井上孝夫のレビュー一覧
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会社勤めをしている著者が、100以上の言語をどのように学んだかについての体験、学習法や読者へのアドバイスが書かれている。専門的な知識はないが、これから多くの言語を学びたいと考えている私にとってはためになり、淡々と、でも愛情を持って言語を学び続けてきた著者の姿勢に感銘を受ける本であった。
著者が人生のそのときどきでどのように学習時間を作り出していったか、ときに作り出せなかったかという体験談は、それが言語でなくとも、趣味として何かを続けていこうとしている者にとっては励まされる部分であると思う。
どの言語から学び始めたらよいかというアイデアは、言語同士の関係性を踏まえて書かれており、どこから手を -
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「本の雑誌」1月号恒例企画「わたしのベスト3」で、著者が恐縮しつつこの自著本を挙げていた。「『日本語誤用指摘本』と思われている誤解を解きたい」とあり、あらま、てっきりよくあるその手の本だと思っていたらそうじゃなかったの?と読む気になったのだが、いやいやこれは!予想を上回る面白さであった。
著者は、「本の雑誌」2013年9月号「いま校正・校閲はどうなっておるのか!」や、2011年6月号「新潮社に行こう!」にも登場していた、新潮社校閲部長。(どちらの企画もすこぶる面白く、特に出版社訪問シリーズは近年ではピカイチではなかろうか。) 新潮社校閲部は六十人をこえる大所帯で、装幀部とともに新潮社の屋台骨 -
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新潮社の校閲部長による日本語についての本。言葉を扱う最後の砦的な仕事をされているからこそ、言葉を大切に、そして生き物のように扱っているという印象。単純に間違えやすい言葉だけでなく、ルビをふるということや、校閲の仕事とは、といったことまで披露してくれている。特に、校閲の実例は面白い。おおよその検討はつく、は「見当」だったり、ご存知とご存じは統一するとか、基本的な内容デアはあるが、意識しないと間違える。神は細部に宿るとすれば、ここで勝負がついてしまうことだってあり得るだろう。そんな緊張感を感じるからこそ、引き込まれるんだろうなと思う。日本語の将来はどうなるんだろうか、電子化の波、ツイッターなどの新
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重版出来6巻のあとがきで紹介されてたので読んでみました。
校閲って仕事についてその道のベテランが紹介する本。
ネットが発達する前は資料が少なくて校閲といえども専門的な内容にはあまり手を出せなかったとか、
校正から校閲になったのがここ30年ほどのことで、校正の頃はとにかく原稿と同じに印刷されたかチェックする仕事だったとか、
ルビの振り方や旧仮名遣いについての出版側の苦悩とか、いろいろ面白い出版裏話が聞けます。
なんと文中のマンガも著者によるもの。多才だ。
校閲は「国語学者」ではなくて「国語の素人のプロ」だそうです。
正解を判断するのではなくて、世間ではどう使われている言葉なのか、それを調べる -
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ネタバレ「校閲とはそんなもんだろうなぁ」という内容で特別大きな驚きや感動は無かった。2時間程度で軽く読めた。
ひとつ途中で気づいて驚いたのは、2割程度のページが割かれている漫画もこの著者自身が描いたもの、ということ。まったく素人ぽくなく、こなれた絵に感心。
結局の所、送り仮名、ふりがな、英語表記、および二重表現などは「絶対これが正しい」と言い切れるものではない場合が多々ある、ということ。また時代によってその可否が変化するので、常に校閲者は「時代の空気」を読んで「これが一般的に受けが一番良かろう」という判断で著者にお伺いをしている、ということ。著者の意図によって変わりもする。
今後、電子書籍を著者自身が -
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不惑を過ぎると、人生の残り時間を意識するようになる。地球上に存在する数千の言語の一つ一つがそれぞれ固有の宇宙を持っているわけであり、ただ一つの言語でさえ、人生の全てを賭しても汲みきれないほどの広大さを有している。とすれば、世界中の言語をくまなく学んでみたいと思ったところで、その果てしなさに眩暈を覚える。
筆者は100以上の言語を学んだというから、筋金入りの言語マニアであることは確かだ。でも、言語によって学んだ深さはまちまちだろうから、それがどの程度凄いことなのかは分からない。実際、いくつもの言語を学ぶと、未知の言語に出会ったときでも、文法の概略を知ることは容易である。人類の言語には、どれもあ