太田直子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
映画の字幕翻訳は、普通の翻訳と大きく違う。
俳優がしゃべっている時間内しか翻訳文を出せないので、セリフの内容を一〇〇パーセント伝えられない。
いうなれば字幕は、「要約翻訳」なのである。
映画字幕翻訳を始めて約二〇年、手がけた作品数は一〇〇〇本余りの著者が、外国映画翻訳の舞台裏、気になる日本語などについて綴る。
[ 目次 ]
外国映画の翻訳二種
第三の映画翻訳
映画字幕の作り方
吹き替えの自由と苦労
ちがって当たり前
驚異の語学力
おしゃべりなメール文
句読点の苦闘
そんなに叫んでどうするの―「!」の話
ルビと混ぜ書き〔ほか〕
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆ -
Posted by ブクログ
面白かった!このオオタさん自分で言って、自分でツッ込み、大変ノリがいい。字幕作りに興味がある人、映画が好きな人にはもちろんのこと、言葉とはなんぞやと思っている人にもぜひお勧めしたい。本の中からちょっとだけ紹介。例えば、こんな字幕制限を課されたらどう短縮すればいいか。むっつり黙りこむ女に、男が問いかけるシーン。男「どうしたんだ」→5文字以内女「あなたが私を落ち込ませてるのよ」→5文字以内男「僕が君に何かしたか」→5文字以内さて、あなたならどうする?私もいろいろ考えてみたけど、難しい。本では解説の後に、こんな字幕が出来上がると紹介。男「不機嫌だな」女「おかげでね」男「僕のせい?」苦肉の策だと著者は
-
Posted by ブクログ
長たらしい新書のタイトルってひと昔前に流行ったなぁと回顧しつつ、字幕をつける仕事ってよく知らないなと思い、手に取ってみた。
いわゆる字幕屋稼業のなせるわざなのか、文章がとてもユーモアたっぷりで途中くすりとしながら読ませてもらった。
字幕をつける仕事の悲哀、日頃感じる日本語への違和感など多岐にわたって非常に軽い筆致で矢継ぎ早に言及するため、とても読みやすい反面、じっくり立ち止まって考える隙間がないように感じられたのがちょっとだけ残念。
新書というよりエッセイとして読むのがいいのかな。
いずれにせよ、字幕をつける仕事について初めて知ることができたらのはよかった。
-
Posted by ブクログ
大まかな感想は、「字幕翻訳家って大変なんだなぁ」の一言。
その大変さを理解してくれー!という著者の気持ちは非常によく伝わってきます。お腹いっぱい。笑
色々な世界観、歴史背景、価値観などを集約して研ぎ澄ませ、魂込めて言葉を選ぶ...そんな、まさにプロフェッショナルな仕事なんだなぁと、とても勉強になりました。
更に、文字数制限やタブールールなど、テクニックも必要になってくるんだから、これは大変だ。そんな字幕翻訳家さんの苦労に思いをはせながら、映画の字幕を次は読もうかな...(読めるかしら)
途中、渾身の力をこめて連投される皮肉の嵐に疲れてもしまいましたが、しっかり笑わせてもくれるし、心から素敵 -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画字幕翻訳者「字幕屋」である著者が、自身の仕事の舞台裏を話す軽いエッセイ。
小説などの翻訳とはまた違った悩みがあって、言葉の選び方など面白い。
例えば、
男「どうしたんだ」
女「あなたが私を落ち込ませてるのよ」
男「僕が君に何かしたか」
と台詞を翻訳したとしても、それぞれの台詞は1秒ほどなので、字幕にするには5文字以内にしなきゃいけない。それを、
男「不機嫌だな」
女「おかげでね」
男「僕のせい?」
という変換はなかなか驚く。
誤訳だというのは簡単だけど、物語を潰さず、字幕を読んでも台詞に間に合う、元の俳優の越えも楽しめるという映画そのものをしっかり楽しめる技術だと思いました。
し