【感想・ネタバレ】出禁のモグラ(6)のレビュー

あらすじ

呪いのゲーム
『ブーギーmanクラッシュ!』は、
制作者の霊(ホスト)が
ファンの生者を呼び込んで創り出した
「批判のない夢の世界」であることが判明。

ラスボスを倒し、
霊を祓いたいモグラたちだが、
ゲームが進むにつれ見えてきたのは、
制作者の心の闇でーー。

真のエンディングに辿り着けるのか。
呪いのゲーム編、クライマックス!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白い、名作だ、と言われる漫画に必要な条件や定義は色々とあるだろうが、私個人としては、前の巻より面白いってのは大事かな、と思っている。つまり、この(6)は(5)を上回っているので、『出禁のモグラ』は名作、と呼ばれるべきだ、と力強く言いたい訳だ、私は。
これまでも、『出禁のモグラ』では、怖いっ、と感じる事は多々あった。前シリーズなんか、何度も鳥肌が立ってしまった。
しかし、その恐怖はオカルト的だったり、鬱屈した人間の闇の部分に対するものだったが、この(6)で感じた恐怖は、看守である浮雲さんが揮った圧倒的な暴に、だった。『嘘喰い』で登場する立会人レベルの暴だわ、これ。
看守だからこそ、モグラを守る、それが浮雲さんにとっては大事。そのモグラが囚人として過ごせない状況になったのならば、相手の理など容赦なく捻じ伏せ、無慈悲な攻撃を加え、命を刈ろうとする。この世には、色んな恐ろしいタイプがいるけど、自分の職務に、どこまでも忠実だからこそ、自分の役目を果たすためなら、手段を一切、選ばないタイプは一線を画した怖さがある。
そんな浮雲さんの、文字通り、人間離れした怖さで読み手を震わせたのと同時に、この騒動を起こしていたゲームマスターの抱えていた闇を露わにし、読み手に「これは果たして、悪と言えるのか、悪として裁くべきなのか」と考えさせるのもまた、江口先生、テクニシャンだなぁ、と感じさせてくれる。
実際、誰でも持っていると思うんだよな、この劣等感と自己顕示欲、「好き」を共有したいって欲が綯い交ぜになったものは。そんな人間らしい心から、この騒動を起こしてしまったのは、一人の天才少年。子供だから何をしても許される訳じゃなく、やっちゃいけないラインを越えてしまった以上、その罪は裁かなきゃいけない。そう、この少年は、自分が犯した罪を裁かれるべき所で踏み止まってくれていた・・・逆に言えば、そこで踏み止まらなかったのなら、私は子供であっても、裁く事はせず、その命を断つべきだ、と思っている。
最後の最後で、毒繭アケロンティアこと熊谷誠治(故48)に好い働きをさせるってのも、江口先生かつこの『出禁のモグラ』らしいな、と感じた。何がどうってのは説明し辛いんだが、藤田和日郎先生の『双亡亭壊すべし』の凧葉やみなぎ得一先生の『足洗邸の住人たち。』の福太郎のような、本来であれば、非戦闘員であるはずの絵描きが、戦いの勝敗を引っ繰り返すような一手を打つ爽快感に近いものを、この熊谷の言動に、私は感じた訳である。
この「呪いのゲーム」編の着地点は、ハッピーエンドじゃないけど、バッドエンドやビターエンドでもなく、結局んとこ、こういうのが一番、落ち着くんだよな、と思えるものだった。他のシリーズに負けない、色々と考えさせてくれるものだった。
ちょっとじゃ済まないレベルで「呪いのゲーム」編が重かった事もあってか、江口先生、「猫附ゼミ夏合宿編」は結構、はっちゃけてるっつーか、明るさに全振りしてるわ。こういう、明と暗の使い分けも、江口先生の武器だ、と私は思う。
悪い奴じゃないし、むしろ、良い奴なんだけど、絡み辛いっつーか、積極的には関わられたくないタイプである、陽キャの更なる先にいる藤村に対する苦手意識を、ほんのちょびっとであるが、ドッヂボールで克服した真木くん。そんな彼の背を、モグラが良い感じに押してくれているのが、これまた、グッと来る。この背中の押し方、やる気の出させ方は勉強になるわ。

この台詞を引用に選んだのは、モグラは真木くんのことをちゃんと見てくれているんだなぁ、と感じたものだったので。
短所や弱点を悪い、とせず、それも個性を形成する大切なものと見た上で、優れている部分をしっかりと、本人よりも把握してくれているのは嬉しいもんだ。
「真木の弱点は、全てにおいて、『ビビリ』なとこだ!他の点では、判断力も行動力もある!!ビビリを取っ払えば強いぞ!!」(byモグラ)

