あらすじ
イタリアの寒村に生まれ育った私生児の〈ぼく〉は,下男から身を起こし,アメリカを彷徨ったすえ,故郷の丘へ帰ってきた――.戦争の惨禍,ファシズムとレジスタンス,死んでいった人々,生き残った貧しい者たち……そこに繰り広げられる惨劇や痛ましい現実を描きながらも美しい,パヴェーゼ(1908-50)最後の長篇小説にして最高傑作.
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Posted by ブクログ
私生児の「ぼく」が成長し、知恵をつけて独立し、アメリカで資産を得て故郷に戻ってくる話だが、時が行ったり来たりするのと登場人物が多くて整理しきれなかった。
解説を読んで、たくさんの象徴が用いられているのがわかった。
月は死と復活の象徴であり、篝火も夏至の夜、聖ジョヴァンニの祭りに焚かれて再生と豊穣を祈るものである。
最後に、ファシストと通じていた美しいサンティーナが銃殺されて葡萄の枝と燃やされ、その痕が篝火の痕のように残っていた、という描写があるが、それは祭りの供物であり、戦争の供物であったという解説になるほどなと思った。かつての「ぼく」の主人の3人の娘たちは、サンティーナをはじめ、それぞれ男に振り回されて悲惨な死に方をした。一方、孤児院からの月一の入金を目当てに養父に引き取られたようなぼくは、私生児と揶揄され、入金がなくなってからは養家に置いていかれながらも強く生き抜き、戦争と搾取でボロボロになったガミネッラの丘に資産家として帰ってくる。アングィッラ(うなぎ)と呼ばれたそのあだ名が彼の生き方を象徴していると思う。彼の親友で賢いヌートが共産主義的な考え方をするように、戦争やファシズムだけではなくて、金持ちが貧乏人を搾取するあり方への批判も感じられた。
が、難しい。ちゃんと読めてない気がする。