飯野友幸のレビュー一覧

  • おれにはアメリカの歌声が聴こえる―草の葉(抄)

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    自由の中にある規則性がある程度わかりやすく,情景が見えやすい。アメリカは何をもって独立したのか,本書の自由なスタイルから読み取れる気もする。

    抄訳+原文という形式は,ホイットマンに入門するにはちょうど良いだろう。

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    2022年07月25日
  • ビリー・バッド

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     18世紀末、若きフォアトップマン、ビリー・バッドは、商船ライツ・オブ・マン号から、英国軍艦ベリポテント豪に強制徴用された。強制徴用とは、対ナポレオン戦争の時に、絶対的に水夫が不足していたイギリスが、商船や酒場から、拉致するようにして水夫を集めた、かなり無茶なやり方だった。人材不足が極まった時は、囚人を水夫に採用することもあったそうだ。本意で集められたわけではないため、水夫の反乱も起こっている。文中でもノア湾での反乱について言及されている。つまり、強制徴用した船の船長や、もとからいた乗組員には、強制徴用された水夫達に対して、もとから不信感があった。

     その事を前提にすると、ビリーの行為に対す

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    2025年09月28日
  • ビリー・バッド

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    メルヴィル 「 ビリーバッド 」著者の遺作 中編小説

    キリスト教道徳の寓話にも読めるし、共同体の中で 秩序と苦悩を描いた小説にも読める。著者の人生の総決算としての思想哲学 にも感じる。

    著者が描きたかったのは 多様で複雑で曖昧な現実の世界。そんな世界で どのように秩序を守るのかを 伝えたかった と捉えた

    船中という人種や身分が多様な共同体が舞台。一神教的な 善と悪の二項対立では 共同体の秩序は保たれない。善の象徴である主人公のビリーバッド、知性の象徴であるヴィア艦長。ヴィア艦長の苦悩と共同体の秩序を保つ姿が印象的

    キリスト教道徳の寓話
    *狡知に対して 経験、才覚に欠け〜なりふり構わず

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    2018年11月28日
  • ビリー・バッド

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    程よい長さの作品でメルヴィルっぽさもあり読む価値のある作家であることが伺える作品。最初に「白鯨」を手にして挫折する前にこの作品でメルヴィルに慣れておくのも悪く無いと思う。たしかに脱線はよくするし衒学的なところもある。それでも、読むに値する内容が伴っている。なので、読み通す価値は十分にあるように思う。読むと色んな事を考えさせられるいい作品だと思います。

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    2017年12月18日
  • おれにはアメリカの歌声が聴こえる―草の葉(抄)

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    ネタバレ

    【本の内容】


    [ 目次 ]
    自己なるものをおれは歌う
    おれにはアメリカの歌声が聴こえる
    おれ自身の歌(抄)
    おれは電熱の肉体を歌う(抄)
    おれはルイジアナで一本の樫の木が生えているのを見た
    オープンロードの歌(抄)
    揺れやまぬゆりかごから
    鷹の睦みあい
    農家の図
    ランナー
    浅瀬をわたる騎兵隊
    灰色にかすむ払暁の野営の光景
    リラの花が先ごろ戸口に咲いて(抄)
    おお船長!わが船長!
    ふらりと出歩く子がいた
    結局、わたしは
    インドへの道(抄)
    音も立てずじっとしている一匹の蜘蛛
    さらば、わがうちなる空想の人よ!
    Leaves of Grass(英文原典)

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    [ おすすめ度 ]

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    2015年01月18日
  • おれにはアメリカの歌声が聴こえる―草の葉(抄)

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    ネタバレ

    草の葉は壮大なものなので、抄訳ですが、
    それでもその世界観を存分に味わえるはずです。

    100年以上前、
    いまよりも自由ではなかった時代に
    このような力強い詩を書いている人がいた、
    ということに驚かされました。

    おれには~という言葉でつづられる
    あつい言葉たち。
    それは、今読んでも衰えるものではないです。
    少しわいせつな表現(同性愛賛同)がありますが
    今ではそれもあまり感じないです。

