【感想・ネタバレ】木曜殺人クラブ 逸れた銃弾のレビュー

あらすじ

大規模な詐欺事件を調査していたキャスターが、不可解な事故で死んだ。〈木曜殺人クラブ〉は、事故の裏に何かあると直感し、捜査を始める。一方、メンバーのひとりであるエリザベスは、友人のジョイスを殺されたくなければ元KGB大佐を殺すようにと脅迫され……。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

『木曜殺人クラブ』シリーズ第3作。

あるテレビキャスターの死とエリザベスの誘拐。2つのプロットが同時に進み、ひとつになっていく展開は、ありがちながら、本書のようにうまく構成されているとやはりこの上なく面白い。

老いによる喪失は、本シリーズを特徴づけているテーマのひとつだけれど、本書でも、チェスを忘れてしまったスティーヴンの姿や、そしてラストのエリザベスからジョイスへの(そしてすべての美しいものへの)祈りによってそれが謳われている。

「泳ぐには寒すぎる。しかしジョイスは耳を貸そうとしなかった。エリザベスはジョイスに馬鹿な真似はよして、夏になってもまだプールはあるのよ、と言った。
『そうね、だけどわたしたちはいないかもしれないわ』ジョイスは答えたのだった。」

(中略)

「ジョイスはエリザベスが見ていることに気づき、手を振る。エリザベスは手を振り返す。泳ぎ続けて、ジョイス。泳ぎ続けて、わたしの美しい友よ。水から顔を出して、できるだけ長く泳ぎ続けて」

ゲーテの言葉、「(神は)移ろいやすいものだけを美しくした」という詩のことをふと思い出す。
続刊が楽しみなような、訪れる喪失が怖いような不思議な感覚だけれど、第4作が邦訳されたらまた読んでみたい。

0
2024年04月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この作品だけではないけれど、欧米の小説で往々にして見られる高齢者の恋愛事情、日本とは違うなあと思わされる。
今回は後期高齢者であるロンに若い彼女ができた。
その他、作中で61歳の男性が20代前半の彼女に愛情を寄せ、彼女もまた彼を守るために身を引くというロマンスも。
完全に身を引いて10年、互いに相手を思う気持ちが薄れていなさそうなところも含めて、日本とは違うなあと思うのだけど、それは恋愛偏差値底辺の私だからなのかしら。

それはさておき、今回の事件はゴリゴリの刑事事件で、さらにエリザベスの誘拐事件まで絡んできて、次はどうなる!?が止まらなかった。
たぶん彼女のことだからうまく切り抜けるのだろうと思いつつ、逃げ道はどこ?
それがタイトルの『逸れた銃弾』につながった時、解決してないじゃーん!!って。

前回の事件で逮捕されたコニー・ジョンソンはロンとボグダンに復讐を誓っている。
牢から出ることができた暁には、絶対に殺してやる、と。
そんな彼女にイブラヒムは近づき、カウンセリングをするのだが、一体彼女が刑期を終えるまでに復讐を断念させることはできるのか?というのも今後の見どころとなるのだろう。

この作品には多くの老人が出てくるが、彼らに生活の不安はあまりない。
でも、彼らが幸せそうに見えるのは、お金のことよりも傍にいつも仲間・友達がいるからなのだろう。
元労働運動家のロンが、元大物犯罪者のジャック・メイソンや元KGB将校のヴィクトルと友情をはぐくみ始めたシーンはよかった。
けれどそれは永久のものではない。

エリザベスが寒空の下、空中プールで泳ぐジョイスに、「夏になってもまだプールはあるのよ」というのに対して「そうね、だけど私達はいないかもしれないわ」と答えるのが、切ないけれど真実だ。

ボグダンについては、常々、有能すぎて胡散臭いと思っていたのだが、エリザベスがボグダンは自分に秘密を持っていると感じていることが分かって、逆に信じていいのだなと思い始めた。
裏切るなよ、ボグダン。

0
2024年12月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

木曜殺人クラブ第三弾。

このシリーズが面白いのは、
何と言ってもジョイスのおかげだという気がしてきた。
エリザベスとの息の合った掛け合い漫才のような会話も笑えるし、
(ジョイスは元スパイなの、とエリザベスに無茶ぶりされても、
「言えないのよ」「話せたらいいんだけど」とぼけをかます)
あくまでもミーハーで恋する乙女なのもかわいらしいし、
それでいて、
「毒は入れないって約束する」と言った舌の根も乾かないうちから、
あっさり睡眠薬のお茶を暗殺者に飲ませる手際も素晴らしい。

女性キャスターの殺人を調べるため、
ロンを囮に有名なキャスターを罠にかけた木曜殺人クラブ。
だが、エリザベスは夫とともに誘拐され、
スパイ時代の知人元KGBを殺害するように脅される。
ジョイスも殺すを脅されて、エリザベスはジョイスと共に、
知人のマンションを訪れて…。

今回は、
ミステリー作家でもある警察本部長が登場し、
警察関係者が多すぎない?と思ったら、
そう来たのかという展開だった。

今までの中で一番ハートウォーミングな作品だったと思う。
元精神科医のイブラヒムが前作の犯罪者に会いに行き、
情報を得ながら彼女を解きほぐしていく様や、
元KGBが墓穴からエリザベスたちを見上げて人生を考える場面、
愛する人を守るためにすべてを捨てて姿を隠したことがわかるシーン、
そして、次のチャンスはないかもしれないとプールで泳ぐジョイスを、
美しい私の友だち、泳ぎ続けてとエリザベスが心の中で呼びかける最後の場面が
素晴らしかった。

0
2023年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

娯楽小説として面白いし、好き

ここが良い!
・銃弾という単語に込められた様々な意味
・エリザベスとべサニーの"最愛の友の命を脅迫の材料にされた"という共通点とそれぞれの選択
・木曜殺人クラブのキャラクター性

ここは厳しい
・VAT詐欺の金の流通先であるペーパーカンパニー名「まちがいなく(アブソルート)ダイナマイト」
・ロバート・ブラウンのアナグラム(ボビー・ブラウン)

木曜殺人クラブの面々の嵐のような勢いに巻き込まれていくのが良い。最終的に楽しくなって、自発的に協力していくようになる過程を楽しんで読んでる。

0
2023年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

犯人が分かった箇所を読んだ時、思わず「えっ!」と大きな声を上げてしまった!

登場人物が、本キャラから脇キャラまで、しっかり個性が書き分けられてて楽しい。
そんな中、前作に続きやはりボグダンが好き笑

0
2023年08月23日

「小説」ランキング