あらすじ
身体の動きを軽視する現代人。でも実は、姿勢・呼吸・歩行といった身体の動きが心に大きな影響を与えている。その実態をあきらかにし、心身を健康にする実践的ボディワークも紹介。心と身体の動きとの深~い関係のいくつかの例「呼吸で「呼息」「腹息」「長息」の三つを意識すると、心が落ち着き、気力が充実する」「筋肉の緊張をやわらげると、恐怖心が治まる」「笑顔を禁じると、おもしろいという感情も減る」など。
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歩行は複雑な動きではあるが無意識に行われている しかし急いで歩くとき、散歩でゆったり歩く時などは意志的反応に分類される
意図的に行わせた歩行で感情が変わるか 快適なテンポで元気良く歩くと喜びの感情が喚起される
リズミカルな歩行はセトロニンの分泌を促す
動きが感情に影響を与えるというのが全般的なテーマ
胸を張って笑顔を作れば気持ちが明るくなる
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精神が身体に反応をするのか?身体の状態が精神に影響を与えるのか?精神が先か身体が先か、そんな問いへさまざまな実験結果をもとに伝えていく1本。
最後の方は身体の慣用句と健やかに生きるためのストレッチ方法みたいなのが載っていて結構独特だった。
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身体心理学の入門書。
心理学の基礎知識もふくめて、分かりやすく書いているので、初心者でも理解しやすい。
保健体育の学習指導要領で「心と身体を一体として捉え、」という文言があるが、その具体例をエビデンスと共に紹介してあるので、授業にも使えそうな気がする。
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いろいろな視点から体やその動きについての知識が載っていて、新書としては充分な情報量です。
チャールズ・シェリントンの分類は興味深いものです。また、第7章の「新しい人間の全体像」はウェルビーイングを考える上ではとても参考になりました
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行動が心に与える影響等についての概要が述べられている
呼吸、姿勢などヨガとかでもよく取り上げられる行動についての考察は面白い
あとその考察に基づく実践法は試してみたくなった
呼吸、筋反応、表情、発声、姿勢、歩行、対人空間、対人接触は無意識の行動でもあり意識的な行動でもある
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心が動きに影響を与えるのではなく、動きが心をつくる可能性について述べられた本。新書ということもあり、概要だけだが発想の転換という意味で興味深い。
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動いて心を整える。
なんだかどこかでみんな納得できそうですよね。
それを学問として、どのように取り扱っているのか?
この本では、エッセンスのみ
簡単に述べられてはいるが、その先が面白そう。
それだけでなく、
どういう体の動きがよいのか、実践的な体操まで
掲載されているのです。
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一般的に考えられているのは、脳が考えた結果として心の動きや感情がうみだされる。しかし著者は逆だという。身体の動き(静止している身体ではない)が感情を生み出し、身体の動きが心の動きをつくりだすという。それを生物の進化史、各種心理実験から導きだしている。また、そのような視点が古来からあったことを言葉の使われ方(身に沁みてわかる、息を凝らすなど)をに指摘する。呼吸や歩行や住環境を整えれば心身のコントロールが可能というか、相互依存の関係である。
よく読みこめば面白いがいかんせん読みづらい。著者に限ったことではないが、大学教授は一般人への説明が上手ではないと感じる。
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最近、ちょっと、頭でっかちになってきたのと、夏に体調をくずしたときに、気分が非常にめげたことを踏まえて、身体のメインテナンスに気をつけようと思っていた。
職場の本屋でこの新書がでていたので、なにげなく購入。
春木さんは、早稲田大学の文学部を退官された先生で、身体心理学を提唱している。
身体の調子が心にも影響するという主張で、日本人には常識だが、脳科学が進歩している精神医学などの分野では異端のよう。
反射でも意志でもできる反応(呼吸、表情、発生など)をレスペラント反応として、分析し、ご自分でも、ヨガ、太極拳、合気道など様々な方法を試して、心を正常に保つ方法を提案している。
クビ回し、腰回しなどの筋弛緩法、丹田に力を入れる腹式呼吸など、びっくりすることはないが、身体によさそう。
ちなみに、朝6時25分からNHK教育でやっているテレビ体操の中に、春木さんが提案されている体操がほとんど組み込まれている。
お試しあれ。
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心が体に影響を与え、体のコンディションが心の状態を左右する。
経験的にはわかることだが、これを研究するのが「身体心理学」であるという。
意志の関与の度合いから、行動を「オペラント反応」(意志的反応)、「レスポンデント反応」(生理的、反射的反応)、そして両方の性質を併せ持つ「レスペラント反応」と分類する。
スキナーの説だ。
こうして、呼吸、筋弛緩、表情、発声などの動きがどのように心に影響を与えるかを説明していく。
最終章には、心身統一をするボディワークが紹介されている。
なかなか実用的。
ここで引かれている研究や文献は、一番新しいもので二〇〇〇年代まで。
二〇一〇年代に入って出た本としてはどうなのかと思ったが、もしかすると、その後それほど進んだわけではないのかな?
