あらすじ
保険料の見積りや企業の人事評価、また医師の診断や裁判など、均一な判断を下すことが前提とされる組織において判断のばらつき(ノイズ)が生じるのはなぜか? フェアな社会を実現するために、行動経済学の第一人者たちが真に合理的な意思決定のあり方を考える
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Posted by ブクログ
# 意思決定の精度に関する秘孔を突いた一冊
## 面白かったところ
- 「狙った的が外れる」という事実は見る切り口を変えたらカテゴライズでき、「バイアス」と「ノイズ」で表現されていて膝を打った
- 「一晩寝かせるといいアイデアが浮かぶ」というアレの正体の根源が「群衆の叡智」であると力説していて面白い
## 微妙だったところ
- 正規分布や公式など、統計学を始めとした、大きな主語で言う「数学」の知見が多く散りばめられていて難しい
## 感想
組織が正しく前に進むための決断について興味があったため読み始めたが、かなり面白い。
人間という1単位で見た場合と、組織で見た場合では決断の際にバイアスがかかる。初めに発言した人間の意見が通りやすいのは、それ以外の人のシステム1が起動してしまうからと言う理屈も興味深い。
人はコンピュータのように様々なカテゴリの数値を分析することは難しいが、階層的にハンドリングしやすい数値で比較することは割りと得意という論も納得がいった。20種類のピザのランキングを付ける際も、闇雲に20種類レビューするんじゃなくて、「魚介系」「肉系」のようにカテゴライズして評価点をつけるほうがやりやすいのは自分でもわかった。
絶対評価ではなく相対評価のほうがマシ。ということである。これはストーリーポイントの概念にも通ずることがあるな。
書いてある内容や引用してある概念は簡単ではないが論じられている内容はかなり面白いため、下巻も楽しみである。
Posted by ブクログ
ノイズを探せ
1)犯罪と刑罰
2)システムノイズ
3)1回限りの判断
好ましいノイズ:イノベーション、競争環境(多様性が大切)・・・市場の価値
好ましくないノイズ:組織などで起こるもの。認識されにくい。
ex)プロフェッショナルの判断、自分と他人など
1回限りの判断が必要な場合は『反実仮想の思考実験を行い、仮定を立ててみよう』
ノイズを測るものさしは?
4)判断を要する問題
5)エラーの計測
6)ノイズの分析
7)機会ノイズ
8)集団によるノイズの増幅
『判断』という言葉が使われるのは、『意見が一致すべきだ』と多くの人が考える課題・問題があるとき。
→不一致が一定の許容範囲内に収まることが期待されている。
判断の検証は多くはできない、が、『判断と実際の結果』『判断のプロセス』は検証できる。
バイアスとノイズは独立している。バイアスもノイズも同じくらい問題。
良い判断をしたい場合、『factと価値観』をわけるべきである。
情報→解析し、予測的判断→評価的判断
予測的判断にはノイズが入り得るが、これをできるだけ除去しよう。
予測→評価では価値観が入るが、その際、バイアスがかかる
★機会ノイズ:プロフェッショナルでも同じ事実に対して同じ判断はできない★
群衆の知恵を利用して、自分の中の群衆を作る(2回以上考える。時間を空ける。自分で反証する。強力な論拠の有無を調べる。弁証法的自助努力)
★多くの場合、『自分の中のあいまいな確率分布から、適当に抜き出した』ものにすぎない★
群衆の知恵←→集団のダイナミクス(情報カスケード、社会的圧力)
阻塞的判断のノイズ
9)人間の判断とモデル
10)ルールとノイズ
11)客観的無知
12)正常の谷
妥当性の錯覚
★『まれ』な事象を判断して、満足、得意になるのは、ノイズを増やす行為である★
ノイズを減らすには、情報を単純化、評価にルールを作る
『まれ』なことについては、決定的な情報があるなら、ルールから外れてもよいが、多くはルール通りがよい。
・人は、1回でもアルゴリズムが失敗すると、アルゴリズムを信じなくなり、『自分の判断』を優先してしまうものだ(しかし、ルール、アルゴリズムのほうが、人の判断よりは優れている)。
統計的思考と因果論的思考法
因果論的思考法:結果をみて、過去をふりかえり、もっともらしく考える。
因果関係と相関性
ノイズはなぜ起きるのか
13)ヒューリスティクス、バイアス、ノイズ
14)レベル合わせ
15)尺度
ヒューリスティクス、診断バイアス、利用可能性ヒューリスティック、結論バイアス(予断)、確証バイアス、感情ヒューリスティック、過剰な一過性