あらすじ
私たちはどこにいるのか。そして、どう生きるべきか――。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』で全世界に衝撃をあたえた新たなる知の巨人による、人類の「現在」を考えるための21の問い。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
自分を価値ある何かに帰属させ、その中で役割と意味を与える物語。人はこれを信じてしまいがちらしい。
物語を疑うのが恐ろしいのは、その物語を前提に個人のアイデンティティや社会制度が築かれているから、とのこと。物語を否定すれば、今ある個人や社会も否定することになる。
たしかに、人権も物語に根拠をもつ、と言われると、物語を否定する恐ろしさがわかる。ここまでは同感。だけど著者のようにそれを受け入れ、瞑想によって心の真実を探ろうとは思えなかった。
僕なんかは、嘘でも人生に意味が欲しい、と思ってしまう。我ながら典型的なホモ・サピエンスなんだと思った。(笑)
Posted by ブクログ
いくつかの主題ごとに作者が設定したテーマをもとに考えを述べていく本書。最初に書かれている通り、その後読者がどう考えるのか、を期待して描かれている。
『サピエンス全史』では過去を、『ホモ・デウス』では未来を、本作では現在を描いている。
テクノロジー面の難題。テクノロジーが発展することにより、労働がAIに取って代わられるようになる。これはグローバリゼーションに伴い国際的な問題になりかねない。また、テクノロジーの発展が種の選別に繋がるかも知れず、それのキーワードとなるのは情報である。
労働に当てられていた時間を余暇などに当てられ、生活費などを気にしないで生きていける世の中になって欲しいと思ってしまう。が、実際には余暇を持てる人と労働者という形で越えることのできない壁ができてしまい、これが世代として脈々と連なってしまうのではないだろうか。
政治面での難題
世界はグローバルな実在的脅威を生み出すことによってテクノロジーが全てを変えてしまった。つまり、核戦争と気候変動と技術的破壊といった共通の脅威に対し協力して立ち向かわなければならないにもかかわらず、それが出来ていない。それは、危険が迫らない限り危機と思えない人間達だからである。という。今の現状として一つとして解決できそうな合意に達しているものがない以上、未来は暗いのかもしれない。移民の問題は、問題点が整理されて今まで他で見たり聞いていた議論が少しわかった気がした。
希望と絶望
テロを起こす人たちの意義を述べたのちに、それが起こる原因ともなった戦争や宗教について述べた章。最後の世俗主義については理解が深まった。世俗主義が覇権をとってほしいと思うが、一部の一神教の人たちには、一神教がゆえの寛容のなさがあるため、難しいことなのだろう。
真実
ホモ・サピエンスは虚構を作り出すことにより、他の動物たちよりも上位の存在になり得た。その過程で群れをなることとなり、その範囲内でのルールとして道徳などが生まれた。が、グローバルになりすぎた現代では、道徳の基準が昔のままで良いのだろうか。また、SFの示す世界観が今後の道標になるのであろうか。
最後の方や未来への展望で『ホモ・デウス』のようなアルゴリズムに支配されている我々というようなかんじでリンクしているのも良かった。
Posted by ブクログ
おもしろかった。
ニュースで気になっていたりしたとことについて、著者なりの整理をつけて解説してくれて、そうそう!そうなの!ってうなづいたり、もやもやしていた出来事への解説がすごく丁寧で気持ちが晴れた。
すごくありがたい。この本を読んだ人たちと話したい。
以下引用———————
ブレグジットに関してのリチャードドーキンス)
一般大衆は、判断に必要とされる経済学と政治学の予備知識を欠いていたからだ。「アインシュタインが代数学的な処理をきちんとこなしていたかどうかを全国的な投票を行なって決めたり、パイロットがどの滑走路に着陸するかを乗客に投票させたりするようなものだ(3)」 ところが是非はともかく、選挙や国民投票は、私たちがどう考えるかを問うものではない。どう感じるかを問うものなのだ。
