あらすじ
「喋々喃々」=男女が楽しげに小声で語り合うさま。東京・谷中の小さなアンティークきもの店を営む栞。ある日店に父親に似た声をした男性客が訪れる――少しずつふくらむ恋心や家族との葛藤が、季節の移ろいやおいしいものの描写を交え丁寧に描かれる。
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Posted by ブクログ
世界観を掴むのにかなり時間がかかりましたが、掴んでしまえば割とのほほんとしていて、久々に穏やかな気持ちで本を読めました。栞ちゃんしたらぜーんぜんのほほんとしていない物語、というのは承知ですが……。
大雑把にいうと不倫話なわけですし、読んでいる間も「でも春一郎さんこれ不倫してるってことだもんな……」というのは抜けませんでしたが、それでも世の燃え上がるようなどろっどろの不倫を描くわけでなく、純度高めな恋愛話として描かれているのが印象的でした。
Posted by ブクログ
春一郎さんと栞、二人の食事の場面が美味しそうだった。春一郎さん妻子持ち?なのに栞に優しすぎ。栞は自分の気持ちに嘘をついて辛いしかわいそうになった。でも再会した二人に新たな進展がありそうな終わり方だったのが良かった!
Posted by ブクログ
どんなに綺麗に描かれても不倫ってだけでどうしても嫌悪感を抱いてしまうのだけど、なんだかんだ最後まで一気に読んでしまった。
とにかく日々の描写が美しい。
でも春一郎さんみたいな優しいと見せかけた狡い男には痛い目をみてほしかった。
Posted by ブクログ
いつも通り、美味しい食べ物と丁寧な暮らしが描かれた小川糸さんの本。
偶然、物語同様に丁寧で素敵な小川さんの暮らしぶりを載せた雑誌を読んだので、妙に納得というか、物語の中の主人公が料理する事や季節の行事を大切に過ごす事などが、上っ面だけでなく小川さんが過ごす日常のエッセイのように感じた。
そんな清潔感があり、静謐な物語を読み進めながら、最後はどこに終着するのだろうと思っていた。
栞と春一郎さんとの関係は、側から見たら世間的には許されない「不倫」なのだろうから。
どんなに栞がその立場を理解して慎ましく行動していても、奥さんと子供側からしたら綺麗事では済まされない。
…とは常識的には思うけれど、私はなぜか肯定してしまった。現実にもいるんだろうな、なぜか真面目に惹かれ合ってしまう、離れたくても離れられない運命みたいな。
「本当に好き」な人とどのタイミングで出逢えるか教えてくれたらいいのにね。
ただ春一郎側からの気持ちは綴られていないので、本当のところはわからないよなーと意地悪な気持ちで読んでいた私もいた。(栞は彼からしたら都合良いよなと)
いつも誰かに尽くしているような栞。
父だったり、妹達だったり、好きな人だったり。
でも、それは着物という自分の好きな事を仕事にしていたり、好きな土地に生活しているからこそなのだと思う。
それらが成り立っていなければ、他の人に献身的にはなれないのかもしれない。
自分が好きな事を選択できているからこその行動かと考えると、案外わがままに生きているのかもしれない。
最後、大晦日に訪れた春一郎。
薬指の変化。ボストンバッグ。
幸せになれると思って良いのだろうか。
それが束の間だとしても、彼女は既に覚悟してるのだろうけれど。
※旅館の食事がめっちゃ食べたい!
Posted by ブクログ
蓮見まどか
息子夫婦と同居しているが、お嫁さんとの折り合いが悪いらしい。
横山栞
谷中でアンティークきもの店「ひめまつ屋」を営む。三軒長屋で、一階は店舗、二階は住居。
花子
栞の妹。まどかと気が合う。外国から日本にやってきた観光客相手の商売をしている。
福
栞が飼う赤い金魚。
金太郎
栞が飼う黒い金魚。
木ノ下春一郎
着物を買いに来た。
楽子
栞の下の妹。種違い。ラッコ。
鈴木良子
栞たちの母。
栞の父
実家のある北陸の山奥で、ほぼ自給自足に近い生活を営んでいる。
岡田雪道
フォトジャーナリストの卵。栞の元カレ。
小春
木ノ下の娘。
坊や
まどかのひとり息子。
イメルダ夫人
近所の寺の住職夫人。
鈴乃
父の再婚相手。
イッセイ
早乙女一成。近くのお屋敷に住む老紳士。
小町
野良猫。
弥生
イッセイが持っている写真の女性。初恋の人。
岡田聡美
雪道の妻。