あらすじ
都内の2LDKマンションに暮らす男女4人の若者達。「上辺だけの付き合い? 私にはそれくらいが丁度いい」。それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。そこに男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がり始め…。発売直後から各紙誌の絶賛を浴びた、第15回山本周五郎賞受賞作。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
朝井リョウさんが、YouTubeのとある番組で紹介されており、手に取りました。
5人の若者のそれぞれの心のうちが赤裸々に描かれていて、文章が自分の胸にじわじわと染み渡るように広がってくる。それぞれの若者達の思いが、自分もいつかどこかで思っていたような感情で、懐かしいような、そんな思いもした。
5人の関係が、気を許してるようで全く許してないような、なんだか、“ごっこ”みたいな感じ。それが最後にあんな展開になって、ちょっとびっくり。それでも皆、一緒にいるんだ…。
人の気持ちって、本当にわからない。
Posted by ブクログ
1番まともそうな直樹が通り魔なのだろうなというオチは正直予想できたが、それをみんなが受けいれて何事も無かったかのように「上辺」の付き合いを徹底して過ごしているのだというオチは想定外だった。結局人間は見せたい部分だけを見せて、見たい部分だけを見る生き物なんだ。そして、見せたい部分だけ見せててもやっぱり人間は人間のことをよく見ていて、醜い部分もちゃんとバレるんだ。でも人間って死ぬまでそんなもんなのかな、自分の気持ちは自分だけが知ってたらいいや、と。たしかに「こわい」物語でした。
Posted by ブクログ
ミステリーホラー?そんなジャンルはあるかは知らないけど、。共同生活をする5人の若者の話。それぞれの視点から物語は描かれる。彼らの生活には小説的な事件は起きないが、なぜだがスルスルと読み進めることができた。各章に散りばめられた違和感が、先を読み進めたいと思わせてくれる仕掛けになっていた。
Posted by ブクログ
マンションに住むそれぞれの視点から描かれる
みんな何かしら問題、悩みを抱えてるけど
最終的に1番頼りにされてまともそうな兄貴分の直樹が通り魔という。
それもみんなそれを受け入れて生活してるあたりが最後怖かった
Posted by ブクログ
パレード
「悪人」、「横道世之介」と心に残る吉田修一氏の作品。「横道世之介」と同じような若者の日常を描きながら、「パレード」はとても不気味な小説でした。
狭い2LDKのマンションで共同生活を送る5人の若者。のんきで憎めない大学生、イケメン俳優の彼女、痛烈に飲むイラストレータ、映画俳優会社勤務の男、男娼の若者。
彼ら5人の背景を織り込みながら、5人が各章で主人公となり物語を少しずつ推し進めていきます。
結構ハードに生きている彼ら、彼女らが淡々と当たり前のように語られていることがとても不思議な感覚です。
解説の川上弘美さんが”恐い”小説と書いていて、何故恐いかがうまく書けないと言っています。
竹蔵も考えてみました。この小説が恐いのは、5人の絆が無いこと。”愛情”の反語は”憎しみ”ではなくて”無関心”という言葉を聞いたことがありますが、この小説こそ”無関心”が主題なのではないでしょうか?
竹蔵
Posted by ブクログ
良介と琴ちゃんの関係がいい。
けど本当は直樹になりたい。と思ってた。最後の数ページまでは。
4人の関係性がいい。チャットルームみたいというのは言い得て妙。けど他の3人が次のステップに進もうとしてるのを感じて、、ってとこなのかな。
日常の人間関係の描写が緻密。
Posted by ブクログ
4.2/5.0
ちょっと変わった関係性で不思議な空気感が漂う、男女5人の同居生活。なんか楽しそうで、それぞれのキャラクターも魅力的で、ちょっと憧れたりもした。と思ったら最後、急に恐ろしい展開になって、そのまま終わった。結局、人間の本心なんて、自分でもよく分からないものなのかもしれない。
Posted by ブクログ
直哉にだけ畏怖の念を抱くだけではなく、直哉の犯行を知っておきながらシェアハウス仲間として適度な距離感を保ち何もなかったように察するルームメイト全員がおかしいと思った。
会話が多く読みやすかった
おもしろかった
おもしろかったけどよくわからなかった。
純文学も混じっているような作品なのでじっくり何度も読んだ方が味が出てくると思う。
ただ最後は少しゾッとする感じでしばらく引きずる作品だった。
二度目はもう少しいろんな箇所に気をつけて読んでみたい。
Posted by ブクログ
このままだらっと何ともない生活が淡々と続いていくのかなあなんて呑気な気分で読み進めていたら、最終章で突き放された。
書いてある言葉の意味は分かるけれど、全然意味が分からなくて、戸惑いながら読み進めた。
人の多面性って侮れないですよね...と再認識させられた。
みんな平凡だしみんなやばいやつ(なんとなく、吉田修一の根底には一貫してこれがある気がする)。
以下備忘
すごくタイムリーな(8日前に神戸で起きた、エレベーターで乗り合わせた男性に若い女性が刺殺された事件を連想するような)結末で、今読んでてラッキーだった。
病院の待合室で、まさにその事件がニュース番組で取り上げられているのを横目に見ながら読んでいたから、恐ろしいほど現実味のある稀有な読書体験だった。
Posted by ブクログ
第5章でびっくり。通り魔のこと完全に忘れてた。
直樹がいきなり女性殴り始めて、どういうことや!と思ったら、そういうことか。
最後の章読むまでは、直樹はあんまり特徴なくて何書かれるんかなぁと思ったらびっくりしたよ。
琴ちゃんはやっぱり子供堕したのかなぁ。俳優の母の存在に勝てなかったのかなぁ。
亮介は結局浮気してたしなぁ。
みんな好きになりきれないけど、嫌いにもなりきれなかった。、
Posted by ブクログ
個人的に山本周五郎賞にハズレなしということで読んでみた。
年齢も性別もバラバラの4人+1人でするなし崩し的なシェアハウスを各自の視点から描いた物語。
全員切羽詰まって一緒に暮らしてるわけではなくて「何となく」居心地がいいから住んでいるというのがひとつポイントなのか、と思う。
とても面白いと思ったのはみんなが善意や悪意を適度に上手く隠しながら「上辺だけの付き合い」を続けていることでうまくいっているという考え方。
ラストの直輝のシーンにも繋がるが見て見ぬふりをしながら自分の居心地の良い場所を確保するために過ごしているのが印象的。
Posted by ブクログ
5人の男女がシェアハウスで暮らしていくなかで、本当の自分をどのくらい共有すべきか、目に見える部分だけが人間のすべてなのか、どこが自分の居場所なのかなどいろんなことと向き合っていくのが印象的でした。
終始仄暗く、独特の雰囲気だったように感じます。
人のことをわかった気になるのはやめようと思えるきっかけになれる作品でした。