岸本寛史のレビュー一覧

  • 緩和ケアという物語 正しい説明という暴力

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    ネタバレ

    心理学の本を色々読んでいたらたどり着いた本。私は医療従事者でもなく、またその経験もないが、リアリティ溢れる診療の様子が事例として沢山紹介されていて、まるで追体験しているような錯覚を覚え、単純に読み物として面白い。
    ナラティブ・アプローチは緩和ケアの分野のみならず、全てのコミュニケーションにおいて活用できる考え方だと思う。
    「痛み」の定義に関する記載は非常に興味深かった。

    冒頭の「緩和ケアに行かせてください。安楽死させてくれる緩和ケアで死なせてください。」と言う患者に対して、緩和ケアはそういうものではないです.と説教することは、医療的には”正しい”が、ナラティブ・アプローチ的には正しくない。深

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    2024年10月20日
  • 緩和ケアという物語 正しい説明という暴力

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    老猫の看取りで不安になっているので、藁を掴もうと読みました。

    ワタシが読みたかった目的とは違うために“今はちょっとしっくりこない”本でしたが

    人間の家族や友人知人、本人にとっての
    緩和ケアは シンプルな“医療”という面だけではない、ということがあたたかい文脈で語られているようでした。

    ぜひ機会が合えば また読みたい本です。

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    2025年07月08日
  • いたみを抱えた人の話を聞く

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    『幸福の哲学』の中でも「今を生きる」というものがいかに重要かが書いてあった。となると、幸福とは(今を生きるとは)、死という絶対的な自己の破壊に対する唯一の防衛なのかもしれない。
    というか、我々にとって唯一与えられた自由とは「今」にしかない。ここだけが唯一自分の手が加えられる部分だ。幸福のよすがは常に「今ここ」にある。そこから目をそらせば、後悔(過去)と不安(未来)に飲み込まれていくのみだ…と、考えて良いだろうか。

    作中参『心理療法の光と影』
    傷ついた治療者の論は間主観的なものではないか?調べてみよう。

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    2024年03月05日
  • コッホの『バウムテスト[第三版]』を読む

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    ・「描かれたものをそのまま言葉に置き換えてごらん。そうしたら、もうほとんど半分以上解釈になっているよ」

    ・ある独特の身体症状を持っている方が、ある言葉で表現していることが、実は、内界で起こっている身体症状の表現そのものであることがあるわけです。一つだけ例を挙げれば、ある方が、肺がんの脳への転移を、「雁が大陸移動する」という夢を語る、という形で表現された。

    ・私は、小学校の一年生から中学校三年生まで、同一例(三クラスだったので120例なのですが)のバウムを9年間とっているのです。毎年行って、9年間描いてもらったわけです。そのときに、木が天に抜けるという形で紙の上端を抜け出る、風景構成法でいえ

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    2013年12月29日