あらすじ
夫を亡くし、小学生の息子・冬明を一人で育てるシングルマザーの愛。父親の死後、義母の愛と弟の冬明を見守りながらも、家族という関係に違和感を持つ大学生の楓。 「世界の一部を盗む」想像上の怪物・ジャバウォックを怖れ、学校に行きたがらない冬明に二人は寄り添おうとするが、「紫色の絵具がなくなったんだ。ジャバウォックが盗っちゃったんだよ」と冬明が告げた日から、現実が変容していく。 ジャバウォックの真実を知ったとき、あなたもきっと、その怪物を探し始める――。 家族とは、常識とは何かを問い直す、壮大でまったく新しい傑作小説。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
氏らしい哲学性をまとった作品だった。最初はあまり氏の作品ということを意識せずに読んでたんだけど、途中から徐々に作品のボルテージがあがっていく感じに、あぁそうだったそうだったと思い出した。
テンションが上がるのとはある意味真逆で、世界は深いところに沈んでいくという印象。氏の作品は登場人物たちも読者も常に自分と向き合うことを求められる。今回の作品に限った話ではないけれど、自分という存在は、その名前を通して、そして他者を通して存在しうるということなんだろうかなぁ。
Posted by ブクログ
とあるキッカケでシングルファザーと結婚し、冬明と言う息子を授かり、兄になる連れ子の楓と幸せに暮らしていた愛。所が、夫の設計した家が原因で住んでいた住人が自殺し、SNSで実名で主人が晒され、主人まで自殺してシングルマザーとなってしまう。
息子の冬明は感受性が人より豊かで想像上の「ジャバウォック」なる怪物を恐れ、学校へ行きたがらなくなる。愛と楓は冬明に寄り添おうとするが、ジャバウォックが紫色の絵の具を盗んだと言い始めてから現実が変容していき、空想のジャバウォックがどんどん現実の人物に絡み始め、愛の周りを変えていき、ついには冬明自身も姿を消してしまう…
楓の父を陥れたSNSの正体が意外でサイコパスな感じで凄く後味悪かったです。
亡くなった父と子供の名前についての答えが素敵で、意味がないのが親心とは目から鱗でした。だからこそ、楓は受け入れられたのがせめてもの救いだった気がします。
ラスト、やっと本当の意味で親子・兄弟になれた3人のこれからが穏やかになれます様に。
Posted by ブクログ
ジャバウォックの立ち位置がよくわからなかった。良いものなのか悪いものなのか、どっちでもないものなのか
ステップファミリーの話としては興味深いものだったけど、もうちょっと話を整理すてくれると読むほうは助かる気がする