【感想・ネタバレ】パレードのレビュー

あらすじ

都内の2LDKマンションに暮らす男女4人の若者達。「上辺だけの付き合い? 私にはそれくらいが丁度いい」。それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。そこに男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がり始め…。発売直後から各紙誌の絶賛を浴びた、第15回山本周五郎賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

初読と再読で、印象がまるで変わる作品だった。

ルームシェアをする若者たちの生活が、それぞれの視点から描かれていく。初読では、何気ない日常を追っているうちに、少しずつ空気が濁っていくような不穏さを感じた。

しかし、結末を知ったうえで再読すると、見え方が一変する。

最初から人間関係には歪みがあり、それぞれに焦燥や秘密がある。そして、その秘密は本当に「隠されていた」のだろうかと思えてくる。むしろ住人たちは、互いのことをかなり分かっていながら、あえて触れずに生活を続けていたのではないか。

「知らない」のではなく、「知っているけれど変わらず過ごしている」。

そう考えると、彼らの共同生活は一気に不気味なものに見えてくる。

初読では結末へ向かって不穏さが増していく物語だったのに、再読では、最初から最後までずっと歪んでいたことに気づかされる。

読み返すことで作品そのものの輪郭が変わる。
再読後は、ただ唸ることしかできなかった。

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2026年08月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

直樹の章の最後で、全くジャンルが異なる本になる。
共同アパートで暮らす5人を丁寧に描いた群像劇のように進んでいく。
サトルが新たに入居して不穏な空気になるがそれがミスリードのまま終わると思いきや、まさかのそれをオチに持ってくる衝撃の展開。
読んでいて全く予想できなかった、ただこの作品のジャンルがとても難しいと思った。
オチありきならミステリーになるのだが、それだとオチの衝撃が無くなってしまうだろう。
しかし、純文学と言われればオチによって全く異なる性質に変わるので純文学ではない、故に非常に難しい本の紹介になる。
紹介する人の技術が問われる小説なのかもしれない。

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2026年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

4人の男女がマンションの部屋をシェアして暮らしている。適当な距離を保って快適だと思っていた。それが長引くとお互いのかかわりも深まって。
第15回山本周五郎賞受賞作


都内の2LDKのマンションに男女4人が暮らしている。男部屋、女部屋と名づけて一部屋に二人ずつ住んでいる。
最初は「直樹」と「美咲」が住んでいた。二人の仲が冷め始めた頃、「美咲]の友人が行きどころが無くなり一緒に住み始めた、これが雑貨店の店長をしている「未来」。そこに直樹の後輩の後輩「良介」が上京して同居することになる。その頃美咲は新しい恋人を見つけて、マンションを出て行く。

「美咲」は大手化粧品メーカーの秘書、「直樹」はインディペンデント映画の配給会社に勤めている。
そこに「琴美」という娘が、田舎のコンパで知り合った若者が人気俳優になったので追って上京してくる。彼女はナンパした男の子のお兄さんのトラックに乗って築地まで来た。「良介」が迎えに行き、住む所のない「琴美」は「未来」の部屋に同居する。

四人はうまく距離を保っていて、これが居心地がいい暮らしだと感じている。
「良介」は大学の先輩の彼女に一目惚れして、先輩のいないときは彼女と付き合うようになる。同居人が彼女は二股だといったりするが気にしない。両親に大切にされ、心身ともに柔らかい人柄で、みんなとうまく暮らしている。
古い車を買って姓名判断で「桃子」と言うぴったりの名前をみつけて可愛がり、同居人の気分転換にドライブに誘ったりして付き合っている。
4階のベランダから、退屈で下の道路をぼんやり見ている。次々と走ってくる車が、交差点では停止線の前で距離を保って止まる。信号が青になるとまた次々に走り出して事故が起きることが無い、そのうち自分も時間の輪の中にいるように思えてくる。
そして、誰かと本音をぶちまけて正直に話してみたい、本音でぶつかってみたい、相手は可愛い子でなくてもいい、少し能天気ぐらいがいいと思ったりもしている。

「未来」はイラストレーターでもあって、体の一部のイラストを書いている。同居の男たちをモデルにして撮影し、そのイラストを公園で売っている。美人の琴美が隣に座ると、買い手がつくといって喜んでいる。
未来は
ここで暮らしている私は、間違いなく私が創り出した「この部屋用の私」である(「この部屋用の私」はシリアスなものを受け付けない)よって、実際の私は、この部屋には存在しない。ここの住人(良介や琴や直樹やサトル)とうまくやっているのは「この部屋用の私」だと思う。・・・がしかし、ここにいる彼ら(良介や琴や直樹やサトル)が、私と同じように「この部屋用の自分」を創り出していないとも言いきれない。とすると、彼らも実際にはこの部屋に存在していないことになり、畢竟、この部屋には誰もいないことになる。
そして、ここは無人の部屋?いや無人になるには私たちがいなくてはならない
などと考えて、結局は、今の状況が良くわからないと思う。

