友野典男のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ありとあらゆる選択肢のなかから最適のもの、つまり効用や利益を最大化するオプションを合理的に選択することができる人。経済学は、こういう合理的な人、つまり「経済人」を理論の前提とおきます。これに対して、行動経済学は、「限定合理性」という概念にもとづき、人間の実際の経済行動にアプローチしていくものです。
人間の判断モデルとして「限定合理性」の現実的な妥当性はだれもが認めるところです。しかし、これを基盤にどう経済学や社会科学を組み立てるかというのは結構難しい問題で、なかなか具体論として前に進んでないのかなと思っていたんですが、この本を読んで、かなり目から鱗。経済学者も相当にがんばって、「限定合理性 -
Posted by ブクログ
・「国富論」(アダムスミス):だれもが利得の機会を過大評価し、損失の機会を過小評価する。
・リスクや不確実性が人間の経済行動に影響を及ぼす。
・ヒューリスティックスに対比されるのがアルゴリズム。手順を踏めば厳密な解が得られる。
「大数の法則」:標本が大きい方が母集団の性質をよく表している。
・確証バイアス:いったん自分の意見や態度を決めると、それを裏付ける情報ばかりを集めて、反対の情報を無視したりする。
・人間の情報処理のプロセスは直感的な部分と分析的部分の2つから形成される。
・保有効果:ものや状態(地位、権利なども)を所有していると、持っていない場合よりもそのものを高く評価する。
・フレー -
Posted by ブクログ
読み終わった,本書によると、現在の経済学は、「経済にかかわるすべての人は、完全な経済的合理性を備えている」ことを前提としている。こういう人のことを経済人と呼ぶ。経済人によって運営されることを前提とする経済を表すのが現在の経済学である。この前提には非常に違和感を覚える(この本の趣旨もそうだ)。私に同意できない人もいるだろうから、以下の2つの質問について考えてほしい。 同じ商品を売っている店が2つあるとする。片方は、無愛想なオッサンがやっていて、少し安い。もう一方は愛想のいいオッチャンがやっていて、少し高い。この二つの店の差異はこれ以外にはないとする。あなたは、どちらで買い物をするだろうか? あな
-
Posted by ブクログ
最近話題の行動経済学をちょっくらかじってみたいと思い購入。
行動経済学の歴史から、最新の研究成果までまんべんなく網羅されている(と思う)。とはいえ刊行から10年近く経過しているので、もう少しブラッシュアップが必要かもしれない。ミクロマクロの別で言えばミクロ経済学の領域。
なぜブラッシュアップが必要という話をしたかというと、最後の章を読めばわかるのだが、もはや「~~モデル」を構築するに飽き足らず、脳科学の分野にまで進出していることがわかるからだ。最新であればあるほどより価値のあるのではなかろうか。書中でも「その進展状況は日進月歩どころか、分進週歩くらいの速さである」と言及されているほど。ミクロ経 -
Posted by ブクログ
「行動経済学」とは、2002年にプリンストン大学のカーネマン教授がノーベル経済学賞を受賞して注目されるようになった新たな経済学の分野であるが、それは、標準的経済学が、完全に合理的で利己的な「経済人」の存在を大前提とするのに対して、実際の人間の多くは必ずしもそのような行動ばかりをとるわけではないという前提から人間の経済行動を解明しようとするものである。
そして、「行動経済学」は、人間を研究対象とする多くの学問(心理学、進化生物学、脳神経科学など)から多大な影響と示唆を受ける極めて学際的な分野となってきている。
本書では、その考え方を以下の5つのポイントから説明している。
◆ヒューリスティクスとバ