あらすじ
経営における意思決定の精度向上を目指す
世界中で気候変動のリスクは年々高まっており、日本でも豪雨や酷暑等が毎年甚大な被害をもたらすようになりました。これらを背景にグローバル企業は気候変動時代における競争力の確保に向け、業態転換を含めたダイナミックな対応を始めています。
日本企業もようやく重い腰をあげ、気候リスクを経営リスクとして捉え、RE100(再生可能エネルギーの使用を進める国際企業連合「RE100」が主宰する温暖化防止の企業表彰)などに本腰を入れ始めました。しかし、日本の取り組みは欧米諸国にかなりの後れを取っており、グローバルスタンダードから引き離されているのが実情です。
本書は、実際に国内外で動き出している政策・企業事例(ケース)を紹介。日本企業に対し、気候変動に対する経営アクションを起こす際の「きっかけ」と、実際に脱炭素経営を進める上での「羅針盤」を提供する、脱炭素「経営」の初めての解説書です。
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Posted by ブクログ
気候変動への対応は営業許可証である。
気候変動の健康被害は高齢者、低所得国の人々。
海面上昇により移住リスク。
気候変動よりも気候危機、地球温暖化より地球過熱化を使うようにイギリスの新聞社が推奨。気候非常事態という言葉も生まれた。
1.5度を望ましいとしている背景は、対策のコストよりも便益が大きい。自然のフィードバックの限界。永久凍土のメタンが空気中に放出される前にとどめる。
1.5度のCO2は2600gt、あと400gtしかない。
石炭火力発電所は40年稼働することが見込まれる。やってはいけないリストのトップ。
CCS(炭素固定化)は再エネ+蓄電池よりもコストが高い。CCS付きの火力発電所は世界で一か所だけ。
製造走行廃棄を合わせても、EVのほうが大幅にCO2は少ない。自動車のLCA規制=走行時だけでなく原材料の調達から廃棄までの環境負荷。自動車産業の立地にも影響が出る。LCA=ライフサイクルアセスメント)
日本は再エネのコストがヨーロッパの2倍。
脱炭素を自らのビジネスを合致させた企業が勝つ。
カーボンプライシング=炭素税と排出量取引。
炭素リーケージ=カーボンプライシングを導入した国を避けて緩い国に逃げること。このために炭素税を導入できない。国境炭素調整措置が必要。
気候変動によってGDPが10~20%下振れする。
機関投資家は長期投資なので、気候変動に留意した投資をしないと最終的に損を被る。資金を引き上げる=ダイベストメント。
企業の情報開示は自分の都合に合わせて開示できる程度。
日本では、再エネや省エネに追加的にコストがかかる。消費者が望むから、だけでは脱炭素経営への移行は困難。
製造業では5~10年、インフラは20~30年の期間が必要。
SBT=科学に準拠した温室効果ガス削減目標。
日本企業の取り組み例
リコー、武田薬品工業、富士通、三菱地所、
RE100=電力を100%再エネに転換するイニシアティブ。
EV100、EP100、などもある。
大和ハウス工業、三井不動産、株式会社メンバーズ、芙蓉総合リース、積水ハウス、
ロビー活動で政策導入が阻害されている。
TCFDに基づく情報開示。いまのところいいとこどりの情報開示。