【感想・ネタバレ】出禁のモグラ(4)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

え、エグッ!? なんだ、これ、(3)の比じゃない、キツさやん。わっかりやすいハッピーエンドで終わっていないのが、これまた、好い~
江口先生、この(4)のストーリー展開、今まで以上にエグさがキレッキレッすなっ!そういうトコ、私は大好きですよ。ほんと、このエグさにショックを受けたくて、『出禁のモグラ』を読んでいる、と言っても過言じゃありません。
正味、前作にして代表作である『鬼灯の冷徹』からではなく、この『出禁のモグラ』から、江口先生の味を知った漫画読みには、ややキツめかも知れず、下手をすると、(5)を買うのを躊躇してしまうかもしれません。でも、繰り返しになりますけど、私は、大好きですよ、こういう展開っつーか、“人間”の描き方。
この(4)の表紙が、純粋善と表現しても良いくらいに、ド天然で「良い子」である詩魚ちゃんによって飾られているから、余計に、本編で露わになった、鮫島一賊の吐き気を催すほどの邪悪っぷりが、より際立っていますね。表紙詐欺って言い方は適切じゃないでしょうが、この対比は、小説家を志している私としても勉強になります。
いや、でも、ほんと、鮫島一賊の抱えていて、なおかつ、島を支配していた闇は、思っていた以上に澱んでいて、根強く、何より、ドス黒かったですわ。
一体、どれほどの屍の山を積み重ね、その頂上に、己らの栄華を築いていたのか、そう慄くと同時に、そんな支配形式だったからこそ、思いもよらぬタイミングと人物によって、呆気なく崩壊させられるのだな、とスンッと自然な納得にも到れます。
鮫島一賊だけじゃなく、モグラたちの言動からも、人の本質とはどこに、なおかつ、何なのか、と少し真面目に考えたくなりますね。
少なくとも、私は善と悪、そのどちらかだ、と決めつける気はなく、むしろ、善と悪が最初は50:50で、環境や他者との交流、挫折などの経験で、その比率が変わっていく、いわゆる、混沌・混雑の状態こそが、人の本質だろう、と思っています。色んな感情や思考がゴチャゴチャしていてこその人間だからこそ、そんな人間が集まって、社会が形成されていくんじゃないでしょうか。
この(4)のメインが誰か、となると、それは難しい所ですね。モグラも、真木くんも、八重ちゃんも、誰も彼もが良い味を出していたので、この(4)の質がより高くなっている訳ですから。その上で、あえて、私の印象に残ったキャラを言うのならば、森くんが人魚に引っ張られた時、咄嗟に体が動いた真木くんですね。確かに、見た目はイモいかもしれませんが、ここで動ける男はカッコイイですわ。
鮫島一賊が支配していた国は、こうして、瓦解した訳だが、これから、どうなっていくのか、色々な意味で楽しみですね。良くも悪くも、女王様なユイが、これから、どう化けるのか、期待はしています。悪女ぶっちゃいるけど、杏子さんに負かされ、ギャン泣きしているあたり、根はそこまで腐っていないのだろう、と思えました。何と言っていいか、分からんけど、自分の人生、てめぇを嫌いにならないで済むやり方で楽しもうぜ、ユイちゃん。

この台詞を引用に選んだのは、モグラの抱えているモノが、また一つ明らかになってきたな、と感じたので。
とんでもない年月を生きている訳だから、モグラは、この言葉通り、多くの別れを経験し、「死」を視てきたはずです。
常人、いえ、常人以上であっても、心が壊れても不思議じゃありません。
でも、モグラは、少しばかり厭世的で、言動にやさぐれた感が漂いながらも、完全には絶望しきっていません。
きっと、これは、心が壊れていない、からじゃなく、壊れても、その都度、モグラが壊れた自分の心を自力もしくは周りの力を借りながら直してきたからでしょうね。
まぁ、極端な言い方をすれば、いっそ、完全に壊れ、誰かを救いたいって気持ちをとっくに失っていたら、モグラは何度も辛い目に遭わずに済んでいるのかも知れませんけど、彼からお節介な部分が無くなったら、一体、誰になるんだ、って感じですよね、きっと。
何にせよ、これからも、モグラは、これまでのように、自分が傷付くのは百も承知で、余計なお世話を働いて、キツい現状にある人を救おうと全力を尽くしちゃうんでしょう。
そんなモグラだからこそ、真木くんみたいな、イモいお人好しタイプが、ついつい、手を貸してしまうのですね、きっと。
「余計なお世話なんじゃねぇか? 正直、そこはわかんねぇよ。でも、たとえ、何もできなくても、何もしなかったら、八重ちゃんが後悔するのはわかってる。お節介、自己満足、確かにそうだ。だが、少なくとも、俺は気付かれずに死んだ人と、気付かずに後悔した人を、両方、死ぬ程、見てきてる」(byモグラ)

