ピランデッロのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ友達に「ルシア・ベルリンにちょっと似ている」と教えてもらった作家で読んでみたんだけど、確かに後半の狂気と死、悲惨な運命をからからしたユーモアで書いていくあたりはちょっと似ているかも。面白かった。好きなのは「使徒書簡朗誦係」「フローラ夫人とその娘婿のポンツァ氏」あたり。何が狂っているのか、おかしいのは何なのか、分からない。でも、悲惨を滑稽にすり替え、何が正しいのかとか、正しくあることに意味なんてないだろう?と言わんばかりの堂々とした書きぶりは好感を持ってしまう。
最後の解説によると作者自身の人生も恵まれた生まれながら相当残酷な目にあっており、そこからこの作品群の凄みが生まれてくるのだなあと思った -
Posted by ブクログ
奇妙な物語、奇妙な人たちがたくさん。
先日読んだ『作者を探す六人の登場人物』の作者・ピランデッロ(ピランデルロ)の短編小説を集めた本。
戯曲のモチーフになったであろう短編も色々あり、面白い。
出てくる人たちが結構、妙な追い詰められ方をした妙な人たちが多くて、変人列伝みたいな趣がある。
お気に入りは
どちらかが狂人である、という二人が、町の人々に「あの人が狂人です」と主張し合う
『フローラ夫人とその娘婿のポンツァ氏』
急に女性に向かって「バカヤロー!」と怒鳴りつけた男が決闘をする羽目になる、その繊細な動機を描いた優しい短篇
『使徒書簡朗誦係』
どっちも設定が攻めてる。 -
Posted by ブクログ
『紙の世界』が一番ドキドキした。
「それが彼の世界なのだ。紙の世界。彼の世界のすべて。」
滑稽だと描かれてるのは分かるのだけど、本の世界に閉じこもる幸せを知ってるから笑えない。
喜劇だし、皮肉なんだけど、何か悲しい。全部そんな感じ。生きてるのって喜劇で狂気なんだけど、自分の見える場所だけに自分の幸せがあるって背中押してもらった。
以下、いくつか気に入ってるの。
『月を見つけたチャウラ』
誰に必要とされて生きてるのか分かんない。だけど月を急に”見付ける”瞬間の幸せがくっきり描かれてる。幸せ。
『手押し車』
本物の狂気ってこういうものだな、ってゾッとした。だけどそれが幸せなのも伝わる。気持