最近のマインドフルネスの流行りで、この分野もホットな領域なのかもしれないけど・・・。
Posted by ブクログ
身体心理学の専門家が、“身体・動き”との関連の上で“心”を捉えようとする「身体心理学」の研究について説明したものである。
現代においては、“心”とは知と同じもので、脳のことがわかれば心のことはすべて解明できるという考え方(「唯脳主義」)が主流で、だからこそ脳科学にも注目が集まっているが、著者は「人間を心のみの存在とは考えない。身体があって心が成り立つと考える。しかもその身体とは、従来から無視されてきた身体の動き(行動)に焦点を当てるのである。・・・本書ではいままでの身体心理学の研究を明らかにすることで、脳一元主義が中心となっている現代において、身体の動き、感覚といったものが、私たちの気分や感情に大きな影響を与えていることを再発見してもらえれば」と語る。
◆進化の過程を見ると、動物は大脳によって環境に働きかけて適応したのではなく、環境が動物に働きかけて行動を引き起こし、適応してきた。つまり、環境に対応する行動が大脳を発達させてきたのである。即ち、「始めに動きありき」で、そこから心が発生したと考えられる。
◆20世紀の行動分析学の大家であるスキナーは、動物の行動を、環境からの刺激によって誘発される「生理的・反射的反応(respondent反応)」と、行動する主体が環境に働きかける「意志的反応(operant反応)」の2つに大別した。
◆実際の行動の中には、respondent反応とoperant反応の両方の反応ができるものがあり、それは合成語で「resperant反応」とも呼ぶべきものである。具体的には、呼吸反応、筋反応、表情、発声、姿勢反応、歩行反応、対人距離反応、対人接触反応である。
◆resperant反応(行動)と心(心理)と体(生理)の関係はトライアングルの関係にあり、相互に影響を及ぼしている。呼吸反応が心や体に影響を与えることは多くの人が実感していることであり、昔から推奨されてきた「丹田呼吸法」もその経験から生まれたものである。また、野口三千三氏の「野口体操」、野口晴哉氏の独自の整体法も、筋反応(筋弛緩)に関わるものである。
◆行動の次元、身体の次元、精神の次元の3つを統一した、或いは包含した概念が「気」であるが、心身一元論的な考え方に馴染みのある東洋社会では古来より心身統一的な健康法が採用され、well-being(心身の健康・安寧)に役立ってきた。
そして最後には、well-beingを実現するためのresperant work(身体の動かし方)がイラスト入りで紹介されている。
大変興味深いテーマであり、かつ実感として理解できる部分は少なくないとはいえ、全体を貫く強固なロジックが見られない点が少々残念ではあるが、著者が自ら「現代人の常識に反する」と言う、身体(行動)と心の関わりに焦点を当てた論考として、唯脳主義中心の潮流に一石を投じたものとは言えるだろう。
人間についての幅広い理解の一助になり得る一冊と思う。
(2015年11月了)
Posted by ブクログ
よく嬉しいから笑うのではなく、笑うから嬉しいのだ、つまり、感情より表情が先に来る、とか聞くことがある。本書はそれをもっともっと掘り下げて、ひとつひとつ検証した本。
まずは、もともとの動きとは何かから始まる。下等生物では動きはなんのためにあるのか、走性とか反射とか。それから中枢神経のある動物ではどうか、とか。で、じゃあ人間ではどうかとか。
次に、反射や不随意運動・随意運動と呼吸などの関係について記載する。呼吸は反射である側面もあるし、随意運動である側面もあって、これを制御することにより、動きからメンタルに影響をおよぼすことができる。
簡単に読めて、この分野のまるっと全体像がつかめる本。
Posted by ブクログ
行動心理学と東洋の心身一元論的な考えを併せたような、
たぶん独自の学問である「身体心理学」についての本。
このあいだ読んだ『行動分析学入門』にも出てきた言葉でしたが、
ちょっと本書ではニュアンスを異にしてはいるのですが、
