好井裕明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
レビューなどで「もともとチャリティ番組に違和感があったが、この本を読んで違和感の理由が分かった」という意見が散見される。だが私からしたら、正直に言って「そこまで言い切るほどあなたは物分かりが良かったの?」と考えてしまう。例えば「愛は地球を救う」の放映が始まったのは確か私が中学生のころの昭和50年代。そのころ開催されたオリンピックの女子マラソンで競技中に体調不良に陥り足をふらつかせてゴール後に力尽きて倒れた選手に対して、世界中が拍手喝采した。さらにそのことに誰も違和感をもたなかった。順位でいえばその選手よりも1つ早く、ふらつくこと無くゴールした選手については誰も顧みることがなかったにもかかわらず
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Posted by ブクログ
柔よく剛を制す!柔軟に考えることこそが、差別との理想的な向き合い方であることを学べる本です。
で、「差別をなくそう」ではなく「差別を考えよう」というのが本書の最も言わんとすることではないかと思いました。「差別をなくそう」だと、自分の中にある差別の芽は「人としてありえないこと」ということになる。それだと自分が何を「普通」と感じ、何を「異常」として感じるのかを掘り下げられない。そして、当事者であるという事実から逃避する結果を招いてしまう。そうではなくて、差別は誰でもやっちゃいがちなんだ、だから自分はどんな種類の差別をしちゃいがちなのか考えて、時々、「誰かの足を踏んづけてないかしら?」って気にしなが -
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差別とは、社会から人々を徹底的に外していく行為。その根底には、日々の生活で漠然と抱いている恐怖と不安がある。他者をカテゴリー化して差別し自らの不安を解消しようとするのではなく、自身の思い込みを見つめ直して他者と繋がっていこうと努力する。それは困難なことだが、みんなで生きていくために必要なこと。昭和天皇の晩年の様子を振り返りながら「天皇は『特別な存在』であることは確かだが、『貴い』存在では決してない」と語られる箇所(pp79-82)と、『映画 聲の形』を扱いつつ「人が人を傷つけてしまうとき、その傷は相手を苦しめるだけでなく、傷つける行為をした本人も、同じ傷で苦しめられます」と排除の双方向性の本
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Posted by ブクログ
「感動ポルノ」という言葉は知っていたし、障害を克服する為に必死で頑張る障害者の一面だけを切り取って、障害者ではない人の娯楽やエンタメのネタにされてしまうことで、障害や差別についてわかったつもりになってしまう怖さがあることも何となくは知っていた。
改めてこの本を読んで、アタマでわかっていてもやっぱり自分は健常者側の価値観を勝手に強いる行動やモノの見方を無意識にしてしまうかもしれないし、感動ポルノものの映像や小説に触れてもすぐに気付けない可能性が高いかもしれないなと思った。
一見すると「わかりやすい」「良いと思えるような」当事者の存在や意思を排除したストーリーや意見に出会った時に、あえて批判的なモ -
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ネタバレ当たり前を、追求しろ。
社会学とは何か、なかなか難しい。大学で教鞭をとる著者が噛み砕いていく。高校生から大学一年生あたりが想定している読者だろうか。第1章は、社会学史の講義でちょっと難しいかもしれない。けれど、その学問の流れを知ると、その後の具体的な学問が頭で整理しやすい。
第2章からは、様々な考えるヒントを語っていく。学校、スマホ、ジェンダー、障がい者、環境、政治。自分自身の問題から、どのように他者の姿に気づき、考えていくのか。「わたし」と違う他者と、どのように生きていくのか。きっと誰にでも社会学の種がまかれている。社会学というのはとても懐の広い学問だ。
社会学科を志望する人だけでなく