【感想・ネタバレ】教養としてのデジタル講義 今こそ知っておくべき「デジタル社会」の基礎知識のレビュー

あらすじ

すべての人を覆う「デジタル化」の波を乗り越えるために、
MIT(マサチューセッツ工科大学)、ハーバードの有名教授らが、
賢い選択をするための基礎知識を伝授

本書は「デジタル社会」に対する疑問への
大胆な答えを提示しながら、あなたを導く指南書だ。
変容したこの世界の可能性と潜在的な危険を把握することは、
誰にとっても極めて重要な知見となるはずだ。

2020 年の新型コロナウイルスの世界的な大流行によって、デジタル革命の意味やその影響力の大きさがこれほどまで世間の脚光を浴びるようになるとは、誰も予測できなかった。ほんの数週間で、幼稚園から大学院にいたる教育機関は「バーチャル」になった。6歳の子どもが、ビデオ会議を完璧にこなせるようになったのだ。また、オンライン注文が、日常のニーズを満たすための主な手段となった。そして、テレワークは当たり前になったが、これは10 年前には想像もつかなかったことだし、そのさらに10 年前には到底不可能なことだった。
そこで、デジタルの世界が「どういうものか」、そして「その仕組みとは」をそれぞれ深く理解することが、この革命が続いている世界での賢い選択につながるのではないかと、私たち筆者は期待も込めて考えた。
「はじめに」より

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Posted by ブクログ

本書はコンピュータやテクノロジーの進歩についても詳しく説明されているが、私たちの生活を支えてきた土台の根本的な変化について語ることを主たる目的としている。
 その変化を端的に示すワードが"デジタル爆発"であるが、それは数々のチャンスと同時に、様々なリスクももたらしており、その急激な変化は、プライバシー、表現の自由、個人の自己管理可能性といった、これまで築かれてきた社会の適応能力を上回ってしまっている。

 技術を活用した新たなサービスの登場、立法による規制とその予期せぬ副作用、訴訟及び判決の影響等、アメリカにおける近年の推移、動向が具体的に紹介されており、大変勉強になる。

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2021年12月27日

Posted by ブクログ

原書のタイトルは『blown to bits』、その後にyour lifeやらhapinessやらと続く。つまり、デジタルにより幸せの既成概念が崩れ去るという事。bitsは、断片などの単位的な意味だが、ここではコンピュータの情報単位であるビットとかけているのだろう。中々示唆的で挑発的なタイトルだ。何故、デジタル講義という和訳になったのか。ややチグハグな感じがする。

例えば、ハイアービューという会社が採用面接に活用可能なアルゴリズムを開発。応募職種にふさわしいか否か、共通しているパターンを検知するが、すでに面接の現場で使われているらしい。アルゴリズムの透明性が確保されなければ、経験則から差別を助長する。過去に似たような出自や学歴、民族、話し方をしていた社員が使えない奴だったなら、ソックリさんは理由なく不採用になるわけだ。アルゴリズムは企業ノウハウとして明かされない。

また、今日、検索エンジンの検索結果に表示されなければ存在すらしないに等しいという価値観が根付き始めた。ググった結果がエビデンスであり、そこに無ければ、本当にあるのか、不安になるだろう。地名、お店、社名、商品、言葉、情報そのもの。

更に、クリアビューAIという企業がFacebookを始めとするソーシャルメディアで集められた何十億枚もの写真を活用した仕組みを構築し、セキュリティ会社や法的機関にも利用されている。

これら以外にもセキュリティ、著作権問題、ネット犯罪などなど。既に幅広く生活に取り込まれ、監視され、見分けられ、判断され、依存している。最早、これらから遮断、離脱した原始的な生活には戻れない。そして更に人類のデジタル化は不可逆的に加速していくのだろう。その結果、辿り着く場所はどこか。我々はどうなっていくのだろうか。

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2022年12月22日

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