小菅信子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
第二次世界大戦が終わり六〇年が過ぎ、戦争を直接記憶している人も少なくなった。
だがいまだに戦争についての歴史認識をめぐり、近隣諸国との軋轢は絶えない。
日本はいつ「戦争」の呪縛から解き放たれるのか―。
一九九〇年代後半まで、日本軍による捕虜処遇問題で悪化していた英国との関係はなぜ好転し、ここにきて中国との関係はなぜ悪化したのか。
講和の歴史を辿り、日英・日中の関係を比較し、和解の可能性を探る。
[ 目次 ]
序章 「戦後和解」とは何か
第1章 忘却から戦争犯罪裁判へ(神の前での講和;揺らぐ忘却―制裁の登場;勝者が敗者を裁く時代へ)
第2章 日本とドイツの異なる戦後(ドイツの選択 -
Posted by ブクログ
二次大戦中に起きた出来事についての戦後の感情的対立は、法的には解決済みとされた後でも、日本に対する不信感や偏見の根拠となっている。
本書ではそれらのわだかまりを、未来のために、いかに解決していくべきか
敗戦国の日独が戦後選んだ異なる道、日英の和解例、そして、日中和解の可能性などについて触れながら、語られている。
筆者の選び抜かれた慎重な言葉が、
今の殺伐とした東アジアの空気に、無力に響くなあ、と思う。
優等生的で、相手を強く批判するトーンではなくて、
こういう感性って最近は流行らないんだろうな、と思う。
この本が出て10年、状況はずっと悪化してしまったと思う。
このトーンに、日本人が聞き飽き -
Posted by ブクログ
日本と「戦勝国」の戦後和解の模様を特に東京裁判を軸に論じている新書。色々と興味深く読ませて頂いた。ただ、ちょっと表現が時に意図的なのか、素直に書き過ぎているのか、論争的な問題を扱うにしては、注意不足な言い回しであったりするような気がする。全体として、妥当な主張、妥当な議論なので、本書がイデオロギー的な新書だと指摘される事はあまりないと思うが、その点が気になったのと、もう一つは、ちゃんと論文レヴェルでも典拠をちゃんとしないさいよという話。これはさ、「〜〜と受け取られた」とか「〜〜という印象を与えたはずだ」という場合も、少なからずそう思う根拠を明示しないと行けないし、捕虜等の当事者でもないのに、
-
Posted by ブクログ
2005年におきた日本を取り巻く国々で発生した出来事の中で、特に印象深い人が多くいただろうと思うのが、中国での反日デモの激しさだったと記憶している人も多かろうと思います。
著者は、この日中間の火種を解決して、現代における過去から解き放たれるのかどうかを論じています。読んでみて印象的だったのは、日中間の対立を論じるために日英間での戦後の確執や対立が1990年代になってようやく解消され始めた点に注目し、同じような時間を経過した同じ戦後の問題をどうして日英間では解決できて日中間では解決できないのかを明らかにしようとします。
読んだ感想としては、日中間の問題を解決するために紐解かれた日英間での