あらすじ
前著『新しい労働社会』から12年.同書が提示した「ジョブ型」という概念は広く使われるに至ったが,今や似ても似つかぬジョブ型論がはびこっている.ジョブ型とは何であるかを基礎の基礎から解説した上で,ジョブ型とメンバーシップ型の対比を用いて日本の労働問題の各論を考察.隠された真実を明らかにして,この分析枠組の切れ味を示す.
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Posted by ブクログ
ジョブ型とメンバーシップ型という雇用の仕組みを比較しながら、日本の雇用システムの問題を丁寧に解き明かしている一冊。
特に印象的だったのは、メンバーシップ型の雇用契約を「空白の石盤」とたとえた箇所。
日本では職務が曖昧なまま採用され、企業が必要に応じて仕事内容を書き足していく——この構造が、評価基準の不透明さや年齢依存の人事慣行につながっていると指摘していた。
また、大学教育と職業の接続が弱く、専門的スキルを育てにくい現状にも触れており、ジョブ型に移行するには企業だけでなく産官学の連携が不可欠だと感じた。
一方で、外資系企業が日本でどのようにジョブディスクリプションを運用しているか、という視点がなかったのは少し残念。
問題提起中心で終わっており、もう一歩踏み込んだ提案があればより良かったと思う。