高安秀樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
可もなく不可もなくな評価です。まだきな臭い学問の領域を出ません。
物理学といってもさすがに重力や速度問題などの考えは用いられず、せいぜいがアルゴリズムや理論から着想を得たという程度ですがそれでも尚その点は評価すべき内容でした。経済学者からは逆立ちしても発想がでない、カオス理論やフラクタルのつかみはよかったです。遺伝的アルゴリズムなど物理学者らしいアプローチも評価できますし、これからも成果が出ることと思います。本著全体にまたがる問題としてべき分布がありますが、これが非常に面白かった。経済学ではべき分布を扱うことは少ないのですが日銀の通貨発行による日本の借金の返済がなぜいけないか?インフレーションの何が危険か?を指摘していたのは物理学者ならではだと思いました。経済数学は習いましたがせいぜい線形代数と微積分程度なので、2重指数関数など例に取り出されたとき理解はできても少々面食らいました。戦争の経済効果の批判も少々ありましたが「戦争は最大の公共投資だからするべき」という2chあたりにいる急進的ニートに説教してほしいぐらいです。「くりこみ」の発想にしても経済だけを見ていてもなかなか出てこないものだと思います。
悪かった点は経済物理学の研究対象の多くが、株式相場の予測にとどまっている点です。それは金融工学のフィールドであり、その拡張で済む話です。経済全体に関わる話はせいぜいがインフレーションの件にしかすぎず、経済という名前を冠するには早い学問だと思います。そしてミクロ経済というのが家計や企業の小規模なやりとりという簡単な説明がありましたが、ミクロ経済の対象とするテーマは独占禁止法などの法律問題や環境問題などの外部性など需要と供給の一般均衡理論以外の議論もする学問です。統計をとって経済や金融市場を俯瞰しなければ物事を理解できない経済物理学はまだまだです。新古典派経済学への批判もややずれています。「経済が需要と供給で均衡することなど一度もなく、理想論だ」とありましたが、新古典派の意見は「だからこそ政府が介入して市場を正しい状態にするべき」というものです。アダム・スミスなどの古典派経済学者と違うのはそこであり、だからこそ「新」古典派と呼ぶのです。あと問題なのは筆者が基本的なマクロ経済学の知識に欠けている点です。経済学を学んだものなら「貨幣」と「通貨」とは正確に区別して記述します。まして「お金」などという漠然とした表現はしません。従来の経済学批判をするにしても知った上で批判するべきかと思います。本著の後半はもはや物理学も経済学も関係ない居酒屋のおっさんレベルの「こうしたらきっとうまくいく!」という無根拠の経済談義でした。上述の貨幣と通貨の区別もついてない人に言われたくないですね
本著を読むまでは「経済物理学」に対して懐疑的な見方をしていましたが、可能性として大いに期待できる新しい学問だと思いました。経済学者はなかなか視点が狭い印象をうけますが経済物理学のような学際的研究が進むことを願います。 -
Posted by ブクログ
経済物理学という新しい分野についての本。
この本の前半では、経済現象に対する従来の主流の考え方である金融工学や経済学と新たな学問である経済物理学の違いについて。
また、経済にはカオス理論が適用できたり、株価の変動にはフラクタルを確認できるということが書いてありました。
後半では、お金とはなにかとか、著者が考える今後のお金のあり方が書かれていた。
個人的には、前半は大変興味深く読めたが、後半はあまりおもしろくなかった。
経済物理というよりは、情報分野の色が強いような気もするが・・・。
これも含めて経済物理なのかな?
1章 エコノフィジックスの誕生
2章 エコノフィジックスのツール
3章 市場原理
4章 市場の臨界的性質
5章 所得の変動と分布
6章 お金の特性
7章 企業通貨システム
8章 今後の展望