【感想・ネタバレ】行動経済学~経済は「感情」で動いている~のレビュー

あらすじ

人は合理的である、とする伝統経済学の理論は本当か。現実の人の行動はもっと複雑ではないか。重要な提言と詳細な検証により新たな領域を築く行動経済学を、基礎から解説する。

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Posted by ブクログ

理系の私でも何やら行動経済学をわかった気にさせられるような、取っつきやすく読みやすい文書でした。

ある条件でのみ厳密であるモデルよりも、厳密には不正確だがある程度あてはまるモデルのほうが実用的、ということの例示として、停止しているアナログ時計は1日に2回は厳密な時刻を指し示すことができるが、1分進んでいる時計は一度も厳密な時刻を示すことができない。という表現があり、なるほどなと思いました。

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2022年10月14日

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経済学と心理学がこんなに身近なものだったとは!
経済学は脳をブラックボックスとして扱う。個人のインセンティブ、選好、信念がインプットで、行動がアウトプットである。

おもしろーい。

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2020年05月24日

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行動経済学の主要な理論、仮説を実証例を交えて網羅した入門的新書である。
そもそも行動経済学が背景には、従来の経済学が前提としている完全情報、完全合理的な理論上の人間行動を想定しているため、実態の経済の姿とはしばしば乖離しているため、それを補完するために研究がなされてきた分野である。既に、カーネマンなどがノーベル賞経済学賞を受賞している。

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2018年10月08日

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ありとあらゆる選択肢のなかから最適のもの、つまり効用や利益を最大化するオプションを合理的に選択することができる人。経済学は、こういう合理的な人、つまり「経済人」を理論の前提とおきます。これに対して、行動経済学は、「限定合理性」という概念にもとづき、人間の実際の経済行動にアプローチしていくものです。

人間の判断モデルとして「限定合理性」の現実的な妥当性はだれもが認めるところです。しかし、これを基盤にどう経済学や社会科学を組み立てるかというのは結構難しい問題で、なかなか具体論として前に進んでないのかなと思っていたんですが、この本を読んで、かなり目から鱗。経済学者も相当にがんばって、「限定合理性」に取り組んでいます。

長くなったので、具体的な本の内容は、読んでもらっての楽しみということにしますが、個人的には上に書いたような問題意識とのフィット感に加え、人間の経済行動を脳生理学と結びつけていこうという方向性が面白かった。

あと、「限定合理性」という概念は、私の知る範囲では、ハーバート・サイモンが提唱した概念だと思いますが(「人はmaximizerではなく、satisfierなのだ」といったことをサイモンは言っていた気がします)、サイバネティクスやコンピューター理論なんかと実は親近性のある概念です。つまり、限定合理性、脳生理学、コンピューターといえば、複雑系との親和性も非常に強いと思います。(最近はなんでも「複雑系」にしてしまうのだ。)

経済学をある程度勉強して、なんか釈然としない人には、非常に心地よい刺激に満ちた本。一方、全く経済学を勉強した事の無い人にとっては、「それって当たり前じゃん」「いつもそうやってもの買ってるよ」「私もそうやってものを宣伝して売ってるよ」という世界かも。

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2017年05月03日

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行動意思決定論―バイアスの罠 (マックス・H.ベイザーマン)の下位互換感はあるものの、入門書としては非常に読みやすく、実例が多く紹介されているので興味深く読めます。

人類である以上、一度は読めばいいと思う一冊です。

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2014年03月23日

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たぶん震災くらいの時に買ってて、それに気づかず最近買おうとしてたら、こないだ実家で見つけてホッとした本。ほんのわずかな経済学の予備知識があるとすごく面白く読める。個人的に新書の中では、中公新書の「アダムスミス」以来に面白い。市場原理なんかを前提とする経済学を「標準的経済学」と呼んで、「いや標準的経済学の言わんとすることは分かるけど、必ずしも理論通りにはならないよね」って内容。市場原理の否定というよりは、市場原理理論の精度を高めるために感情とか感覚とかを読み解く必要があるよね、という感じ。

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2014年02月23日

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行動経済学とは何かを知りたくて購入した本。お勉強モードで読み始めたが、それにしても初心者にはちょい難しかったような気がする。それでも行動経済学の背景にある歴史や、豊富な実験例がわかりやすく示されており、時間はかかったものの最後まで読み通すことができた。特に第6章フレーミング効果と選好の形成、サンクコスト効果あたりは、非常に興味深い。マーケティングの視点からも、また消費者側の目線で見ても参考になる点が満載だ。

