あらすじ
〈木曜殺人クラブ〉のエリザベスは、元夫で英国のスパイのダグラスと再会する。彼は米国マフィアから高額のダイヤを盗んだと疑われ、助力を求めてきた。だがその矢先、ダグラスは何者かに殺されてしまい……国際的難事件に老人探偵たちが挑むシリーズ第2作
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Posted by ブクログ
『木曜殺人クラブ』シリーズ第2作。今回は木曜殺人クラブ、警察、MI5、マフィアといった面々による、消えたダイヤモンドの捜索劇が話の縦糸になっている。
今作もやはり、(高齢者施設が舞台であるがゆえの)死が常に隣に立っていることがもたらす諦めや虚しさ、そしてその中で生きていくための強かなユーモアが感じられる。
それにしてもジョイスの「当然、すべてが死に関係しているなら、何ひとつ死に関係していないってことよね?」という台詞には胸を突かれた。
前作同様、今作も幾つかのロマンスが描かれたけれど、クリスからパトリスへの告白は情けないながら劇的で、思わず応援してしまう。
前作から続くエリザベスとスティーヴンの関係性は優しく、美しく、そして悲しい。だからこそ、最後のタイトル回収には、それでも前を向こうとするような力強さが感じられた。
Posted by ブクログ
くうー、、相変わらずおしゃれ!
前作で海外ミステリー沼にずっぽりハマり、最近は1930年代あたりのエラリークイーンやヴァンダインの作を楽しんでましたが、続編が出ていることに気づいて久々に現代に戻ってきました。
キャラクターの魅力とウィットに富んだやりとりが傑出しています。タイトルの意味を回収する構成も素敵。最後は思わず涙です。
やや内容が盛り込み過ぎの感はありますが、4人が健在であれば、それでも着いていけるのです。
そしてそして、にくい仕掛けは、ジョイスのインスタ!これは刊行された時代に読むから楽しめる遊びですね。
オンライン会話に慣れないマフィアのやりとりが一番ツボでした。次回はイブラヒムの活躍が見たいです。
Posted by ブクログ
高級高齢者施設に暮らす4人の男女が、自身の持つ知識や行動力で、未解決の事件を勝手に推理する「木曜殺人クラブ」。
今回はリーダー格のエリザベスの元夫がそこに入居してきたことから事件が始まった。
それとは別に、マーティン・ロマックスという、ビジネスマンを騙る大悪党。
金になるなら、盗品だろうとなんだろうと取引の対象にする。
彼のもとから2千万ポンド相当のダイヤが盗まれる。
犯人は、エリザベスの元夫・ダグラスと思われる。
そのダイヤがないと、マーティンはアメリカのマフィアに殺されてしまうので、なんとかしてダイヤを取り戻さなくてはならない。
4人の中で一番内省的なイブラヒム。
新しいことをはじめるのが苦手で、今まで外出もあまりしなかったが、意を決して街に出た。
楽しい数時間を過ごし家に帰る途中、自転車に乗った若者たちに襲われスマホを奪われ大けがを負う。
仲間たちは当然犯人に目にモノを見せてやると息巻くのだが。
一度読み始めたら止まらないくらい面白いのだけど、ひとつだけ気になることが。
イブラヒムを襲った犯人のライアンに、木曜殺人クラブのメンバーは報復をするのだけど、自分たちが違法に買ったコカインと、イブラヒムの財布から持ち出したカードをライアンの家のトイレタンクに隠して警察に通報する。
それは、犯罪では?
