春木豊のレビュー一覧
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心理学の昔の研究をベースに著者の日常的経験、知見などが書かれている。具体的かつ実行しやすい知恵も多々ある。西洋的分析の研究を続けた著者が行き着いた東洋的「心身一如」の世界と、その説明。
以下、気になったところを抜粋
*生物の発生をみると、始めに動きがあって、その後に中枢である脳が生じてきた。
*西田幾太郎/「善の研究」で述べられる「純粋経験」とは、「経験があって、自己がある」ということで、それは「心身一如」、つまり客体と主体がひとつになって経験することを意味し、「分析的ではないこと」である。
例えば、花を見て美しいと感じる経験は言葉で記述することができるとしても経験そのものは体験するほか -
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「心は身体の動きから生まれた」「心の始まりは感覚にある」という話が面白かった。へええええって。
・白ネズミに最初から心があって、回避反応を起こしたのではなく、状況に対して動いた結果、心らしきものが形成されたということ。
・下等動物においては、心を働かせて、その結果行動する(動く)というパラダイムが通用しないのである。この動物の動きのあり方は、人間の動きの根底においても働いているのではないだろうか。
・ストレス状態になったとき、呼吸法は簡便で有効。
・筋反応がレスペラント反応であることを意識できるのは筋緊張のときであって、筋弛緩のときにはかなり難しい。
・斬新的弛緩法を経験しておくと、恐怖事態の -
Posted by ブクログ
書いてある内容はそれなりに面白いが、あまりの読みにくさに閉口。
「だ、である」文がひたすら一本調子で続き、私に語りかけられている感じがしない。例えるなら、大学の階段教室でノートをボツボツと読み上げる講義。
ただしこの老先生、授業の後で研究室を訪れて一人で話を聞くと心に響く。「身体」ということばの"身"が示している範囲と"体"が示している範囲との違いって何だろう、とか。
なので、読んでいるときには「自分しか生徒がいない広い教室の一番前か二番目の列に座って、聞き取りにくい先生のことばに耳を傾ける」自分をイメージすると(しないと)読み進められた。
とは言うもの -
Posted by ブクログ
ネタバレ身体心理学の入門書ということで、概略的なことが書かれている。身体心理学というのは私の大雑把な理解だと、”楽しいから笑う”のではなく、”笑うから楽しい”ということを、学術的な切り口でまとめたものかと思う。本書では、レスポンデント反応と、オペランド反応の間にレスペランド反応というものを規定し、これが心理的な作用に影響しているのではないかとしている。
内容はあくまでも概略だからか、目線が下に行くとうつっぽい気分になるとか、ゆっくり呼吸をすると落ち着いた気分になるとか、恐らく、これまでに経験的にわかっていた事象を、改めて実験で確認したという内容が多いように感じた。