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2024年04月13日

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・「国富論」(アダムスミス):だれもが利得の機会を過大評価し、損失の機会を過小評価する。
・リスクや不確実性が人間の経済行動に影響を及ぼす。
・ヒューリスティックスに対比されるのがアルゴリズム。手順を踏めば厳密な解が得られる。
「大数の法則」:標本が大きい方が母集団の性質をよく表している。
・確証バイアス:いったん自分の意見や態度を決めると、それを裏付ける情報ばかりを集めて、反対の情報を無視したりする。
・人間の情報処理のプロセスは直感的な部分と分析的部分の2つから形成される。
・保有効果:ものや状態(地位、権利なども)を所有していると、持っていない場合よりもそのものを高く評価する。
・フレーミング効果:人はまったく同じ内容のものを見ても、状況や理由によって違うように受け取る。
・サンクコスト:過去に払ってしまってもう取り戻すことのできない費用。小さい子供はサンクコストに惑わされることは少ないが、年齢が進むにつれてサンクコスト効果が認められる。「もったいない」は日本語特有で英語にはない。
・人にとって選択肢が多いことは幸福度を高めるどころか低下させてしまう。
・人はなぜ将来の利得を割り引くのか。現在の自己と将来の自己は別の人間であると捉える。その関係は自分と他社の関係と同様であるという。
・ピークエンド効果:個々の経験を総合して全体を評価するのではなく、その最も強い部分と最後の部分の印象がきわめて重要、かつ出来事の時間的長さは無関係。
・間接的互酬性:他者に対して全行を施すと、それを受けた当事者ではなくグループの他の人から善意が返ってくることがある。=情けは人のためならず。
・コミットメント手段としての愛情の働き:配偶者を決めることや結婚生活を維持するような長期にわたる事業を合理的計算による契約や約束によって行うことは難しい。しかし、愛情を感じる相手を配偶者とすれば、当事者に長期的利益をもたらすことになる。
・恐怖という感情:瞬時に「逃げる」という行動をとらせる優れた装置。
・協力行動を発生・維持するには感情が強い力を発揮する。
・最もよく使うヒューリスティックスは多くのひとがとっている行動を真似るという「大勢順応ヒューリスティクス」
・協力行動が社会のメンバーにとって重要であり、そこで協力行動をするものが称賛される。

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2021年12月04日

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人の行動は限定合理的であるという考え方の実例が多くあり、行動経済学の基礎を学ぶには良かった。
もっと負荷方式してみたい。

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2021年08月24日

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心理学が看板を付け替えて、ノーベル賞を取れるようにしただけの学問かと思っていたが、心理学と経済学の協働で成り立つことがわかり、割と好感を持った。
標準的な経済学の想定する人間のあさましさが積み上げられた知見により違うと分かり、そのあさましさには根拠が欠けていたことがわかった。それに基づく政策が失敗するのも当然の帰結と思えた。

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2020年04月27日

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読み終わった,本書によると、現在の経済学は、「経済にかかわるすべての人は、完全な経済的合理性を備えている」ことを前提としている。こういう人のことを経済人と呼ぶ。経済人によって運営されることを前提とする経済を表すのが現在の経済学である。この前提には非常に違和感を覚える(この本の趣旨もそうだ)。私に同意できない人もいるだろうから、以下の2つの質問について考えてほしい。 同じ商品を売っている店が2つあるとする。片方は、無愛想なオッサンがやっていて、少し安い。もう一方は愛想のいいオッチャンがやっていて、少し高い。この二つの店の差異はこれ以外にはないとする。あなたは、どちらで買い物をするだろうか? あなたが、経済人ならば間違いなく前者。「場合による」といったような判断が働くなら、すでに経済人ではない。おそらくあなたは経済人ではないだろう。ここで、百歩譲って、上記問題で経済人であった方は、次の問題について考えてほしい。 あなたはM.Mさん司会のクイズ番組に出演。見事に優勝した。そして、あなたは賞金を決めるため、最後の問題にチャレンジする。この問題はいたって単純。三つの箱の内、一つは1000万円入っていて、その他にはなにも入っていない。一つの箱をあけ、その中身があなたの賞金となる。 M.M「さあ、どれがいいですか、A、B、Cの中からお決めください」 あなた「Aにします」 M.M「では、ヒントを差し上げます」     といいながら、Bの箱を開ける。中には何もない(もちろんM.Mは、どこに賞金が入っているか知っている) M.M「これで、賞金が入っている箱は、AかCということになります。今だったら変えてもいいですよ。どうします?」このシチュエーションで、あなたならどうしますか? あなたが経済人であるなら、選択変更してCを選ばなければならない。というのは、Aの正解率は1/3であり、Cの正解率は2/3であるから。残念ながら、多くの人類の脳では、この期待値(正解率)を正しく判断することができない。 おそらくあなたは経済人ではないだろう。しかも、あなたは取り立てて変わった人でもないだろう。ということで、この世の中には経済人はほとんどいないはずだ。その経済人に運営されていることを前提にモデル化された経済学が規定する経済もいい加減であることは明らかである。 この反省に基づいて作られたのが本書が解説している行動経済学である。上記したような状況で人はどのように行動するのかを統計的に導き出し、その帰納的積み上げにより経済をモデル化する試みである。内容が複雑なため説明は割愛するが、マーケティング活動にかかわる人には必読である。また、マネージメントの基礎知識としても有用である。