今日すでに私たちは、誰一人よく理解していない巨大なデータ処理システム内部のごく小さなチップと化しつつある。-略- 山のようなメールに返信するのに忙し過ぎるから。
私たちがロボットを恐れるべきなのは、ロボットがおそらくつねに主人に従順で、けっして反抗しないからなのだ。
アルゴリズムは、あなたが女性だから、あるいはアフリカ系アメリカ人だから差別するのではなく、あなたがあなただから差別する。あなたが持っている、何か特定の点が、そのアルゴリズムには気に入らないのだ。それが何か、あなたにはわからないし、仮にわかったとしても、他の人々と団結して抗議することはできない。それと完全に同じ偏見に苦しんでいる人は誰もいないからだ。
政治家たちは自分には選択権があるという幻想を抱いているが、本当に重要な決定は、メニューの選択肢を決める経済の専門家や銀行家や実業家によって、ずっと以前にすでに下されている。二〇年ほどのうちに、政治家はAIが用意したメニューから選ぶようになっているかもしれない。
スイスにいるいとこと話すのは、かつてないほど簡単になったが、朝の食卓で配偶者と話すのは難しくなった。
今日の文化差別主義者は従来の人種差別主義者よりも寛容かもしれない。「他の人々」が私たちの文化を採用しさえすれば、対等の人間として受け容れる、というわけだ。その一方で、同化するようにという、はるかに強い圧力を「他の人々」にかける結果や、もし同化できなければ彼らに対して、はるかに厳しい批判を浴びせるという結果にもなりうる。
今日、主な経済的資産は、小麦畑や金鉱ではなく、油田でさえもなく、技術的な知識や組織の知識から成る。そして、知識は戦争ではどうしても征服できない。
苦しみに対する理解を深めさえすればいい。ある行動が自分あるいは他者に無用の苦しみを引き起こすことが理解できれば、その行動を自然と慎むようになる。
人間の決定のほとんどが、合理的な分析ではなく情動的な反応と経験則による近道に基づいており、私たちの情動や経験則は石器時代の暮らしに対処するのには向いていたかもしれないものの、シリコン時代には痛ましいほど不適切であることは、行動経済学者や進化心理学者によって証明済みだ。
権力はブラックホール
権力の中心にとどまれば、世界をはなはだしく歪んだ形でしか見られない。だが、思い切って周辺部に行けば、稀少な時間をあまりに多く浪費することになる。
瞑想の章
怒りとは何か、知りたいだろうか? それならば、腹が立っているときに体の中で起こって消えていく感覚をただ観察すればいい。
自分の苦しみの最も深い源泉は自分自身の心のパターンにあるということだった。何かを望み、それが実現しなかったとき、私の心は苦しみを生み出すことで反応する。苦しみは外の世界の客観的な状況ではない。それは、私自身の心によって生み出された精神的な反応だ。これを学ぶことが、さらなる苦しみを生み出すのをやめるための最初のステップとなる。
Posted by ブクログ
テクノロジーの支配、身近に感じる。スマホから逃げるのは今年の目標。お金や時間よりも意識を奪われることの怖さを理解。
世界にはたった一つの文明しかない、っていうのは、確かに!って感じ。ここ数百年で一気に世界の均質性が高まっている。
世俗主義の強さ、良さに共感。自らの陰の面を認めることによって進歩してきた。絶対は無い。宗教との違いであり、強さ。
この世は物語で出来ている。物語を信奉することによって人はこんなに他の動物よりも進歩してきた。確かにその通り。何をするにしろどんな物語なのかを意識せずにはいられない。でも実は物語なんてなく、ただ有機化学反応によって感情や意識が形作られており、ただそれだけ。怒りも喜びも悲しみもただの化学反応。
瞑想っていいのかなあ。。今年やりたいと思ってるんだけどなあ。。
SFとか過去の名小説とか観たり読んだりしてみようと思った。1984年とか、、