【感想・ネタバレ】ミシン missin’のレビュー

あらすじ

発売当時、数多くの読者に衝撃的な感動をもたらし、のちの全嶽本野ばら作品の原点となったベストセラー処女小説集、待望の文庫版!

孤独な青年雑貨店主と、心に病をもつ少女――Vivienne Westwoodの洋服を愛する二人が運命的に出会い、はかない逃避行に旅立つ名作「世界の終わりという名の雑貨店」、そして、MILKの洋服を華麗に着こなすカリスマ・ヴォーカリスト、ミシンに恋する少女の「乙女」としての生きざまを強烈に描いた表題作「ミシン」を収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

美しい……お耽美ですわぁこれは。
感想書きます。


『世界の終わりという名の雑貨店』

わたしの中で、嶽本野ばら初作品。その甘すぎる耽美に圧倒。なんて美しいのか。それも少し歪んだものに、ここまでうっとりできるものなのか。すごい。ここまで来るとどのページも蜂蜜でコーティングされたような艶めかしさを感じる。

まず、主人公が開く雑貨店『世界の終わり』のセンスが光る。正直これらの集められ置かれる商品に対する自分の知識には疎く、イメージが出来ない物もあったが、それをもっても一つ一つが醸す雰囲気や匂いまで、こちらに伝わってくるかのよう!! すっかりのめり込んだ。

そしてやってくる『君』。彼女もまた刹那的で美しく(殊に頬の痣などは)、それでいて動物的な貪婪も備える、理想的な少女像を完成させている(これは個人的な趣味)。2人が体を重ねる場面でも、生々しさよりもその耽美さが極まった気がする。最早野蛮と形容してもいいくらいの性欲なのに、不思議と恍惚とした気分になった。こんな関係、持ってみたいな……。

前述したが、『君』の死は実に刹那的だ。性の悦びを得られないと悟った時、ぱったりと命を絶ってしまう。が、それを含めて彼女の耽美な面が際立っていることを強調したい。とても切なくて(刹那くて)お耽美なのだ。

──ねえ、君。雪が降っていますよ。
最後までその甘美な絶望に酔いしれた。


『ミシン』

『世界の終わりという名の雑貨店』に比べればシンプルかつ意味深なタイトルである。

処刑台の上のミシンと蝙蝠傘の運命的な出逢い……これはロートレアモンの『マルドロールの歌』の表現だ。

個人的には『世界の終わりという名の雑貨店』の方が好みであったが、この作品もなかなかどうして耽美な蜜である。(馬鹿の一つ覚えみたいに耽美と繰り返している……)何故こんなにも甘く、溶けそうな物語が書けるのだろうか。そんなことを考えながら、またしてもどっぷりと浸かったタイプの話である。

印象に残るのはやはり「死は永遠」というフレーズであるだろう。この感性を死ぬまで持ち続け、実際に死ぬこととはどんな感覚なのだろうか。本作ではその断面を垣間見た様な薄気味悪さや、同時に襲ってくる美と葛藤する物語だった。

《まとめ》
嶽本野ばら、初めて読んだけど、すぐに好きになった。切ない。甘い。美しい。耽美!
嗚呼、最高でございまするぅ

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2021年06月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初読みは20歳頃。30歳を過ぎてから再読。

「世界の終わりという名の雑貨店」
20歳頃は何の違和感もなく読み、美しい世界観にうっとりしつつも、ラストは作者が何を言いたかったのか腑に落ちなった記憶があります。感涙はしたんだけども。

30歳すぎて再読し、女の子にすぐに手を出しすぎなあたり、こんな男いたら、かなりひくわ…と主人公に対して若干嫌悪感を抱いたり、いきなり駆け落ちが成立するなど話の展開が突拍子でついていけなくなりそうでしたが(ずっと店内で一緒に過ごしていたから突拍子ではないのか?)、ラストに向けて疾走していく心情の極みは迫力があり、最後の一文がいかに残酷であるかという切なさが理解できました。
良いですね。

「ミシン」
20歳の時に読みましたが、内容全く覚えてませんでした。当時は「こういう世界観もおもしろいなぁ」くらいな感想。

で、10年以上経過した今、再読しましたが、一気読みでした。おもしろい。ミシン属するバンドの特徴も細かく描かれていて想像しやすい。それに主人公のとる行動がおもしろい。なんやかんやしながらも最後はファンの一人として終わるんだろうと思っていたら、まさかのメンバーに。しかも最後の約束が極めている。読み終わり冒頭へ戻ると、ちゃんとつながっている。
これはおもしろいです。

たしか続編も読んだ記憶がありますが、そちらも全く内容覚えてないので、純粋に楽しんで読めました(笑)

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2019年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

獄本さんの作品は初めて読んだのが「ハピネス」だったせいか、少し毛嫌いしていた節があったが、洋服の細かい描写は好み。今回の読んだ「ミシン」の中でも、「世界の終わりという名の雑貨店」の方は作品の雰囲気が好き。これからも好んで読むと思う。

0
2012年06月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

独特の世界観に引き込まれました
耽美という言葉はこのような作品にぴったりなのかもしれない
共感はできなかったけれど、こんな愛の形は誰にも否定することは出来ない

0
2025年08月28日

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