あらすじ
どうすればよりよく読めて書けるようになるか.何に気をつけどんな姿勢で文章に向かえばよいのか.練習問題に答えながら,単語に敏感になる習練から始めて,文の組み立て,文章の展開,敬語の基本など,日本語の骨格を理解し技能をみがく.学生・社会人のために著者が60年の研究を傾けて語る日本語トレーニングの手順.
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この本は、国語学者で学習院大学名誉教授の著者が記した日本語トレーニングの書で、練習問題を交えながら日本語の細かなニュアンスの差異が解説されています。
「思う」と「考える」、「しっかり」と「大丈夫」、のように類似する単語の微妙な意味合いの違いから、「が」と「は」など一見すると違いがなさそうな助詞の使い分けまで詳しく解説されています。
『日本書紀』や『源氏物語』、夏目漱石や森鴎外など日本の古典を引用しながらの考証も豊富で、どんどん読み進めることができました。
以下は言語の能力があるということ、良い言語生活を営むということについて著者が述べた部分の引用です。
言葉を学ぶ意義とそのおもしろさは、まさにこれに尽きるなあと感じました。
「語彙を七万も一〇万ももっていたって使用度数1、あるいは一生で一度も使わないかもしれない。だからいらないのではなくて、その一回のための単語を蓄えていること。」
Posted by ブクログ
日本語を深く読むため、いい文章を書くために、何に気をつければいいのかが書かれている。トレーニング方法が練習問題とともに紹介されている。普段使っている日本語の奥深さを知ることができた。
Posted by ブクログ
p123の読書感想文の話は、なるほどなと。感想よりも、精確に読み取る練習、文章を読む眼力を鋭く、かぁ。
たくさん読むこと、縮約。p114の縮約は実践したい。そのうえで、p136の手順をなぞって文章を書きたい。2024/9/14(土)
Posted by ブクログ
水泳ができるようになるためには、練習が必要であるように、文章についても、初心者である方にも日本語の練習が必要である。そのための『日本語の練習帳』を用意したとのことです。
気になったことは以下です。
単語に敏感になる
・考えるとは、理性的な働きで、思うとは感情的なものである
・思い込むとは、一つの考えを心にもったときに、それ1つを固く信じて他の考えをもてないこと
考えこむとは、問題に関わって、あれこれとしきりに考えをめぐらして止まらないこと
似たような言葉をならべると微妙にニュアンスが違う。それを知るには、辞書をたくさん引いてその単語を調べること。
助詞の使い方 「は」と「が」の使い方、どう違うのか。
日本語文法のアプローチ。そもそも「文法が必要なのは、知らない言葉(言語)を学ぶとき」
文章は長いより短くする 区切るとセンテンスが明確となり、言葉が鮮明となる
文章をわかりやすくするコツ
① 「のである」「のだ」を消せ
② 「が、」を使うな
縮約と要約の違い
各段落ごとに要点をまとめてそれをひとまとめにするが、縮約
文章全体の骨格と論旨、要件を集約してまとめるのが、要約
大事なのは、わからない言葉があったら、辞書などをつかって調べておくこと
文を書く上での要旨は、メモとしてまとめることができる。文を書くためには
① 頭にある事項を思いつくままにばらばらにメモに書きつけてみる
② それをできるだけ細かく書く。雑多な項目を眺めて、どれを最初に次に何をと、見定め、項目に番号を振っていく
③ その途中で、ある項目についての準備不足、知識不足、考察不足が見えてくる。その内容をもとに不足な材料を集める、調べる、考える
④ 書き上げた内容のまずいところを修正する。つぎに、自分の内容の要点を項目として、順に書きあげて並べてみる。すると順序が逆になっている、錯綜してることに気づく。それを整える
文章を書くにあたって、求める限り、短く、細かく小分けに分割する
目次
まえがき
Ⅰ 単語に敏感になろう
Ⅱ 文法なんか嫌い 役に立つか
Ⅲ 二つの心得
Ⅳ 文章の骨格
Ⅴ 敬語の基本
配点表
あとがき
ISBN:9784004305965
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:215ページ
定価:780円(本体)
発行年月日:
1999年01月20日第1刷発行
2018年06月15日第62刷発行
Posted by ブクログ
【あなたは、日本語の文法を意識したことがあるだろうか】
上記の一文における「は」と「が」の役割を説明できますか?
