あらすじ
人間は理性的でないために、宗教は存在するが、日本人は宗教からの自由を謳歌しているそうだ。言葉はウソをつくためにあるのかもしれない。だから大切なことはやってみせるのがいい。もちろん「想定外」はいつでも起こりうるけれど。台湾、インド、ブータン……さまざまな土地で考えたことを綴った「大言論」シリーズ最終章。古典から漫画まで、養老先生オススメ本リスト付きの完全版。
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Posted by ブクログ
「万物流転」は、全33回、季刊『考える人』に長期連載された(2002-10年)。単行本(&文庫)は『養老孟司の大言論』というタイトルで、11回ずつ3分冊。本書はその3冊目、最後の11回分+番外編1回。
3冊とも書名はダミー。本書も「大切なことは言葉にならない」を論じているわけではない。目を引くのは宗教のテーマ。日常としての宗教、科学と宗教、日本人と宗教、宗教的リアリティについて論じている。お寺だらけの鎌倉に住み、カトリック系の中高に通い、たくさんの遺体を解剖してきた養老先生ならではの見方が披瀝されている。
ちょうど邦訳が出たドーキンス『神は妄想である』も俎上にあげている。ドーキンス、無神論者だと自称しているけれど、この本を読む限りでは、アンチキリスト教、教会との内ゲバ、結局のところキリスト教から脱しきれていないんじゃないの。あなたの言うことはわかるけれど、もう少し寛容であってもいいんじゃないの、と養老先生。確かに、世の中、ガチガチの理性主義では息が詰まる。
番外編は台湾での虫捕り。たんなる旅行記ではなく、台湾の生態系や昆虫研究の歴史についても触れている。養老先生が楽しんでいるのがよくわかる。章のタイトルは「台湾旅行は面白かったなぁ」。