作品一覧
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4.11巻1,298円 (税込)古代ギリシャ人は世界がモノクロに見えていた? 母語が違えば思考も違う? 言語と認知をめぐる壮大な謎に挑む、知的興奮の書!
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
「色」を手がかりに、言語という文化的慣習が如何に人間の世界認識に影響を与えているかを紹介してくれる本
人間の無意識下でも作用している言語の力が近世の賢人から現代の科学者にかけて明らかになっていく過程が面白かった
絶対方位感覚を備えさせるグーグ=イミディル語の話者がどういう世界なのかを紙面で体験させたり、本書で扱われた実験で使われた色のセットなど、読者にも実体験してもらおうという気がして楽しめた
ドイツ語の文法における性(ジェンダー)をトウェインが面白おかしく取り上げていたのも面白かった
サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)が、現在では否定されたとはいえ本書の主題でもある、言語が認知に与える影響 -
Posted by ブクログ
生得主義が言語学の主流であるとは聞くのだが、面白そうだと思って手に取る本は、この本も含めて「非主流派」の本になりがちだ。本書の立場は生得主義に真っ向から反対するものでもないみたいで、自然により与えられた「制約のなかの自由」により、文化もある程度まで言語に影響を及ぼす、さらにその逆として、言語が文化に影響を及ぼすこともあるといったところ。
言語の「氏か育ちか」論争が、ある極端から一方の極端へと行き来する歴史も丁寧に解説しており、一種の科学史としても読める。
色の認知については、どこか他所で日本人の少し上の世代にミズイロの認識がないことを読んだ。ベーシックな知覚だけに驚いたせいで覚えているのだ