私はできなかったし、自分で考えてみてもしっくりした答えは思い浮かべられなかった。本書には書いてある。是非読んでみてほしい。
本書は実践的に日本語の文法を学んでいくスタイルである。
詳しい説明は省略する。
私の思いが言語化されたと思うほど府に落ちた記述が本書にあったので、ここで要約して共有したい。
自分の思いをaと表現したとき、相手がa`と受け取ったとしたら、それは相手がa`と取り得るように表現した自分が悪い。相手が分からないといったら、分からない表現をした自分が悪い。相手がaとして受け取るように、自分が努力しなければならない。
そういう行為が語学なのだ。
Posted by ブクログ
タイトルからは、想像できない内容であった。
日本語の奥の深さを改めて感じることができ、とてもおもしろく読ませていただいた。
なかでも、執筆のアプローチについての内容が印象に残った。
要約すると、『① 頭の中にある事柄を、思いつくまま書き付け、② どれを最初に、次に何をと見定める。③ 途中で準備・知識・考察の不足が、ここかしこに見えてくる。不足な材料を集め、調べ、考える。④ 内容の要点を項目として順に書きあげると、順序が逆、あるいは錯綜に気づく。それを整える。』というものだが、これはアイデアの作り方や発想法のアプローチと同じだ。
また、『作品を書き上げて、半月くらい箱に入れておいたあとでするといい。その頃になると自分の文章を客観的に見ることができるようになります。』ともあった。ますます同じであるなと感じた。
知人は、プログラムミングのコード記述には個人差があるといっていた。上手い人が記述したプログラムはエレガントであると。
文章もデザインであると思うし、この書籍にはエレガントな文章を書くためのヒントがある。
日本語=表現豊かな言語が母国語であることを少しありがたく感じる書籍だ。
Posted by ブクログ
皆さんは「思う」と「考える」の違いを説明できるだろうか。「通る」と「通じる」、「嬉しい」と「喜ばしい」の意味を正しく理解して使い分けているだろうか。「大丈夫」の使い方を間違えてはいないだろうか。
私達は日本語で本や雑誌を読み、文章を書いている。コミュニケーションをとるのもほとんどの場合は日本語だ。それでも日本語を完璧に使いこなしていると自信を持って言える人は恐らくいないと思う。日常生活に支障はなくても、例えば参考図書として色々な本を読むときは、込み入った文章をもっと容易に理解できるようになりたいと感じるだろうし、レポートを書くときは、適切な表現を使ってもっと良い文章を書けるようになりたいと思うだろう。そんな学生や社会人のために書かれたのがこの『日本語練習帳』だ。練習帳なので、問題があり解答と解説が示され、自分の解答に点数も付けられる。繰り返し解いているうちに、読み書きをする上での考え方や技が身に着き、日本語の特質もわかってくるように工夫されている。
著者は『岩波古語辞典』などの編纂も手掛けた国語学者で、日本語について多くの本を著している。その中の1冊である本書は1999年に出版され、190万部を超える大ベストセラーとなり日本語ブームのきっかけをつくったものだ
単語の形と意味に敏感になる事、文法を理解すること、文章の骨格を見極めて要旨をつかむこと、敬語や謙譲語の成り立ちを知って適切に使う事などが日本語の基礎となる。
日本語文法で大切なことのひとつが「ハ」と「ガ」についての理解だ。「私は大野です」と「私が大野です」、「花は咲いていた」と「花が咲いていた」など、意味の違いをうまく説明できなくてモヤモヤしていた「ハ」と「ガ」について、著者はその文法的な役割を解説し意味の違いを明確に論じている。まさに目から鱗が落ちる思いだ。
文章の骨格をつかむ練習のために、1400字で書かれた新聞の社説を、論旨を損なうことなく400字に縮約し、更に200字に要約して見せた解答例は見事で、著者の文章に対する鋭い感覚と巧みな技には敬服せざるを得ない。本書は日本語の豊かさとそれを深く学ぶことの楽しさを教えてくれる。
骨董の目利きになるためには、まず一流品を見続けなければならないのと同様に、日本語の優れた使い手になりたいと思うのなら、言葉に対してセンスが鋭い優れた小説家、劇作家、詩人、歌人、学者の作品や文章を数多く読んで文脈ごと言葉を覚えるのが良いというのが著者のアドヴァイスだ。多くの優れた文章に触れれば語彙も豊富になり、日本語を使いこなす力も上がるだろう。言葉に対して鋭い感覚を持ち、深く文章を理解し、良い文章を書き、正しい言葉づかいで話すという能力は、これから大学で学び社会に出ていく皆さんにとって大きな強みとなるはずだ。
Posted by ブクログ
非常に学ぶことの多い書物だった。国語という科目を久しぶりに学んだ気がする。国語を今なら楽しく学べるかもしれない。
学んだこと
・「〜は」「〜が」を同じと思わないこと。
・「〜である」「〜のだ」を多用しないこと。
・「〜だが、〜」を回避する。
英語は主語に続いて動詞がくるので話の行き先が早く明示されるため、文章が長くても伝わる。それに対して、日本語は終結をずるずると引っ張っていく傾向にあり、文章は短い方が明瞭に伝わりやすい。
このようなことから、英語が読みにくいことにもつながっているのかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
良い読み手・書き手になるには
→良質な文をまずは読むこと.