オペラント反応、レスポンデント反応というのが本書の大きなキーワード。
オペラント反応というのは意志的な行動です。
道路に落ちているお金を拾おうと身体を動かしたなら、
それはオペラント反応。
レスポンデント反応というのは、反射的な行動です。
心臓の拍動のように意志ではどうにもコントロールできない動作が、
レスポンデント反応。
それで、この本で大事とされるのは、
オペラント反応でもあり、レスポンデント反応でもあるという、
レスペラント反応と名付けた動作でした。
それには大きく8つあり、
「呼吸反応」
「筋反応」
「表情」
「発声」
「姿勢反応」
「歩行反応」
「対人距離反応」
「対人接触反応」
というのがそれ。
たとえば呼吸だと、
無意識に呼吸はしているけれども(レスポンデント反応)、
自分の意志でも呼吸を深くしたり、短くしたりできる(オペラント反応)。
そういうレスペラント反応こそが、体と心の両方にまたがった反応であるため、
体と心に影響を及ぼすことができるという重要な反応群であると言えるだろう、
と著者は述べています。
つまり、先に8つあげたレスペラント行動というものは、
動きによって心を作り、その作られた心がさらに体に作用するという循環的な
働きがあるだろうとうということなんです。
また呼吸を例に説明しましょう。
たとえば呼吸のうちの吐く息の時(呼気)の作用は「沈静」効果があるとされる。
逆に吸う息(吸気)のときには「興奮」効果があるとされる。
よって、心身を落ちつける時には、呼気を重視してゆっくりと息を最後まで長く吐ききり、
さらに吐ききったままの状態のポーズを少しの間とり続けることが大事になる。
本書では、前掲の8つのレスペラント行動について、
その心理的効果の有無や内容を、西洋的な、要は科学的な実験によって
確かめられていることを述べています。
その章がぼくとしてはもっとも読み応えがありました。
著者がなぜ、このような身体心理学を研究したかというと、
身体心理学で得られた結果を参考に、呼吸法や筋弛緩運動などで
心や体をよい状態に----体に生気をみなぎらせ、心は気力に満ちさせる、
そのことによって、健康でいようよっていうのが大目標なのです。
本書のまとめに近い章では、「気」の概念まででてきて、
東洋思想を取り入れているなあという印象を受けます。
人によっては、それって非科学的なものだと感じるかもしれません。
しかし、きっとそこには、ヨーガや禅や指圧など、
いろいろな東洋的なものを試してきた経験がある著者だからこその、
見抜きがあるような気がしています。
ただ、東洋思想的な東洋科学が受け入れない人でも、
レスペラント行動についての論説はおもしろく読めることでしょう。
Posted by ブクログ
著者は早大教授。この道の権威、野口晴哉や高岡英夫の名前も出てきて期待したが、ー体系的ではあるがー内容はよく言われていること(背筋を伸長や微笑みの効能等)に終始。ナンパと身体を考察をされている高石さん(@lesyeuxx)の方がいいものを書けるのでは。
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解説内容は丁寧でごもっともだと思うのですが、後半のワークがちょっと尻すぼみな感じで期待と違っていて残念。どう動きと心がつながっているのか、その気付きを与える、とまではいきませんでした。
自分の思ってることの裏付けを確認できた、という程度で終わってしまいました。
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「心は身体の動きから生まれた」という身体心理学の立場から、身体と心の動きについて紹介されています。
興味深く、なるほど、と思いながら読みました。
身体と心のつながりに関心のある私にとって、参考になる一冊でした。
Posted by ブクログ
心理学の昔の研究をベースに著者の日常的経験、知見などが書かれている。具体的かつ実行しやすい知恵も多々ある。西洋的分析の研究を続けた著者が行き着いた東洋的「心身一如」の世界と、その説明。
