あらすじ
27歳の朋絵は、同僚にプロポーズされたのを機に、2年越しの不倫相手である上司と別れる決意をした。しかし、最後のデートを後輩に目撃され…。ラストのどんでん返しが鮮やかな「無邪気な悪魔」ほか、恋愛短篇小説の枠におさまり切らない迫力の全8篇! 男女間の、もはや愛とは呼べない黒々とした感情、女同士の底なしの嫉妬や裏切り、優越感など、生身の女の怖さをリアルかつ不気味に描き出す。タイトル通り、読んでいて息がとまるほどゾクッとくる、濃密な傑作短篇集。
...続きを読むこんな女性が近くにいたら…と想像しただけでゾッとしてしまうほど女の怖さが描かれた短編集です。この作品の特徴は、読み終わってから読者にその先のストーリーを想像させてるところです。全てを描き切らず、あくまで読者にゆだねる。ゆだねられた読者のほとんどは同じ想像をするのだと思いますが、こんなにも想像する力を必要としなくとも推知出来てしまう面白い作品です。短編作品の中で「無邪気な怖さ」は、どんな女性でも一度は経験があるのではないでしょうか。ストーリー中にその「無邪気な怖さ」をこれでもか!というくらいのゾッとする展開で描かれて言います。自分が同じ立場に立たされたら・・・作品の終わりがわかってきたとき、読み進める度胸がなかったらその箇所だけ目をつぶってしまいます。
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Posted by ブクログ
短編小説。8話。
無邪気な悪魔
ささやかな誤算
蒼ざめた夜
女友達
残月
雨に惑う
一夜まで
あね、いもうと
「あね、いもうと」は、明らかに恐怖小説。一部推理小説のように終わりが読めなかったものがある。
登場人物の性格に共感できない。著者が書いている人間の心理、人間であることとは何か、については勉強になる。
Posted by ブクログ
唯川さんの不倫話はやはり面白い。物語が終わるごとに「うわ……」と思わず口に出してしまうほどだ。
「女友達」は女の怖さをよく表している話だった。浅子が会社の部下から「痛い」と呼ばれるのも、プライドが高く自分に高い価値があると思い続けるのもすべて佐智の思惑通りだと思った。佐智は高校時代の頃から、浅子が気に入らず時間をかけてゆっくり浅子を支配してきたと思うとゾッとする。女の執念深さは底知れない。
「残月」は女のプライドを踏み躙られる話だなと思った。
年下の男と付き合う際、母親と同一視されることが1番堪えることだと思う。相手も何の悪気もなく言っているのだから、さらに傷つく。若さとは最大の武器であることを見に沁みてわかった。
Posted by ブクログ
いずれも30代になった女性を主人公にした、短編集。ミステリーとホラーの間・・という装いではあるが、読みなれている人には最初の2・3ページで結末はわかると思う。個人的には裏にあるかもしれない悪意を正面から書かなかった「女友達」が一番。逆に最後に収録されている「あね・いもうと」は始まった瞬間からオチがわかる内容で少しがっかり。
なんでこの本を読もうと思ったんだっけ・・と振り返ってみたら、一年ほど前に自分が読んでいるblogで「怖い」と紹介されていてwish-listに登録されていたのであった。確かに怖いは怖いのだが、それって結局男性から見る怖さであって、女性の視点からは怖さだけではなく共感なんかもあったりするのかもしれない。そこに共感があるということが、また男性からしたらより怖いのだけど。