もう一つ、強烈だった台詞を紹介。
ただ、これは、この台詞自体がインパクト大っつーよりも、モグラにこれを言わせ、殴らせるほど、鮫島鯉太郎の人格的なヤバさにゾッとしたって方が正確です。
自分の頭で考えず、心で感じず、魂を磨かない、依存している相手の言う事だけを愚直に信じた状態で生きてきた人間は、ここまで気味が悪くなれるのか、と吐き気すら覚えましたね。
江口先生、よくもまぁ、こんなおぞましいキャラを生み出し、ここまで不気味に動かせますな。
俗っぽい言い方に成っちゃいますけど、バケモノよりも、そのバケモノを生み出して育ててきた人間の方が、よっぽど、人でなしですわ。
この強烈な一撃を喰らった読み手で、私も含め、自分で物事を考えねば、と思えるようになると良いですよね。
「いい加減、自分で考えてごらんなさい!!!」(byモグラ)

そんで、もう一つ、紹介。
これは、何と言うのか、モグラに、良かったですね、と言いたくなったから選びましたね。
私ごときが偉そうに言っちゃいけないんでしょうけど、モグラの表情を描かないってのが、これまた、上手いですよね、江口先生。
雄八さんからの手紙を読んで、モグラは、一体、どんな感情を浮かべ、この台詞を絞り出しているのかな、と考えたくなります。
生きている意味、ぶっちゃけ、私には、まだ分かりません。
むしろ、30代で、自分が生きている意味を完全に理解している奴がいたら、相当に痛々しい具合じゃないでしょうか。
ぶっちゃけ、人間、死んだ後にしか、自分が生きた意味に気付くもの。
しかし、生きている意味、それを考える事自体は、決して、くだらなくはないと思うので、皆さん、この『出禁のモグラ』のように心に刺さる好い漫画をたくさん読んで、自分の頭で色々と考えてみたらどうでしょうか。
「・・・俺なあ、来てよかったよ。八重ちゃん、ありがとうな。あと、まあ、生きる意味な、多少はあるな」(byモグラ)

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2023年06月25日

購入済み

こわいよ

人間の業の深さをまざまざと見せつけらる。ちょっとしんどい怖さかも。そして教授が妻になんと言ってプロポーズ?したのか気になった。暗い気持ちで読み終るところだったけど、最後のおまけで爆笑しました。

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2023年04月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

八重ちゃんの故郷の島編完結編。
まさか4巻オールこの話になろうとは。
モグラファミリー総出での解決劇に。
みんなそれぞれ(杏子さんも含めて)活躍の場があって胸アツ展開でした。
一番活躍したのは、もしかしたらマギー君だったかもしれない。
有能すぎた。

もっと胸糞展開で終わるかなと思っていたら(実際スカっとはするけれど後味は悪いであろう展開にはなりかけた)そこは八重ちゃんパパがきっちり「恥を知れ!」と一喝して、そうあの穏やかそうなお父さんが声を上げてくれたお陰で、すっきりした形で終われてよかった。
森くんもあれだけ笑えるようになったなら、もう大丈夫だ。
また東京に戻ってから、再会する展開もありそう。

一方でモグラさんの謎は深まるばかりだが。
あれだけ正確に射れて、それでいて島の伝承に出てくるほどには生きている彼の正体は……

最後に。
杏子さんの禁じ手が非常に気になります。
何を彼女に言ったんだ、藤史郎さん。

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2023年03月25日

Posted by ブクログ

キャラ設定が絶妙。前作(鬼灯の冷徹)よりもっと人の業に切り込む名作。
今回は人魚巻ですな。人魚も色々。
モグラと八百比丘尼が多少重なる気もする。

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2023年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

島民がなんかあるとすぐ国のせいする人達に似てるなと思いました。(自分含め) モグラさんかっこいいです。

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2023年08月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

3/23→3/25
第27話 偉大な母の愛
第28話 総括致しますと
第29話 勧誘熱心な人形様
第30話 真価
第31話 僕はヒーロー
第32話 人魚と化け猫
第33話 偉大な母の愛(杏子編)
第34話 人魚の島
第35話 追伸

おまけ漫画
おまけ① 島と移動
おまけ② 島と買い物

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2023年04月05日

Posted by ブクログ

人間界の話だからか、鬼灯よりももっと泥臭く人間の業というか欲というか罪というかが描かれてるなと思うので、心がしんどいときには読みにくい。
モグラさんは何者なのか気になる。

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2023年03月26日

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