この台詞を引用に選んだのは、深いなぁ、と感じたので。
熊谷誠治(故48)って、アクが弱くないキャラが言うからこその説得力。
毎度のことながら、名言は言うキャラも大事だな、と思う。
人生は儘ならない、でも、だからと言って、何の努力もしないってのは違う。
どうにもならない、と解っているからこそ、少しでも、どうにかしようって足掻くのが人間だ。
その足掻きを止めてしまった時、人は、気付かない内に、自分の「大切なもの」を自分で捨てちまってるのかも・・・
「生きたい人が早死にして、生きたくない人が苦しみながら生きています。世の中、上手くいかないです。世の中、変です。いつだって、一番欲しいものは手に入りません。3番目くらいに欲しいものの方が、何故か、手に入りやすいです。皆、それはわかっていて、それに対する対応の仕方が、多分、人生の分かれ目です」(by熊谷誠治)

この台詞を引用に選んだのは、上にも書いたが、モグラの発破の掛け方は学ぶところが多い、と感じているので。
社会人としてやっていくには、ある程度、こういう能力が必要なんだよな、と悩む事が度々。
後輩の、困難に立ち向かう勇気を引き出したい時、このスタンスを参考にしたい。
また、モグラのこれで、戦う気持ちを持つ真木くんも良い奴だな、と思える。
「それにな、真木も一回、戦った方がいいな。『藤村』って、よく、お前の話に出てくる、『気のいいジャイアン』ぽい奴だろ?見てわかったよ、ドッジボールの件も、また押し切られたんだろ。お前、見るからに気が進まなさそうだもんな。ただな、いつも我慢して意見を譲るのはお前の勝手だが、譲る以上、相手の土俵で戦うのを許すってことでもあるな。なら、ちゃんと戦ってみないか、まぎ太くん」(byモグラ)

こちらの台詞もまた、モグラの人(まぁ、神様なんだけど)としての器がデカいってことを魅せてくれるものだ。
モグラの中で、藤村に対する恨みは、相当に深かったはずである。
しかし、藤村に敗北の味を舐めさせた事で、その恨みをキッパリと捨てるのは、漢にしか出来ない、と私は思った。
許す力、これもまた、人間には必要か・・・
「よォーし!!これで許―す!!!」(byモグラ)

1
2024年06月16日

con

購入済み

浮雲さん…っ

浮雲さん只者じゃぁないと思っていましたが、こんな早めの巻でこんなかっこよすぎるご活躍をされるなんて、さらに惚れます!!
教授の出番も多く最初から最後まで楽しめる巻でした!

#笑える #カッコいい

1
2024年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

呪いのゲーム編、まさかの人の介入でまさかの展開になりかけてびっくりした。
権限行使されたら最強か。
熊谷さんの説得のお陰で力業ぶった斬りエンドにならずに本当によかった。
そして、更にキャラ特性が追加された森君である。
楽しそうでなによりです。

後半は猫附ゼミ合宿話。
教授めっちゃはっちゃけてるな、キャラ崩壊かと思ったけど、そういえば奥さんでマウント取ったり、そもそもあの方を奥さんに迎えている時点でお茶目さんだよねと妙に納得した。
ただ除霊という意味では解決しなかったような。
あの後、問答無用で食われただろうな、あのお調子者の霊。

どちらの話でも真木君のコンプレックスだったり臆病だったりする部分を取っ払ったときに見られる長所に焦点当たっていたのが印象的だった。
弟君より本当にいい男だよ、真木君!

1
2024年01月27日

ネタバレ 購入済み

ゾクッと笑える

ゾクッと笑える。ゲームで出てきたあの人は準準レギュラーになるのかな??なんだかんだあったけど、一番おもしろかったのはオマケページの店長の話だった!

1
2024年01月26日

Posted by ブクログ

私は泣いてしまったけど、どんな背景で読むかで見えるものは変わると思う。
今回は特にそんな感じがした。

数回読み直します。

1
2024年01月23日

匿名

購入済み

毒繭アケロンティアの中の人、実際こういう事ありそうであるある過ぎました笑 後半の合宿の話しも面白かったです。

0
2025年12月05日

aid

購入済み

いつもの表情のまま、華麗なヒザ蹴りする浮雲さんがかっこよすぎる。
現状、できる限りの収束に向かってよかった。
夏の猫附ゼミ合宿は、みんなワチャワチャしてて楽しい。
歌いながら教授のお弁当を作っているであろう杏子さんが可愛かった!

#笑える #切ない #深い

0
2025年09月22日

ネタバレ 購入済み

情報量多くて再度読む巻

全巻からのゲームの中に入っちゃった編が続いてます。これだけ読むと全巻の内容うろ覚えの人は詰まったコマ割りについて行けないかもしれません。

しかし、ジワリとするオカルト感は健在で続きをグイグイ読ませるパワーは凄いです。面白いです。

次巻が楽しみです。

#深い #ダーク

1
2024年02月01日

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