ホリー・ジャクソンの『卒業生には向かない真実』を読んだ後だから余計気になるのかもしれないけれど、犯人が反省してないなと思ったら、被害者仲間が私的に復讐するのを是とするような共通認識がいまのイギリスにあるのかしら。
だとしたら、それはちょっと怖い。
地味だけど人を見る目に長けているジョイスも、頑固だけどウラオモテのないロンも好きだし、ロンの孫のケンドリックとイブラヒムのやり取りや、エリザベスの夫で認知症のスティーヴンと何でもやってくれる協力者のボグダンのやり取りなどとても好きなのだけど、善人が正義のために行う行為はすべて正しいとする考え方はちょっと…。
今回は事件も大きかったし、悪人だけではなく何の罪もない若い女性も殺されたりしたけれど、それでも読後感がいいのはキャラクターたちのおかげであるのはわかっているのよ。
特に好きなシーンは、ドラッグ・ディーラーを騙しておとりに使った挙句警察に逮捕させたときのこと。
”コニー・ジョンソンはできるだけロンに近づき、歯ぎしりしながら言う。「あたしがシャバに出たら、あんたの命はないよ」
ロンは彼女を振り返る。「ああ、おれは七十五なんだ。で、あんたは三十年ぐらいは食らうだろ。うん、了解だ」”
犯罪とは無縁に、こういう人を食ったような年寄りになりたいと思う。
Posted by ブクログ
木曜殺人クラブ第二弾。
クーパーズ・チェイスに現われたエリザベスの元夫で現役のエージェントは、
無くなったダイヤモンドのためにマフィアとドラッグカルテルから狙われており、
あっという間に殺されかける。
次の隠れ家に逃れたが、
そこでMI5の同僚とともに殺されてしまう。
犯人は誰なのか、ダイヤモンドはどこへいったのか、
そして死体は本物なのか。
もちろん木曜殺人クラブのメンバーが、
調べ推理していくが、
今回は精神科医のイブラヒムが路上強盗に遭い、
引きこもっている。
もちろん、強盗犯人に復讐を誓う他のメンバーたち。
今回はジョイスの閃きがさえわたり面白かった。
ロンが冷や汗をかきながら、マフィアのボス役を演じたのも。
ベテランMI5エージェントが(お笑いコンビなの?)と思ってしまうエリザベスとジョイスの掛け合いには笑って、
人生に持ち合わせていなかった「友人」に夫の認知症のことうまく伝えられないエリザベスには泣きそうになる。
準備を怠らないタイプと成り行きを楽しむタイプを、
気象予報士と天気に例える話も面白かった。
クリス警部は相棒ドナの母親とつきあいはじめたが、
ドナはクラブの荒事を担当してくれている建設業者とつきあうのか?
Posted by ブクログ
映画『RED』が好きな人は面白いはず
好きなところ
・エリザベスの過去を少し分かる
・やりたい放題の木曜殺人クラブとその関係者
・イブラヒムとケンドリックの会話
あまり…なところ
・謎解きミステリではないと思う
・世界観が広がりすぎている
『特攻野郎Aチーム』からインスパイアしたということで、名前しか知らなかったので、調べてみると「個性的で様々な技能をもつアウトローなチームが巨悪に立ち向かう」映画とのこと。そのまんま過ぎて笑った。ということは次作はもっと世界観が広がってしまうのだろうか?
Posted by ブクログ
シリーズ第二弾。
老人探偵グループ〈木曜殺人クラブ〉メンバーのエリザベスの元に、因縁ある英国諜報員から、彼が〈クーパーズ・チェイス〉に引っ越してきたとの手紙が届きます。
困惑しながら彼の部屋を訪れたエリザベスの前に現れた“元夫”は、2千万ポンド相当のダイヤを盗んだ疑いをかけられてマフィアから狙われていると言ってきて・・・。
〈木曜殺人クラブ〉メンバーに再会できて嬉しいかぎり。
キャラクターが定着したのもあって、前作より読みやすく、大いに楽しませていただきました。
今回は、高額のダイヤを巡ってマフィアやドラッグ売人、マネーロンダラーといった“反社系”の方々と渡りあう事になったり、MI-5(英国情報局保安部)の諜報員たちも絡んできたりと、まぁ大忙し。
前作では謎だったエリザベスの過去が明らかになり、彼女の凄腕っぷりに納得すると共に、認知症の夫への切ない思いも垣間見えます。
無邪気なジョイスも相変わらずマイペース。チャリティの為の“友情ブレスレット”を手作りしては、あちこちに押し売りしています(この“友情ブレスレット”が後に事件の謎を解く鍵になるとは!)。
ロンも勿論お元気で、彼の孫・ケンドリックがこれまためっちゃいい子・・と、皆お達者で何より・・・と、言いたいところですが、何とイブラヒムにとんでもない受難が降りかかり、身体と心に傷を負ってしまうのです。
