【感想・ネタバレ】言語が違えば、世界も違って見えるわけのレビュー

あらすじ

古代ギリシャ人は世界がモノクロに見えていた? 母語が違えば思考も違う? 言語と認知をめぐる壮大な謎に挑む、知的興奮の書!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

いろんな興味深い例が紹介されてて面白かった。

言語の違いは色、ジェンダー、空間の認識に対して影響を与えるようだということがいくつかの実験をもとに紹介されている。
かつては他言語の概念理解や思考にも制約がかかると考えられていたが、現在は否定されている。
ただし脳の働きを調べる手法が未発達なので、わかっていないことも多い。

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2025年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルに「わけ」と入っているが、実際には理由までは切り込めていない。むしろ、言語が認知に関わるということ自体が、(意外にも)科学的には最近分かりはじめたばかりらしい。
タイトルと中身がずれているので、読む前に期待していた内容とは違った。面白かったけど。

鏡としての言語とレンズとしての言語の二本立てとなっている。すなわち、前者は言語が外界の認知のしかたを反映するというもので、後者は逆に、外界の認知に言語が影響するというもの。
本書の主題は後者なのだけれど、歴史的経緯もあって、まずは前者が紹介される。特に、グラッドストンによるホメロスの詩をはじめとする、古代の文章の色にまつわる研究が詳しく紹介される。古代の詩には青に相当する色が登場しないそうで、たとえば葡萄酒色(ワインレッド)の空などと表現される。このことから、当時の研究者は、古代の人々は青が見えていなかったのだ、と推論した。これは誤りだったと後に分かるのだが…。ただ、誤りであることもそれなりの驚きがある。私たちと同じように青色が見えているにもかかわらず、青を示す語彙が生まれないというのは、一見すると信じがたい。
ただ、古代の人々が青を見えなかったという主張は、一部の少数民族の言語と色彩感覚の研究から否定される。実際、少数民族などの言語には、黒、白、赤の3色の基本語彙しか持たないものがあるという。(どの言語でも黒白赤が最初に現れて、青は最後になるらしい。)とはいえ、彼らは青を正しく識別することができた。また、子供が色を独立した概念として認識できるのは、他の物の認識よりも相当遅いとのこと。人間にとっての色の認識は、私たちが思うほど当たり前のものではないのかもしれない。

青の語彙を持たない言語を話す人でも青を認識できないわけではないし、未来時制のない言語でも未来の話はできるから、言語と認知の関係については否定的な見方が主流になっているらしい。ここまでが前半部分。
著者はそこに異を唱え、言語が認知に影響する事例を紹介する。ただし、過去の見方とはある意味逆で、言語のできることではなく、言語がしなければならないことに着目する。「時制のない言語は過去や未来を語れない」という主張は誤りだが、代わりに「時制がある言葉は話し手に時制の認識を強いる」と考えるという具合だ。
例として、我々とは異なる空間認識をする言語(あなたの前にと言う代わりにあなたの北にという)、ジェンダーをもつ言語による認識の歪み(男性名詞・女性名詞というのが生物学的性とこうもズレるということに驚いた)、色の認識を挙げている。

色にまつわる前半部分の記述など、細かい歴史的な経緯がかかれている。興味深くはあるものの、本書の主題からすると前置きにあたる内容なので、もう少しコンパクトでも良いのかなと思った。
人間の脳には、言語の種類によらない普遍文法を理解するための仕組みが備わっているという考えがあるらしいので、そのあたりの本も読んでみたい。

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2024年08月14日

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