あらすじ
「BUTTER」著者渾身の女子大河小説。
大正最後の年。かの天璋院篤姫が名付け親だという一色乕児は、渡辺ゆりにプロポーズした。
彼女からの受諾の条件は、シスターフッドの契りを結ぶ河井道と3人で暮らす、という前代未聞のものだった――。
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Posted by ブクログ
明治を生きた女性たちからみた日本史。
道のエネルギッシュでありながら爽やかな人柄と生き様に惚れる。
人生の全てを女子教育と平和教育に捧げた彼女と、ゆりの献身的な日々に感動。当時としては珍しい海外留学をし、リベラルを経験した彼女たちが日本に帰国した時の絶望の度合いは計り知れない。
野口くんや有島くんや徳富くん、太宰くんが当時の頑迷な日本人男性を代表する役割に当てられているのが面白かった。
女は、愛は奪われるもの。不幸に酔うだけで疑問を抱きもしない男たち。時代はまだまだ女に風当たりが強かった。でも、封建的なこうあるべきっていう生き方に反発して、悩んで、自分たちの殻を必死に破ろうとしている男性陣の苦悩もわからないわけではない。
道たちはアメリカで学んだことをちゃんと実践に移し、女性解放に一石を投じた。そして、道が死ぬ最後のその瞬間まで2人が姉妹であり続けたのも、めっちゃ感動して泣いた。
女同士の友情、愛情は素晴らしいと思うが、この2人の様な魂レベルの結びつきは特殊すぎて私の理解を超えるけど、ゆりの献身に涙がこぼれたし、とても優しいラストで読後もしばらく余韻が収まらなかった。