埴沙萠のレビュー一覧
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たんぽぽの絵本はたくさんあり、特に平山和子(福音館書店)の『たんぽぽ』は科学絵本の名作だと思う。
たんぽぽ絵本は絵で描かれたものが多いので、これはその点でも貴重だと言える。
埴沙萠(1931〜2016)は植物の写真家で多くの写真絵本を残している。
この本は彼の写真から再構成された本。埴さんの写真を活かして、幼児から楽しめる絵本になっている。
見返しの、たんぽぽより下のアングルから撮った写真(地面に這いつくばって撮っただろう写真)は真っ青な空に向かって伸びるようにたんぽぽの花が咲いている。花にピントが合っているが、茎に生えている毛まで写っている。空とたんぽぽの分量が絶妙。
裏表紙の着地したタネに -
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ネタバレ「やさいはもともと野の草花でした。」から始まる。とても身近な野菜だけれど、そう思うと、急に見方が変わる。人間が手を加えて、畑で育てる野菜だけではなく、野や山に自生しているものもあると思うと、面白い。ゴボウの花とか、知らずに見てるのかもしれない。
この野菜は〇〇の仲間との紹介がある。
うそ!?っと思いながら、花を見ると納得する。
“知らなかった“がいっぱいあった。
ふせんなどでやさいの名前を隠して、あってこしながら読むのも楽しそう。早速我が子にしてみよう。
そして、何より写真がステキだ。
表紙の写真がとても綺麗。
やさいの花に対する概念が変わるくらい。 -
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タイトルにもある「ふわり胞子の舞」を、いろんな角度から楽しめる美しいきのこの本。
普段はカラカラに乾燥しているきのこ達は、雨が降るとみんなすくすく元気になって、嬉しそうに胞子を飛ばし始める。
雨が降るまでぺっしゃんこだったのに、水を感じてぷっくり丸く膨らんで、落ちてくる雫の勢いを使って火山のように胞子を飛ばすツチグリ。
胞子を飛ばすとカサが溶けていって、一晩で姿が消えてしまうヒトヨタケ。
水の流れに胞子を乗せる、小さな黄色い鹿の角みたいなツノマタタケ。
どのきのこも可愛くて面白い。
また、胞子の動きが綺麗におさまるように工夫して写真が撮られているので、どのカットも見応えがあって新しい -
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いのちのきらめきが舞う
美しい。
森の中で密やかにきのこが胞子を飛ばす。その瞬間を捕らえた写真絵本である。
本文は簡素な説明で、漢字にはすべてにふりがなが振られており、子どもむけの絵本であるが、大人が見ても見応え十分。
巻末の解説はきのこに関する基礎知識をやさしい言葉でまとめてある。
きのこは菌類である。通常は菌糸という糸状の形態で成長し、胞子(植物でいえば種子にあたる物)を飛ばして増殖する。
きのこの傘は、子実体と呼ばれる、胞子を飛ばす装置にあたる。
長い時間を掛けた観察の賜物のような写真が満載である。
きのこは雨が好き。
シイの木に貼り付いたウロコタケが、雨の日、揚々と胞子を -
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私はたんぽぽという植物が好きだ。道路の側溝、コンクリートの隙間、歩道やあぜ道で、我々は見るでもなく彼らの姿を目に映している。春を知らせる鮮やかな黄色や、小さなパラシュートの綿毛たちに心を惹かれるのはもちろん私だけではないと思う。
そんなたんぽぽファンから見た本書は、なんと彼らの謎に包まれた生存戦略を垣間見ることができるのである。地中においても密やかにしなやかに、そして決して諦めない生き方には恐れ入る。地上ではなんだか愛らしく振る舞う彼らの強さに、私は唸らされるばかりである。
そういえば最近たんぽぽを見ることが減った気がする。次の春には探しに行くとしよう。