    本当に美しい詩でした。

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    2014年03月04日
  • ビリー・バッド

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    白鯨を読む前に一度著者の雰囲気を知っておきたかったので、手短に読めるこの本を一読。何とも言えない終わり方だが、これが作家の雰囲気らしい。物語としては秀逸。白鯨を読むかどうかは暫くおいておこう。

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    2013年12月22日
  • おれにはアメリカの歌声が聴こえる―草の葉(抄)

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    生に対して肯定的で大声で読みたくなるような詩集。
    自己主張が強すぎるし楽観的すぎるかもしれないけれど好きだ。
    特に好きなのは、恋人を植物にたとえて思い出すところ。
    すがすがしくて色っぽい。

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    2011年09月14日
  • ビリー・バッド

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    昔の文体で読みにくいけど、解説やあとがきを読んで理解が深まった。
    吃音の描写があるから読んだけど、結構少なかった。なので読むのに時間かかった。

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    2025年09月30日
  • ビリー・バッド

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    どこかでオススメとして紹介されていた本。
    ハーマン・メルヴィルははじめて読んだ。
    作品もモビーディックしか知らないし、なんか怖そう&暗そうな作品としか知らなかった…。

    本書も不穏な終わり方をするらしいことははじめからチラチラと提示されている。
    ストーリーは短いし、実際かなり薄い本なのだけど、前半は作者自身が言うように、舞台装置の説明以外のことでも寄り道が多くて、なかなかストーリーが動き出さないのでちょっと退屈でした。
    そのぶん、中盤でストーリーは突然トップギアに入り、そのままブンブンと突き進んで終了。
    え、えー。不穏は不穏だけどそういう方向なんだなあ…。
    登場人物三人がオセロそのまん

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    2024年11月04日
  • ビリー・バッド

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    國分功一郎の『中動態の世界』において、中動態の概念の事例として用いられていたことから興味を覚えた。中動態~の中であらすじは語られてしまっていたので、淡々と読み進めた感じだったが、國分の主張と含めて、人間の意志と決断、そして責任についてあたらためて考えるようになった。なにげにメルヴィルは初めてだったので、巻末のメルヴィル評が、一番集中できたところだった。最近注意が散漫。

    18.3.14

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    2018年03月14日
  • おれにはアメリカの歌声が聴こえる―草の葉(抄)

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    なんとなく、なんとなくだけどニーチェのツァラトゥストラを思い出した。翻訳のべらぼう口調からくるものはかなりあると思うけど、精神よりも肉体を、歴史よりも現在を、伝統よりも命を重んじる思想はニーチェと通じるでしょう。ホイットマンの詩作のうちで取り上げられているものはかなり限られており、さらに全体のうちの半分は英語原詩。文学は学問よりも芸術、その中で小説には幅があるけども、詩と比べると理性的だろう。詩は情感的なだけに、意味と響きのバランスが重要だろう。そういうことを考えると、翻訳はナンセンスな気がする。事実読みながら理性がぐるぐる巡った。違うよな、と思いながらも、原詩をそのまま味わえないアイロニー。

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    2017年05月15日
  • おれにはアメリカの歌声が聴こえる―草の葉(抄)

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    なぜ彼は詩のみならず文学の、文化の、そしてアメリカの「父」と呼ばれるのか。

    答えは彼自身が教えてくれる。その奔放な「言葉」によって。


    “Divine am I inside and out, and I make holy whatever I touch or am touch’d from,”
    “This head more than churches, bibkes, and all the creeds…”

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    2015年11月24日
  • ビリー・バッド

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    匂い系ときいたのでさらっと。ワンコ誘い受。本橋馨子によるマンガ化がいいと思います!船室にワセリンとか、さりげに置いてほしい。

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    2013年02月07日
  • おれにはアメリカの歌声が聴こえる―草の葉(抄)

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    去年英語文学の授業で取り上げられていたのを思い出し、挑戦。
    タイトル通りマッチョな言葉の連続かと思いきや、時折とても繊細な詩にめぐり合う。
    おそらく、作者は本当は心優しきガキ大将、ジャイアンのような人柄だったのだろう。

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    2010年05月10日