諸橋憲一郎のレビュー一覧
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トランスジェンダーは人間だけの問題なのか。
男と女の狭間に存在する生殖における生を繋ぐ駆け引きでもあり、同性同士の競争であり、そのことが承認欲求や自己防衛本能、そのための集団化戦略だという事を考えれば、「人類の抱える悩みの根源は人間関係にある」とアルフレッドアドラーは言ったが、そのもっと本源には「性差」があるのだとも言える。トランスジェンダーを考えるという事は、「性差」とは何かを考えるという事にも近い。
性にはグラデーションがある。女を好きな男っぽい男。女を好きな女っぽい男、男を好きな男っぽい男、男を好きな女っぽい男、どちらも好きな・・・と、身体的な男性だけでも、複数パターンが存在する。人間 -
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性スペクトラムは人間では最近の概念だが、生物的にいうと進化の過程で当たり前に取り入れられてきた概念であり、サバイブするために必要とされている考え方ということがわかった。つまり、人間は遅れてるんだな。早く男・女という考え方がもっとニュートラルになったらな…
エリマキシギのオスとメスは、縄張り型・サテライト型・メス擬態型オス(それぞれ、ジャイアン・スネ夫・のび太っぽい)がいる。縄張り型は1番強いので、1番にメスを選び交尾する。サテライトはメスが複数いる時に、おこぼれをもらう。メス擬態は見た目がメスっぽいので追い出されることもないので、安心して交尾をする。おもろ。
性は生涯変化する。乳児は性器以 -
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一気に読んだ。おもしろかった。性スペクトラム。
以下メモ。
オスとメスは対局な存在ではない。
エリマキシギ3種のオス、ブルーギルスニーカーなど。メス擬態化のオス。オス何%?これは生涯変わり続ける。
環境、化学物質による人工的なメス化が進行。
魚、一夫多妻制はオス縄張り、小さいオスが100%メス化、たまたま出会ったオス同士でも子孫が残せるようになど。
チョウチンアンコウ、オスはメスの1/10でメスに吸収。
ウミガメやワニは産んだ卵の温度で性別が決まる。温度依存的性決定。
ハダカデバネズミは女王ネズミしか子ども産まない。小さい周りのメスネズミは女王が産んだ子を育てる。女王の糞を食わされてホルモン -
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オス/メスはゼロイチで確定されているモノじゃなくて、一個体でも行ったり来たりするんだよ、という話。昨今の性多様性みたいな風潮に対して、生物学としてどんな知見があるのかと期待して読んだが、明確な答えは無かった。なので、ちょっとモヤる感じ。丁寧な説明で、良い本だとは思うけど。
内容としては、前半は人間以外の動物における性の動態の事例。鳥・魚・昆虫などを例に、メスに擬態するオスやオスに擬態するメス、状況によって一個体でもオスになったりメスになったりする魚がいたりと、かなり興味深い。
中盤は、性を決定するメカニズムとして、遺伝子と性ホルモンが解説される。これに関しては、割と常識的な話という印象。「 -
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「性は2つの対立する極として捉えるべきではなく」とある割には、オスメスが両端にある1軸のスケールであることに変わりはなく、ゼロイチのデジタルではなくてオスメス両端が100で真ん中0の連続値、というだけで拍子抜けした。
オス軸メス軸の交差で2変数の4象限じゃないんだ?そういう表現の方が適切な場合もありそう。
細胞に性がある、という話も、性ホルモン受容体の遺伝子の活性化の効かせ方に性差があるから、だとしても、性差を見えなくするくらいの個体差=遺伝的多様性もあり得るのが遺伝子の発現では?
一度オス寄りまたはメス寄りにスイッチ入ったなら一つの個体に0を越える細胞はあり得ないってことだろうけど、そのオス -
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生き物の知識が増えてくると、不思議だなあと思うことがいろいろと出てくる。
オスとメスの多様な在り方もそのうちの一つ。
・カクレクマノミは多くがオスでもメスでもない個体で、群れの状態によりオスになったりメスになったりする。
具体的には、群れの中で1番大きいものがメスで2番目がオス、その他はオスでもメスでもない。
メスがいなくなるとオスがメスに性転換し、その他の中で一番大きい1匹がオスになる。
・オキナワベニハゼはオスになったりメスになったりする。
メス同士が出会うと大きなメスがオスになり、オス同士が出会うと小さなオスがメスになる。
・ウミガメやワニは孵化するまでの温度の違いでオスかメ