中井紀夫のレビュー一覧

  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    表題作、200年以上途絶えたことのない楽曲を演奏し続けてきた楽団の話。
    無駄と思えることの中で前に進む人達の姿に自身の想いを肯定してもらえた。

    どの話も面白く、異世界の中での一生(またはそれ以上の時間)と異文化が頭の中で拡がっていく楽しさに震えました。
    異世界ではなく現代を舞台にし、ホラーの要素が入ったモノも良かった。

    こういう作品が埋もれるのはもったいない。
    「日本SFの臨界点」再発見のための企画はとても良い。

    解説がボリュームがあって、熱い。

    0
    2022年07月27日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    久し振りに、自分にとって特別な作家に出会えたと感じられる素晴らしい短編集を読んでしまった。もともと他ジャンルと相性の良いのがウリのSFだけれど、ホラーや純文学作品として、ここまで昇華させられるセンスがある作家には出会ったことがない。

    楽団メンバーが3時間交代となって、200年間一度も演奏が途絶えたことのないオーケストラを紡いでいく「山の上の交響楽」は、設定のスケール感から既にワクワクものなうえ、演奏するということの意味を通じて人生について考えさせられる大名作。

    突如謎の男性2人が殴り合いを始める現場につどつど遭遇する「殴り合い」は、そのシュールさが印象に残りやすいが、なぜ殴り合いが始まって

    0
    2022年04月18日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    「そうは言っても一昔前のSF作品だし…」などと思っていたら、各短編の多彩なアイディアの数々に、時に壮大、時に怖い、時に切ない、様々な感情を浮かび上がらせるストーリーの数々に、一編一編読むごとに、中井紀夫という作家の紡ぐ世界に夢中になっていったように思います。この作家の傑作集が、こうして出版されたことに感謝です。

    アイディアの面白さでは、表題作の「山の上の交響楽」がピカイチ。永遠に終わらない交響楽を演奏する800人の大交響楽団。時にユーモラスに、時に抒情をもって語られる劇団の内幕に、アイディアだけでは終わらないストーリーテラーぶりが光る。

    日常から急に奇妙な世界の扉が開く。そんな奇妙な味の短

    0
    2021年12月20日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    なんてこった、と思った。1話目を読んで、50ページに満たない物語で鳥肌が立ち、目を閉じて空を仰ぎたくなった。
    楽器をやっていたからだろうか。吹奏楽とオーケストラでは全く違うだろう。
    多数と奏でる音楽はいいものだ。
    誰かと奏でることに、今の感情の動きがある。

    0
    2021年12月02日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    本書の中井紀夫については全く知らなかった。日本SFの臨界点:恋愛編での「死んだ本書の中井紀夫については全く知らなかった。日本SFの臨界点:恋愛編での「死んだ恋人からの手紙」で予習はしていたが、本書を以って本格的に中井ワールドに突入した。

    一番初めの「山の上の交響楽」がオーケストラを題材とした作品ということもあるが、それ以上に奇想天外な設定に引き込まれた。これは他の作品にも言えることで、先ずはそれをきちんと理解することで、きちんと自然に作品に沈み込んでいける。
    愛についての描写はあくまでも純粋なもの、性についての表現もあくまでも種の保存的な表現なので、人によっては無機質に感じられるかもしれない

    0
    2021年08月31日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    伴名練がセレクトした中井紀夫の奇想SFを集めた短編集。
    中井紀夫というと「能無しワニ」シリーズのSF西部劇の人という印象が強くて、このような作品を書いていたとはまったく知らなかった。
    表題作はすべての演奏が終わるには千年でもたりないという交響楽を演奏し続けている楽団の話。他にも重力が90度ずれて南北方向に作用してしまう男の話し、何故か時間の流れが遅くなってしまったバスの暴走を描いた作品など、いづれも傑作ぞろい。
    いや本当、こんな凄い作家だったとは知らなかった。
    編者があとがきで書いているように、この本には収録されなかった中編「電線世界」でもう一冊出して欲しい。

    0
    2021年07月20日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    「見果てぬ風」は時々思い出してしんみりする物語のナンバーワン。他の話も素晴らしい。他の著作も読みたいが電子書籍で集めるしかないのか。 

    0
    2021年06月26日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ほんタメで「山の上の交響楽」と「死んだ恋人からの手紙」をそれぞれ別の回で紹介していて、
    その両方が読めるということで購入。

    読んでみたところ、「殴り合い」が一番好きだった。
    最初はシュールすぎて「??」となっていたけど、
    読み終えてみると切なさや哀愁が残った。

    他には「絶壁」や「暴走バス」も良かった。

    0
    2025年05月16日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    初作家。伴名練『なめらかな世界〜』からこちらにやってき。中短編あわせて11篇あるが、なんと言っても「暴走バス」がいっちばん好き。いろんな想いを抱くこの結末を胸に——「ひかりより速く〜」は生まれたんだなぁと。この他だと「絶壁」「見果てぬ風」「例の席」など…筒井康隆風味を感じさせる作品も多く、わたし好みの作品集でした。

    0
    2024年05月04日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    どの短編も素晴らしかったが、特に好みだったのは「花のなかであたしを殺して」。異民族の習慣、女性は死で妊娠するという生態の村、そこに滞在する人類学者の不死の男。幻想的でめちゃくちゃよかった。あとは表題作「山の上の交響楽」と「見果てぬ風」も面白かったし、伴名練氏の解説も相変わらず凄まじかった…。

    0
    2022年01月16日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    『山の上の交響楽』
    『見果てぬ風』
    『死んだ恋人からの手紙』
    は再読。
    結構印象深い作品が多いがやはり上記3作品は良いな。

    0
    2021年07月24日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    「山の上の交響楽」「見果てぬ風」「死んだ恋人からの手紙」は既読。「暴走バス」は既視感があると思えば、解説で伴名練の「ひかりより速く、ゆるやかに」に影響を与えた作品と知って、こういった形で編者に影響を与えた作品を読めるとは大変面白い趣向だと思う。個人的にはコミカルな「殴り合い」がとても好きだが、「花のなかであたしを殺して」がタイトルの通り切なくてとても印象に残る作品だった。できるなら、奇想度高めの次なる傑作選もぜひ読みたい。

    0
    2021年07月13日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    面白かった!
    ホラーっぽいのからガチのSFまでいっぱい読めて良い。
    1作品だけよく分からんのあったけど既存作品の外伝だったから納得した。花の中で〜が印象深かったです。
    巻末の解説読んだら他の作品も読みたくなったので、編集部ほんとお願いします…!

    0
    2022年08月21日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    短編集。日常で体験するような場面に、オカルトが混じったらどうなるだろう?という、作家の遊び心を感じた。

    0
    2022年01月07日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「山の上の交響楽」★★★
    「山手線のあやとり娘」★★★
    「暴走バス」★★★★
    「殴り合い」★★★
    「神々の将棋盤」★★
    「絶壁」★★★★
    「満員電車」★★★
    「見果てぬ風」★★★★
    「例の席」★★★
    「花のなかであたしを殺して」★★★
    「死んだ恋人からの手紙」★★★★

    0
    2021年09月05日
  • 日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

    Posted by ブクログ

    初期作品からのセレクトだから当然なのだけれど、昔のSFだなあという気がする。昭和の頃の日本SFって日常描写がとにかくベタなのよ。この感じは懐かしいなあ。SF系では表題作や「山手線のあやとり娘」、ホラーでは「例の席」が好み。

    0
    2021年06月29日