引き出しを増やさないと.
不適切な言葉に対する違和感をそもそも持てない.
骨董品屋になるには,一流品をたくさん見ないとなりようがない.
適切とは言えない表現は何からくるか
→適切な語彙を知らない
→事実を観る眼が曇っている
新聞で1年間のうちに使われる単語の数は30,000。だけどそのほとんどが登場回数一回。
生活に必要不可欠な言葉だけであれば三千程度。
言語生活を営む者であればこの年に一度目にするかどうかわからない単語を収めていざという時に引き出せるかどうかが問われる
「は」の働き→「一つのことを取り上げて、他の同類と比較する」が本質
①問題を設定しその下に答えが来ることを予約する
山田くん"は"ビデオ視聴が大好き。
→"は"の文を理解するには文末に注目。
山田くんは→大好き
②対比
一方佐藤くん"は"野球が好き。
③限度
ケーキを6時に"は"持ってきてください。
④再問題化
美しく"は"見えた
訪ねて"は"来た
→再審をにおわせる
文章の難解さはセンテンスの長さに比例する。
「が」の働き
①名詞と名詞をくっつける
「は」→文末と呼応
「が」→直後の名詞句と呼応
私"が"田中くんに約束の時間"は"3時と伝えたの"は"、佐藤くんからその時間を聞いていたからだ
→が:直後の名詞句との接続
→一つ目のは:限定
→二つ目のは:話題(伝えたのは)にたいする答え(聞いていたからだ)
②現象文を作る
花が咲いていた
鍵が見つかった
→現象の描写
→①と違い、"が"の直後が動詞
花は... →すでに話題になっていた"花"に対する答え
花が... → 新発見、新情報、新知識
A...が、B
逆説→ 晴れているが、寒い
留保 → 彼は試験勉強に励んだが、試験予定日までまだ日があったので...
→いずれにせよ「が」の後ろに文章の本体たる内容がくる。→読み手をもったいぶらせる書き方→わかりづらい→「A...が、B」は避けるべし。
のだ、のである
→お前の知らないことを教えてやる。ここはことさら大事な内容であるというニュアンスを含む(一般的には断定)
縮約・要約
新聞記事の縮約は良い作文練習になる
丁寧語、尊敬語、謙譲語、美化語
Posted by ブクログ
要約筆記の講師の人からお薦めいただいた本。だいぶ前にベストセラーになった本らしい。いかに読みやすく、正しい文章にするかがテーマ。印象的なのは、『は』と『が』の使い方の説明。『は』に続く術語は、もちろん近いところにと、今まで意識していましたが、より意識しないとと思いました。ほかにも敬語のことなど、普段それほど意識することなく、使っている表現を論理的に、解説していて、興味深く読めました。
Posted by ブクログ
本をよく読むようになって、おかしな文章に違和感を持つようになった今、これを読んで、何がどうしておかしいのか、理解できるようになった。「味は口と未の組み合わせで、未は~」などの説明に、日本語のひとつひとつの単語に意味があることを気づかされた。(本間)
Posted by ブクログ
この本は、語の意味の中心を的確に把握し、それを表現するための方法論である。
著者は『岩波古語辞典』の制作に長く携わってきた。これは言葉(や概念)の中心的な意味をひらすら掘り下げ、掴み取った単語の特徴を文章で説明する仕事に従事していたと言う意味である。
そんな経験から打ち出された文章によって次々と、今まで感じていたモヤモヤを言語化し思考をクリアにしてくれた。
言葉に対して敏感になるために日本語と向き合ってきたからこそ、本質を掴み平明に表現できるのだろう。
必要な状況に応じて、ぴったりな言葉を選び取り表現する。本書はその訓練の方向性を確かなものにした。
Posted by ブクログ
すぐに活かせるのか難しいですが、文章の骨格を作るため、アイデアを羅列し、整理する。
そして推敲すること。
頭の中だけで組み立てないで、書き出して整理する手間を惜しまないのとが、逆に早く文章を作り上げるコツなのかもしれないと思いました。
Posted by ブクログ
日本語の「は」と「が」の違いについての
説明はかなり奥深い。文法としてこの項目だけで
40頁以上も使って説明されている。それだけ
日本語の「は」と「が」は難しいものなのだろう。
他には単語の意味(「考える」と「思う」の