「琴美」は日がな一日、その人気俳優の電話を待っている。枝毛を切ったり眉毛を抜いたりして、ほとんど家にこもっているが、綺麗好きで料理上手なので、一応兄貴分で部屋の借主である「直樹」は同居を認めている。

酒癖の悪い「未来」が「サトル」を連れてくる。だが本人は酔っ払っていて連れてきた覚えが無いと言うが、「サトル」も「未来」の部屋だと思って入ったが、朝になって、どたどたと目を覚ました同居人たちが現れ、あたふたと出掛ける支度をして消えるのにあっけにとられてしまう。
「未来」は、男娼の群がる地域で見かけた「サトル」を不審に思っているが、「サトル」は昼間うちにいる「琴美」と気があったらしく出たり入ったりし始める。

みんなは思っている。こうして居心地がいいというのは、言わなくてもいいことは言わない、住みやすい距離を保って暮らしているからだろう。

「直樹」は同居人たちと十分距離をとって無関心でいたいと思っている。ところが何かしら相談事を持ち込まれて関わりを深めていく。
彼は家出をしたことがある。道に迷って恐ろしくなっていた時に、古い山小屋を見つけた。そこには食べ物が蓄えられていて、恐怖心が薄れると火をたいて温まりながら数日そこで暮らした。
「あそこで暮らした時間はほんとにすばらしかったよ。すばらしいなんて、今どき使わない言葉だろうけどさ、あそこで過ごした数日間は、ほんとにすばらしかったんだ。・・・・・すばらしかった、ウン、マジですばらしかったんだ」
と「直樹」は「サトル」に話した。

そして、恐ろしい事件が起きる。犯人のやり場のない気持ちについては巧みな文章の中にこめられている。
誰も気づかないふりをしている。この部屋の住人は「未来」の言うように、みんないるから無人なのである。

考えれば生きていることはそれぞれの距離が保たれて生活できる時間が流れている、しかし、内心をむき出すと、それが自分の本心だと改めて気がつき、なかまがそれをふと見聞きしてしまうと恐怖感が湧くかもしれない、といって生活の外に出てしまえば、結果は自由であっても、繋がっていると思っている現実から孤独な世界に放り出されることになる。

 地球の外の宇宙に出てしまいたい、「直樹」の見る夢の中の宇宙、そこには彼が望む開放感がある、だが宇宙の広さはやはり孤独で、目覚めれば5人が暮らすこの部屋は、窮屈でも本音さえ話さなければ住みやすい。

最近の若者の付き合い方はこんな風に内面を語らず、気楽な付き合いで日々を過ごしていくのはたやすい、それを世知というのかもしれない、若者に限らず……。
ただ、それはどこと無く淋しい。そんなことを感じさせる話だった。

映画化されている
直樹・・・藤原竜也   
良介・・・小出恵介
未来・・・香里奈
琴美・・・貫地谷しほり
サトル・・林遣都

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2026年03月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

朝井リョウさんが、YouTubeのとある番組で紹介されており、手に取りました。

5人の若者のそれぞれの心のうちが赤裸々に描かれていて、文章が自分の胸にじわじわと染み渡るように広がってくる。それぞれの若者達の思いが、自分もいつかどこかで思っていたような感情で、懐かしいような、そんな思いもした。

5人の関係が、気を許してるようで全く許してないような、なんだか、“ごっこ”みたいな感じ。それが最後にあんな展開になって、ちょっとびっくり。それでも皆、一緒にいるんだ…。

人の気持ちって、本当にわからない。


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2025年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1番まともそうな直樹が通り魔なのだろうなというオチは正直予想できたが、それをみんなが受けいれて何事も無かったかのように「上辺」の付き合いを徹底して過ごしているのだというオチは想定外だった。結局人間は見せたい部分だけを見せて、見たい部分だけを見る生き物なんだ。そして、見せたい部分だけ見せててもやっぱり人間は人間のことをよく見ていて、醜い部分もちゃんとバレるんだ。でも人間って死ぬまでそんなもんなのかな、自分の気持ちは自分だけが知ってたらいいや、と。たしかに「こわい」物語でした。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリーホラー?そんなジャンルはあるかは知らないけど、。共同生活をする5人の若者の話。それぞれの視点から物語は描かれる。彼らの生活には小説的な事件は起きないが、なぜだがスルスルと読み進めることができた。各章に散りばめられた違和感が、先を読み進めたいと思わせてくれる仕掛けになっていた。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マンションに住むそれぞれの視点から描かれる
みんな何かしら問題、悩みを抱えてるけど
最終的に1番頼りにされてまともそうな兄貴分の直樹が通り魔という。
それもみんなそれを受け入れて生活してるあたりが最後怖かった

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2025年09月19日

ネタバレ 購入済み

おもしろかった

おもしろかったけどよくわからなかった。
純文学も混じっているような作品なのでじっくり何度も読んだ方が味が出てくると思う。
ただ最後は少しゾッとする感じでしばらく引きずる作品だった。
二度目はもう少しいろんな箇所に気をつけて読んでみたい。

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2021年04月10日

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