんな幸せになってほしい
Posted by ブクログ
すっごいよかった・・・。たまに文章がアレ?と思うところもあり、ラノベに不慣れすぎて途中で何回かやめようかなぁと思うパートがあったけど、最後まで読んで本当によかった。早速2巻もすでにゲット済み。
竹取物語と羽衣伝説を下敷きにしている物語らしく、すごく厚みのあるストーリー。題材をしっかりと使って、作者オリジナルのなかにちゃんと落とし込めているところが素晴らしい。ラノベでも侮らずに読んで欲しい作品。最終的に六花ちゃんと文也くんは結婚するんだろうけど、あとがきで2巻から分家の暴走が開幕する的なことが書いてるから、一筋縄ではいかないんだろう。ストーリーや設定がとにかく楽しい。京都や妖がたくさん出てきて、森見登美彦氏が好きな人ならばがっつりハマるんじゃないかと思われる。
今年読んだ作品の10位以内には間違いなくランクインするであろう読み応えのある作品だった。
Posted by ブクログ
Tさんのおすすめ。
出たな、手毬河童。
といっても亜種らしいが。
父子家庭だった六花は父に死なれ一人になってしまった。
父の四十九日の法要の日に現われた青年文也は、
はとこであり、水無月家の当主にして、六花の許嫁だと自己紹介する。
母親には虐待された過去があり、頼る身寄りもない六花は、
ありがたく思って、京都嵐山の水無月家に暮らすことにする。
父親が愛する女性と結婚するために飛び出した水無月家は、
天女の末裔といわれ、特殊な力を持ち、貴重な月のものを管理し、
現在絶賛遺産問題で係争中だった…。
全体的にちょっと暗めな印象はあるが、
落ち着いた感じで面白かった。
六花が七夕にレシピを見つけ作ったちらし寿司が、
文也たちの母親の味だった場面が良かった。
Posted by ブクログ
六花も「鳥居…」の千歳もそうだけど、友麻さんの作品には、親から愛されなくて自尊感情が低い主人公がとても美味しそうなご飯を作る。
素朴だけどきちんと丁寧なご飯は美味しそうで、主人公の人柄を感じられて、読んだら食べたくなっちゃいます。
今の六花にとって文也達と皆で一緒に囲む食卓は、お互いを知り絆を深める行為でもあるんだろうなと感じます。
竹取物語や羽衣伝説をモチーフにしたお家騒動であり、文也と六花の許嫁という古い因習から始まる恋愛物語であり、心の成長物語でもある。
とてもクセが強めな水無月家の人達ですが、六花の母親もかなり拗らせた毒親です。
不穏な空気を醸す水無月一族に、悪気無さそうな顔をして何かヤラかしそうな六美も気になる所。
今後の展開が楽しみです。
Posted by ブクログ
母は毒親だし、父も最期に最悪の言葉を吐いて去ったため、肉親からの愛が圧倒的に足りていない六花。
そんな彼女の次の居場所が、暖かい場所でよかったと思う。
文也の弟、妹は好意的に受け入れてくれたし、祖母もやり口はさておき、ちゃんと立花を受け入れてくれた。
例え、今の居場所は水無月家の争いの只中にあり、命の危険性さえあったとしても。
羽衣伝説に輝夜姫、月絡みの伝説を交えつつ、ノアの方舟的話も登場する作中の設定が興味深かった。
ファンタジーでもあり、SF的でもあり。
舞台は京都の嵐山だが、貴船で見た天の磐船を思い出すようなシーンもあり、個人的に京都の空気を感じた瞬間だった。
マニアック。
政略結婚(婚約)ながら恋を始めた六花と文也。
今回は二人の関係性が少し進んだところまでで、お家騒動の件は始まったばかり。
分家の人間たちはややこしそうだし、二人が精神的に落ち着けるのはまだまだ先になりそう。
シリアスな雰囲気ながら、笑えるシーンやほっこりできる場面もあり、読みやすかった。
カレンさんの竹を割ったような性格と月鞠河童たちが特にお気に入り。
満足でし!(口調うつった)