この件については、加害者にかなり憤りを感じていて、当然メンバーを中心とした面々によって報復を受けるものの、“ヌルい!もっとコテンパンにされるべし!”と思ってしまいました。
そして、メンバーの老人たちに翻弄されがちな地元警察のクリスとドナもご健在で、春を謳歌するクリスと対照的にちょっぴりブルーなドナでしたが、終盤でドナにも“出会い”の予感でしたね。
あと何といってもボグダンが万能すぎて、改めて“何者?”って感じです。
・・・といったように、キャラクター達が本当にいい味出していて、それぞれの個性が光っているのがいいですね。
キャラクター&冒険色が強めではありますが、謎解き部分も特に後半に行くにしたがって二転三転して目が離せない展開で、ラストは粋なオチで後味爽やかでした。
それにしても慈善団体〈認知症とともに生きる〉は、短期間で急に寄付が増えて吃驚だった訳ですが、その寄付額の中にロマックスの5ポンドも含まれているのですけれどね~(* ̄m ̄)
Posted by ブクログ
「木曜殺人クラブ」の第二弾。前回より読みやすくて楽しめた。前回は語り部の1人である、ジョイスが果たして良い人なのか、それとも裏があるのか掴みきれなかったが、今回はリラックスして読み進めたことも大きかったかな。マフィアをはじめとする悪人達が隙だらけだったり、エリザベスの腹心的な存在のボグダンが謎の強さを誇るところは、ちょっとご都合的ではあったけど。前回も思ったが、殺人や犯罪に対する考え方が振り切れていて遠慮がない。これは老人だからというより作者の思いかもしれないなと感じた。
Posted by ブクログ
リタイアメントビレッジ(高齢者向け高級住宅街)、クーパーズチェイスに住むおばあちゃん、おじいちゃん達が飛び回る壮年活躍ミステリ第2弾。
エリザベスのもとに届いた意味深な手紙で始まる本作。
前作ではエリザベスの素性はぼかし気味だった気がするのだが、本作ではおおっぴらに諜報機関員だったことを明かしている。
もしかして前作の最後でそんな話になっていたんだっけ!?
手紙の主は過ぎ去ったあの時代の知人かつ〇〇のダグラス。
そんな彼がクーパーズチェイスにやってきたのは、仕事でへまをやらかしたことに端を発し、濡れ衣を着せられのっぴきらない状況に陥っており、身を隠すため。
その濡れ衣とは諜報員として大物犯罪ブローカーの屋敷に潜入調査をした際に、目的とは関係なく、時価2000万ポンドのダイアモンドをこっそりくすねたというもの。
大物ブローカーは屋敷に潜入されたことよりも、ダイアモンドが消失したことに怒り心頭でダグラスが犯人だと言い切る。
ダグラス自身は濡れ衣だと言い張るが、エリザベスに実際のところどうなのか問われると、あっさりと犯行を自白。
ということでダグラスの盗んだダイアモンドをめぐるドタバタ追走劇が始まるのだが、当のダグラスは一度殺されかけ難を逃れるが、すぐさま本当に殺められてしまう。
一体誰が!?
そしてダイアモンドはどこへ言った!?
高齢者を中心とする物語でここまで、冒険活劇しちゃいますか?という展開ではあるが、サイドストーリーとしてのクーパズチェイスでの隣人イブラヒムの味わった恐怖や、エリザベスの夫に忍び寄る認知症の問題だったりと、高齢であることを巡る悲哀観を絶妙に織り込んでいる。
本シリーズ2作目にして登場人物の描き分けがよりパリッとしてきた感がして面白さが増した。
特にバックグラウンドが物語る、クールで抜け目のないエリザベスと、お茶目で自由奔放、ときに危なっかしくもしたたかなジョイスのおばあちゃんコンビがいい。
他にもクーパーズチェイスの面々にいいように使われてもはや違法警官でしかない若手警官のクリスとドナ。
増々スーパーマン然としてきたボグタン。
今後もこのメンバーで色んな事件を解決していくのだろうなぁと楽しみ。
Posted by ブクログ
4人になった木曜殺人クラブの個性豊かな老人たち。今度はエリザベスがらみで元夫のダイヤ盗難事件とイブラハムの暴行事件の二つを軸に、マフィア、MI5,MI6,警察、麻薬のディーラーなどが入り乱れ、誰もが嘘をついている状態になる。そこにメンバー4人の知恵と能力が結合し友情が勝利する見事な結末へ読み手もあっちこっちと転がせられる面白さ、良かったです。
エリザベスの夫のチェス相手だけではなかった!ボクダン無敵だ!
Posted by ブクログ
悪党3者が集合するくだりあたりで、一部ストーリーを見失ってしまったけど、第二弾も面白く読めた。
ジョイスも素敵やけど、ボグタンが最強じゃない?特にラスト、エリザベスとジョイスがクーパーズ・チェイスに戻ってきた時のエレベーターのシーン!最高でした。