【感想・ネタバレ】武士道のレビュー

あらすじ

かつての日本には、わが国固有の伝統精神があった。武士道もそのひとつである。それは、新渡戸稲造が1899年に英文で『武士道』を発表し、世界的な大反響を巻き起こしたことでもわかる。当時の日本は、まさに文明開化の真っ只中であった。怒涛の如く押し寄せる西洋の新しい価値観によって、社会全体がことごとく西洋化していった。その変わりゆく姿を見て、新渡戸稲造は「日本人とはなにか」を問い直そうと考え始めた。そして彼は失われゆく日本の伝統精神を振り返ったとき、「武士道」こそが、日本人の精神的支柱であり、それを世界に広く紹介することが日本のためになると考えた。本書はその現代語訳である。発刊当時の明治期と同様、現代の私たちは急速な国際化の中で、日本人のアイデンティティを見失いつつある。今こそ私たちはもう一度「日本人とはなにか」を問い直す時期にきているのではないか。倫理観・道徳観を改めて考えることができる格好の書。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

第6章 礼ー仁・義をもって型となす

 「茶の湯は精神修行の実践様式」
目次をパラパラめくっていたら、この言葉に強く惹かれたため、最初に読んでみた。
友人の母が茶道を嗜んでいたため、私も幼い頃から茶道に触れる機会があった。

特に感銘を受けた言葉は、以下の通りである。(以下引用)
「茶の湯の基本である心の平静さ、感情の静謐さ、立ち居振る舞いの落ち着きと優雅さは、正しき思索とまっとうな感情の第一要件である。  
騒がしい世俗の喧噪から離れた、塵ひとつない茶室の清潔さは、それだけで私たちの心から現実を忘れさせてくれる。」
「茶の湯は趣を極限まで洗練させることが目的であり、そのためにはいかなる虚飾も宗教的な崇敬をもって排除されるのである。」
「茶の湯に集まり来る人々は、静かな茶室に入る前に、血腥い刀とともに戦場での残忍さや政治的なわずらわしさなどを捨て去り、この茶室の中に平和と友情を見出したのである。  
それゆえに茶の湯は礼法以上のものである。それは芸術であり、折り目正しい動作をリズムとする詩であり、精神修養の実践方式なのである。」

私も茶道を学んで、これらの言葉の意味を実際に体感してみたいと思った。


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2024年06月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本人の心の根底にある武士道。新渡戸稲造が宗教教育のない日本にどうやって道徳教育をしているのかを尋ねられた際に、行き着いた結論。武士道の構成要素は仏教や神道、儒教など様々な宗教や教え。そして7つの徳によって構成されている。義、勇、仁、誠、礼、名誉、忠義。この7つは、今の日本人の心にも息づいている。国際社会と言われる。今だからこそ、日本人としてのより良い生き方を模索すること、古来の優れた考えを見つけておく事は重要。武士道があるおかげで、個人が全体を支えると言う日本の社会システムが成り立っているかもしれない。

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2024年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

仏教は、運命を受け入れ、危険や災難を目にしてもストイックに落ち着き、生に執着せず、死に親しむ心をもたらした。
サムライ"義“は、自分の身の処し方を、道理に従い、ためらわず決断する心をいう。
死すべき時に死に、討つべきときに討つこと
勇敢な人は優しい人
愛のある人は勇敢な人
礼は、長い苦難にも耐え忍び、親切で妬みの心を持たず、誇らず、おごらず、非礼を行わず、自分の利を求めず、憤らず、慢心しない
人を泥棒呼ばわりすれば、彼は泥棒となる
「つまらないものですが」は、つまらないものをあなたに贈る、という物目線の言葉ではなく、
「あなたはいい人だからどんなものであってもあなたにふさわしいといったら失礼にあたる」という気持ちを表している

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2023年05月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本人とはナニモノか。西洋思想に半端にかぶれてしまった今、まさに再学習するのに良い。
武士道の根本はノブリス・オブリージュにある。なるほど言われてみるとそうである。昨今嘆かわしい事態が引き起こされている。ネットでのヒトの振る舞いもなかなか酷い。
武士道精神を学び直し、現代の社会様式に合わせて更新する。これが必要だと痛感する。

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2022年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

無駄な余談に走ることがなく、武士道という漠然としたものをキーワードに分けて定義付け。そして、ビックリするほど理路整然として客観的な見解!不安げにあたりを見回す読者に対してスマートにエスコートしてくれるジェントルマンに見えてきてしまった。

加えて日本だけでなく、海外の学者や聖書の言葉まで引用しており、武士道への理解を深めて貰おうとする工夫の仕方が素直に凄かった。次々と繰り出されるもんだから注釈を見るのに忙しかったし、相当な読書量やなと脱帽。さすが国連事務局次長!
(天皇を「天上の神の代理人」と表していたのには時代を感じた)

個人的にささったのは「名誉」の章。(英語版では“honour”)`
間違った解釈かもしれないけど、ここでいう名誉は今の汚らしいニュアンスの名誉とは違う気がした。筆者曰く名誉はこの世の中において「最高の善」で「若者が追求しなければならない目標」との事。名を成すまでは帰還せず、そして勝ち取った名誉は年が経つにつれて大きく成長する。
若者の純粋で崇高な志がいずれ彼らの夢、名誉に辿り着くのかと心にストンと落ちた。
一方でこの志に「野心」が混じると今の汚らしいニュアンスになってしまうのかな、とも。

厳めしい章もあったけど最終章の結びも含めて武士道は情緒に溢れ、繊細な部分も併せ持っていた。そろそろチャンバラのようなイメージは切り捨てておきたい。

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2021年10月21日

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