友野典男のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
◯あとがきの三つの提言に筆者らしい熱さを感じる
・資本主義は資本中毒、資本依存と訳せる capitalism ≒ alcoholism
・本音と建前はシステム1とシステム2をきちんと働かせた日本人の長所
・観光立国を目指すなら信頼と安心の社会資本としてのおもてなしで居心地よく
◯第7章だけでも読む価値があるのでメモ
災害が起きるとどうなるか。パニックが起こるか?
パニックはまず起こらない。実は、パニックを起こすのは政治家や役人などのエリート層である。
パニックを恐れて情報を出さず、かえって不安をあおってしまう、エリートパニック。
そして一般市民は、逃げるべきときに逃げない「正常性バイアス」「楽観バイアス」
周りの人が誰も逃げないから「同調行動」
ほか留めておきたいメモ
・マグカップとチョコレートの保有効果
・お金を見るだけで行動が変わる
e.g. 自助努力を重んじる
e.g. 引越しを友達とわいわいやれなくなる
・同調は思考停止につながる
・人は主観確率に従って行動する
・信頼ゲームは時間をかけるとケチになる意味を考える(システム1が利他的) -
Posted by ブクログ
人間は本当に常に合理的な行動を取る生き物なのか、だとすれば目先の損得にごまかされたりして頭では分かっていても結局非合理的な判断を下してしまうのは何故なのか、そうした非常に素朴な疑問から始まる行動経済学の概念から最近のトレンドまでの概略書。新書ではあるが、400ページ弱のかなり充実した内容となっている。
内容としては、様々な種類のヒューリスティクスとバイアスの存在やプロスペクト理論に基づく4つのリスク態度パターン(同じ確率であってもその効用が利得か損失かによってリスク追求度合いが異なる、例えば確率が低い場合、宝くじのように対象が利得であればリスク追求型だし、牛肉におけるBSE問題のように対象が損失であればリスク回避型という行動が示される)などは、『影響力の武器』などと重なる内容もあり、実用性が面白かった。
完全に合理的な人間を想定して数理モデルを構築して理論展開を行う近代経済学に対して、行動経済学が確かにそうした数理モデルによる理論化が困難な点を認めた上で、それでも実用性があるのであればその方がよっぽど価値があるということを著者はあとがきで述べている(この点を、「完全に止まっている時計は1日に2度正確な時間を示すが、1分間狂っている時計は1度も正確な時を示さない。しかしどちらが役に立つかは自明である」という巧みな比喩で表現している)。まさにこうしたプラグマティズムが行動経済学のベースにある思想であり、行動経済学の実用性は、人々に特定の行動を取らせるため(例えば、医療費抑制のために健康に配慮した生活を送らせる、など)の政策立案にも大きな役割を果たせるはずだと著者も述べており、様々な分野でこの知見が活かせるようになると良いと感じた。