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2018年10月23日

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最近話題の行動経済学をちょっくらかじってみたいと思い購入。
行動経済学の歴史から、最新の研究成果までまんべんなく網羅されている(と思う)。とはいえ刊行から10年近く経過しているので、もう少しブラッシュアップが必要かもしれない。ミクロマクロの別で言えばミクロ経済学の領域。
なぜブラッシュアップが必要という話をしたかというと、最後の章を読めばわかるのだが、もはや「~~モデル」を構築するに飽き足らず、脳科学の分野にまで進出していることがわかるからだ。最新であればあるほどより価値のあるのではなかろうか。書中でも「その進展状況は日進月歩どころか、分進週歩くらいの速さである」と言及されているほど。ミクロ経済学は各個人の効用最大化を企図する学問なので、その帰結は正しいといえば正しいし、理系学問のいいところは再現可能性があるので多重チェックができること。
ただし、入門書であるので、各分野の細かい話は大分端折られているようだ。よりしっかり理解したい人は類書を何冊か読むのがいいだろう。かくいう自分もカーネマンのファストスローを購入した。
個人的に興味深かったのは、「モラルや規範を破る者に対して処罰を与えること自体が快をもたらす」ことが、「信頼ゲーム」というゲームを使った実験によって、いかなる働きで報酬系が働くかが医学的にも明らかになったこと。
ほかに、感情がより合理的な決断を促す例があるということ。この2つは若干衝撃だった。
とりあえず行動経済学はわかったつもりにはなったけど、まだまだ類書をあさる必要がありそう。

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2016年02月15日

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「行動経済学」とは、2002年にプリンストン大学のカーネマン教授がノーベル経済学賞を受賞して注目されるようになった新たな経済学の分野であるが、それは、標準的経済学が、完全に合理的で利己的な「経済人」の存在を大前提とするのに対して、実際の人間の多くは必ずしもそのような行動ばかりをとるわけではないという前提から人間の経済行動を解明しようとするものである。
そして、「行動経済学」は、人間を研究対象とする多くの学問(心理学、進化生物学、脳神経科学など)から多大な影響と示唆を受ける極めて学際的な分野となってきている。
本書では、その考え方を以下の5つのポイントから説明している。
◆ヒューリスティクスとバイアス・・・人間は不確実・複雑なことがらに対して判断を下すときに、暗黙のうちに便宜的な方法(ヒューリスティクス)を用いているが、この方法は判断に至る時間は早いが、その結果に一定の偏り(バイアス)を含んでいることが多い。
◆プロスペクト理論・・・行動経済学の代表的成果。人間の経済的価値の認識には、1.価値の絶対的水準ではなく、原点からの変化の度合いで測られる(参照点依存性)、2.利得も損失も値が小さいうちは変化に対して敏感だが、値が大きくなるにつれて感応度は減少する(感応度逓減性)、3.損失は同額の利得よりも強く評価される(損失回避性)、性質がある。
◆フレーミング効果・・・人間の意思決定は、質問や問題の提示のされ方(フレーム)によって大きく変わる。初期値効果(人間の選択は初期設定に影響されやすい)、貨幣錯覚(人間は実質値より名目値で判断しやすい)、サンクコスト効果(人間は判断する際に、本来考慮するべきではない過去のコストを意識しがちである)、極端回避性(寿司屋で特上、上、並があると、人間は上を選びがちである)
◆時間選好・・・決定の時点と損失や利得を得る時点が時間的に離れているような意思決定(異時点間の選択)における人間の選択は、単純な割引関数のみではなく、多様な心理プロセスにより決定されている。
◆社会的選考・・・実際の経済活動は、標準的経済学が前提とする利己的な経済人だけでは成り立たず、他者の利益をも考慮に入れる利他的な人間がいなければ円滑にはなり得ない。
そして、最後に、最近の心理学や脳神経科学の発展により、より良い意志決定のために重要な役割を果たしているのは感情であることが明らかにされつつあることや、社会的選考については、人間が進化によって獲得した、感情を含めた生理的な効用最大化を図る特質であると考えられることなどが述べられている。
今注目される経済学の新しい分野について、多数の実験事例なども引用して分かりやすく説明している。
(2015年9月了)

