あらすじ
「力道山×木村」の惨劇。禁忌と化す日本人対決。封印を破った「猪木×小林」に迫り、「藤波×長州」他、不穏で熾烈な闘いを描く。関係者多数に取材した未踏のプロレス・ノンフィクション!
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Posted by ブクログ
「さよならムーンサルトプレス」の著者、
福留崇広氏の作品。サブタイトルは『「アントニオ猪木 対
ストロング小林」が火をつけた日本人対決』。
1974年3月19日、東京・蔵前国技館で行われたNWF世界
ヘビー級選手権、アントニオ猪木vsストロング小林の伝説
の一戦を軸に、昭和の時代に展開されたプロレスの【日本
人対決】を描いた渾身のノンフィクション。
この作品が凄いのは、その猪木vs小林を全ての根源とし、
その前後で話題を呼んだ日本人対決を「一連の物語」とし
て処理していること。個別に見ればこの本に書かれている
ことは全て詳細まで知っており、今さら確認する必要は無
いのだが、一連で描かれた所為で「壮大な物語」と化す。
この手法で作品を構成するのは、誰にでも出来る芸当では
ない。
今のプロレス界では普通に行われる日本人同士の試合だが、
それが普通では無い時代は確かにあった。もしアントニオ
猪木とストロング小林の試合が成功しなければ、心を燃や
した藤波vs長州の名勝負数え歌や天龍・鶴田の鶴龍対決、
三銃士や四天王の時代は来なかった、と思うとゾッとする。
丁寧な取材とポイントをしっかり押さえたインタビュー、
何よりも行間から溢れる圧倒的な説得力は、感嘆のレベル。
メチャクチャ束のある本だが、マニアなら絶対に読んでお
いて損は無い。
福留氏の次作、題材が本当に気になる。それが「プロレス」
で無かったとしても、きっと読んじゃうだろうなぁ・・・。