以下、気になったところを抜粋
*生物の発生をみると、始めに動きがあって、その後に中枢である脳が生じてきた。
*西田幾太郎/「善の研究」で述べられる「純粋経験」とは、「経験があって、自己がある」ということで、それは「心身一如」、つまり客体と主体がひとつになって経験することを意味し、「分析的ではないこと」である。
例えば、花を見て美しいと感じる経験は言葉で記述することができるとしても経験そのものは体験するほかはない。
*著者は「気感(気分+感覚)」という言葉でレスペラント反応をとらえる。
レスポンデント反応・・・生理的、無意識的反射、内臓の反応
オペラント反応・・・意図的、意識的反応、筋骨格の反応
レスペラント反応・・・反射と意図的反応の両方を含む、筋骨格の反応
*右90度への視線の先にあるものは、好意度を上げる。(相手に向かって、左端にいると相手が好意をもつ?)
Posted by ブクログ
「心は身体の動きから生まれた」「心の始まりは感覚にある」という話が面白かった。へええええって。
・白ネズミに最初から心があって、回避反応を起こしたのではなく、状況に対して動いた結果、心らしきものが形成されたということ。
・下等動物においては、心を働かせて、その結果行動する(動く)というパラダイムが通用しないのである。この動物の動きのあり方は、人間の動きの根底においても働いているのではないだろうか。
・ストレス状態になったとき、呼吸法は簡便で有効。
・筋反応がレスペラント反応であることを意識できるのは筋緊張のときであって、筋弛緩のときにはかなり難しい。
・斬新的弛緩法を経験しておくと、恐怖事態のときに心身の混乱の程度を低めることができる。
・心の状態が姿勢をつくることもあれば、姿勢が心の状態をつくることもある。
・レスペラント反応‥‥呼吸、筋反応、表情、発声、姿勢、歩行、対人空間、対人接触
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書いてある内容はそれなりに面白いが、あまりの読みにくさに閉口。
「だ、である」文がひたすら一本調子で続き、私に語りかけられている感じがしない。例えるなら、大学の階段教室でノートをボツボツと読み上げる講義。
ただしこの老先生、授業の後で研究室を訪れて一人で話を聞くと心に響く。「身体」ということばの"身"が示している範囲と"体"が示している範囲との違いって何だろう、とか。
なので、読んでいるときには「自分しか生徒がいない広い教室の一番前か二番目の列に座って、聞き取りにくい先生のことばに耳を傾ける」自分をイメージすると(しないと)読み進められた。
とは言うものの、主張に納得感なるほど感が薄いのでこれまた読みにくい。
例えば、盲目の少年が笑っている写真を元に、面白いという感情と笑う動作は学習されたものではなく生得的であるという。これはOKな例。でも、日本語のからだ言葉を元に、ある動作が生得的であるというのはNGだと思う。特定の文化に特有の身体症状ということもあるのに、考慮されているように読めない。
過去の論文審査などで指摘されたからなのか、時々「これは科学的な手続きに従って検証された」という断わりが登場するのがかえって痛々しい。
内容は悪くないけど、容物が悪い。それを受け入れられる人だけどうぞ。
Posted by ブクログ
身体心理学の入門書ということで、概略的なことが書かれている。身体心理学というのは私の大雑把な理解だと、”楽しいから笑う”のではなく、”笑うから楽しい”ということを、学術的な切り口でまとめたものかと思う。本書では、レスポンデント反応と、オペランド反応の間にレスペランド反応というものを規定し、これが心理的な作用に影響しているのではないかとしている。
内容はあくまでも概略だからか、目線が下に行くとうつっぽい気分になるとか、ゆっくり呼吸をすると落ち着いた気分になるとか、恐らく、これまでに経験的にわかっていた事象を、改めて実験で確認したという内容が多いように感じた。