【感想・ネタバレ】新しい世界史へ 地球市民のための構想のレビュー

あらすじ

グローバル化が進み,ますます一体となりつつある現代世界.従来のヨーロッパを中心とした世界史像は,もはや刷新されるべき時を迎えている.いまこの時代にふさわしい歴史叙述とはいかなるものか.歴史認識のあり方,語り方を問い直し,「世界はひとつ」をメッセージに,地球市民のための世界史を構想する.

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Posted by ブクログ

ネタバレ

現行の世界史の問題点を挙げ、「新しい世界史」の構想を打ち立てた本。

現行の世界史には、①日本人の世界史であること、②自と他の区別や違いを強調していること、③ヨーロッパ中心史観から自由でない、という問題点がある。

私たちが世界市民の一人であることを理解できるような世界史にするために、著者は、これらの状況から脱却する必要があると述べる。

たしかに高校世界史の大半はヨーロッパ関連にあてられているし、学生はそれが中心のように思うだろう。
各国でどういった教育をするかということは、国際社会において大きなファクターになる。今後が注目されるところ。

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2013年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 グローバル化がすすみ,ますます一体となる現代世界において,「地球市民」による「新しい世界史」のあり方を提起した書。
 これまでの学校教育の世界史は,時系列による各国の歴史であり,またヨーロッパが中心であることに,さしたる疑問も持たずに慣れ親しんできた。
 しかし著者はこれらを取っ払い,「人間集団間の総合的な比較によってある時代の世界の見取り図を描く」ことが必要であるとした。つまり世界史を時系列で捉えるのではなく,現代世界との対比を重視し,横との関連性を重視していくというのだ。この手法には,正直なところ難解に感じた。だが著者も述べているが,具体的な議論はこれからであろう。刺激と可能性に満ちた内容であり,世界史を教える教員は一読すべきだと思う。

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2011年11月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 現在の「世界史」を自他の相違を所与の条件とする自国中心史観、ヨーロッパ中心史観とみなし、それに代わり、「地球市民」「地球主義」に立脚し「世界はひとつ」と実感できる「新しい世界史」像を提起する。歴史叙述からのあらゆる中心性の排除(被支配者やマイノリティ中心の見方も危険視される)、時系列による通史の放棄など、従来の歴史学の常識を否定する大胆で野心的な試みである。

 問題は「世界はひとつ」という考え方、「地球市民」という帰属意識自体がある種の権力、イデオロギーとして機能する可能性に無自覚なことである。本書がヨーロッパ中心史観の例として攻撃する「世界システム」論が、「周縁」の立場からの新自由主義への批評性をもつのに対して、世界をフラットな存在として認識しようとする本書の考え方ではそうした批評性はなく、むしろグローバル化の諸矛盾を覆い隠し現状を追認する効果を与えている。英語での発信にこだわるのもその一例であろう。

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2018年08月16日

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