好井裕明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
感動ポルノという言葉を初めて知ったのは大学生のころ。言葉のインパクトの強さに衝撃を受けた一方で、妙に納得もしました。自分がチャリティ番組に抱いた違和感の正体が見えた気がしたからです。
この本では様々なドラマや映画、ドキュメンタリーを手掛かりに製作者、また視聴者や鑑賞者が障害者に対して、どのような視点に立っているかを明らかにしていきます。
障害とは憎むべきもの。ない方がいいもの。
自分自身、感動ポルノという言葉を知ってから、障害のある人への見方を改めたつもりではありました。しかしこの本を読み終えたとき、自分の思考の根底に、そうした考えが無意識のうちに働いていたことに思い至りました。
世の中には障害を受け入れ、生きている人がいる。そうした人に対し、障害はそもそもない方がいいという考えを持つことが、その人に対する差別となっている。無意識のうちに自分の中にあった「健常者」の考え。これが本当に正しいものなのか。問いかけられた気がします。
でも一方でやはり障害への配慮をしてほしい、という人もいるかもしれない。そこで自分の思考はまた惑い揺れる。どうすべきなのか。考えるべきなのか。
結局のところ、障害という壁を取っ払って、その人自身を見ることが必要なのか、と思います。
言い方は難しいけど、人間それぞれに苦労していること、困難に思っていることがあるはず。それに焦点をあて、障害に苦労しているようなら手を貸せばいい。そうでないなら、ことさら同情的に見ることは失礼にあたる。そういうことではないかと感じます。
この感想を書いているときは、まもなく冬季パラリンピックが開催される時期です。そのパラリンピックの見方が、今書いたことの第一歩になるのではないか、と思っています。障害者スポーツという色眼鏡で見るのではなく、オリンピックと同じようにスポーツとして楽しみ、純粋に感動し、熱狂し、興奮し、称える。
自分でも気づかなかった差別思考。この本でそれに改めて気づかされショックを受けました。だからこそ、もう一段階深く考えることが必要なのだと感じています。 -
Posted by ブクログ
普段の生活の中でふと持ってしまう差別の感情をこれでもかとばかりに事例を挙げ、差別意識を無くすための考え方を説いている。
最近「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」なる言葉も良く聞かれるようになってきた。「昔は許されただろうけど」と、差別発言で叩かれた著名人もいた。
本書では露骨な差別発言だけでなく、「他者を思いやっているつもりで、実は根底には差別の意識がある」例を「危うさが潜む」という言い方で数多く挙げている。読んでいて、自分にも思い当たる節が多い。
この「危うさ」も、神経質になりすぎると「昔は良かった」ということになりかねない。そのバランスが難しい。人の価値観は時代と共に変わり、かつ人によって感じ方も千差万別だ。
性別、外見、能力など、自分と全く同じ人などいない。つまり、「区別」は本能的に感じるものであり、そこから転じる差別という考え方は決して無くならない。それでも人はその感情とどう向き合うべきか、を分かりやすい言葉で考えさせてくれる。