違いなど)に敏感になること、
文章を書くにはまず読み馴れること、
文章を縮約(文章全体を縮尺してまとめる)すること、
などが勧められている。
Posted by ブクログ
言葉づかいの適切かどうかの判断は、それまで出会った文例の記憶による。
だから良い文章にたくさん触れることが大事。
"は"と"が"の使い方は簡単そうに見えて奥が深い。
日本語は西洋に比べて、人をけなす言葉が少ない。
とのこと。このことが国民性を表しているのかもしれない。
もっと日本語を丁寧に考えて使う。
また我々が日常的に使う言葉の数自体が過去に比べて減っているとのこと。
言葉は文明を表す大きな要素であるから大事にしたい。
Posted by ブクログ
日本人なら日本語を話す(書く)ことができると思いますが(大坂なおみのように日本人でありながら海外生活が長く英語の方が堪能なケースもありますが)、日本語を使いこなすことができる人はどれだけいるでしょうか。
例えば、「はっきりとした」を意味する言葉として「明白な」「明確な」「明晰な」「鮮明な」などがあります。
文脈によって的確な言葉を使うことで、「はっきりとした」では表しきれない、奥深さを伝えることができます。
本書は、このような事例を交えながら、日本語の奥深さ、表現の豊さを説くなど、参考になる箇所満載です。
Posted by ブクログ
本をよく読むようになって、おかしな文章に違和感を持つようになった今、これを読んで、何がどうしておかしいのか、理解できるようになった。「味は口と未の組み合わせで、未は~」などの説明に、日本語のひとつひとつの単語に意味があることを気づかされた。
Posted by ブクログ
日本語は天然自然に伝わるものではなく、
伝えたいことを正確に伝えるためには、一義的な日本語を使わなければならない。
仕事でも行きてく上でも読んでおきたい一冊です。ハとかガの意味なんて、初めて考えました。
#読書 #読書記録 #読書倶楽部
#日本語練習帳
#大野晋
#2017年35冊目
Posted by ブクログ
社内の上司がおすすめしていたと知り、手に取ってみた。
日本語の練習をするための本。中には課題が織り込まれている。
単語から文の組み立て、文章の展開、敬語について書かれていた。こういう考え方があるのかと参考になった。
Posted by ブクログ
単語の使い方(「思う」と「考える」、「嬉しい」と「喜ばしい」の違いなど)や「は」と「が」の働きなど。
敬語の項では「ポリの野郎がきやがりましたぜ。」を例文にあげて、「話の中身」の警官には侮蔑的な扱いを、「話しかける相手」としての親分にはマシタと尊敬の意を表現しているという解説が面白かったです。
使う言葉に少し気を使うようになりました。
Posted by ブクログ
「考える」と「思う」、「は」と「が」の違いや、文章の書き方、敬語の使い方など、日本語のより良い使い手になるためのエッセンスが詰まっている。一般的に日本語は他言語に比べて難しいと言われている。本書を読むと何故難しいのかの理由の一端を伺うことができる。
Posted by ブクログ
大野晋さんの名作。
何度読んでも、新しく気づかされる。
◯「思うと「考える」の違い
「思う」はひとつのこと 、「考える」は複数を比較すること。
◯「うれしい」と「喜ばしい」の違い
個人的な満足と、社会的な慶祝・お礼。
◯「通る」と「通じる」
向こうまで見渡せること、太い道。細い道を通すこと。
◯「最善」と「最良」の違い
善行と良質と覚える。善は行為に、良は質に。
◯「は」と「が」
「は」問題を出して、その下に答えが来ることを予約。
「は」は対比。
「は」は限度。
「は」は再問題化
「は」は取り立てる、とりわけ。
「が」は、名詞と名詞をくっつける。
「が」は現象文。
「は」は問題を提示し、下で解答を示す。
「が」は新事実を写生する。
◯社説を縮約する。次に要約する。
◯敬語についても示唆に富む。
Posted by ブクログ
ハの働き①問題トピックを設定して下にその答えが来ると予約する
必ずその下に新情報ないし答えがある
ハの下の答え(新情報)はどれかと求めるのが、日本語の文章を読むコツです。それは基本的にはその文章の結びの一句です。49ー50p