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2016年01月16日

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経済学自体も良く分からないで読んだが、経済人という想定では無理があり、心理学的な要素も含めた行動経済学という概念は面白いと感じた。

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2015年05月17日

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人が持っている”感情”が日常の”勘定”にどう影響を与えるかを易しく書かれています。経済というと堅苦しい感じがしますが、行動経済学はもう少し身近な事例に感じられる学問ですのでおすすめです。

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2015年03月03日

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実験経済学は知っていたが、行動経済学というものの存在を初めて知った。
経済人をモデルとした理論経済学とは異なり、確率やヒューリスティクスといった現実世界の人々の行動や意思決定に近いため、納得できる部分が多い。
結構従来の経済学での常識が覆される点も多く、そういう意味でも引き込まれる。

2回目:今ほど行動経済学が話題になる前にこれを読んでいたことに驚いた。しかも著者が身近な人だった。何だか不思議な感じがする。

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2018年03月09日

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[購入] 様々な実証実験のデータや主張を集め、行動経済学の要素を凝縮した入門書。行動経済学とはそもそもどんな学問分野で、どのような事象を扱うのかが良くわかる。

しかしその分並列的な内容が多く、中盤はどうしても冗漫な印象がある。一方、七章八章は特に共感できる部分が多く、行動経済学が心理学など他の学問分野と共通するテーマを扱っていることや学問的広がりがあることが十分に感じられるため興味深い。

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2014年03月03日

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日本で行動経済学が流行り出す前の2006年の刊行。おそらくその走りになった書籍のひとつだと思われる。決して未学者にわかりやすい書籍ではなく、ある程度経済学をかじっていたほうが理解しやすいかもしれない。今となっては有名な数々の理論や実験について紹介している。

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2024年03月04日

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ずぶの素人にはなかなかに読み応えのある本であった。
行動経済学の入門書ともいうべきもので、多くの事例を紹介して、興味深い。
人間は合理的に行動をしていても、そこに何らかの諸要素(それが心理的なものであれ、社会的なものであれ、環境的なものであれ)に意識的、無意識的に行動を決めているとすれば、それがある意味合理的か。
最後の方では脳の働きと関連を持たせており、新しい分野なだけにさらなる研究が進んでいくのでしょう。

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2020年03月20日

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ヤバい経済学と似た内容。ゲーム理論や囚人のジレンマが書かれていた。「選択の科学」の6つの選択肢と24の選択肢の話もあった。

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2019年09月23日

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こちらは、行動経済学入門といってもいい本だ。依田さんの本より少し厚く、事例も豊富に感じる。感情の動きが決断に影響しているという話が面白かった。

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2018年11月12日

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教科書的に書かれていて、解説も網羅的ではあるが、素人には理解するには少し難しかった、脳科学の進歩から人の行動と心理についての脳科学的基盤が証明され、それが経済活動に応用されてきているようだ。

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2018年11月04日

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行動経済学の解説書。

行動経済学の基礎知識を身に付けたいのであればもっとしっかりしたテキストブックを読む必要があるが、「行動経済学ってどんなもの?」ということを知る上では十分である。

入門レベルのミクロ経済学の知識があると理解しやすいだろう。

知っているとどこかで使えそうな小ネタが多く、楽しんで読めた。

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2018年07月10日

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ネタバレ

経済学を人の感情、直感、記憶など、心のはたらきからとらえようとしている。実際の会社などのマーケティングの観点としても参考になる。

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2018年02月17日

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行動経済学についての先行研究まとめに終始していて、新しい発想や提言がなかったのが寂しいところ。
囚人のジレンマ、フレーミング効果など、日常の中で遭遇するものも多いので、世界の見方は若干変わりそう。

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2016年11月05日

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行動経済学の基礎を解説した本。
色々な理論や事例の紹介をたくさん並べていった、という印象で、「じゃあその理論なり事例を、日々の暮らしにどう活かしていくのか?」というところまではあまり触れていませんでした。
という訳で、文章量が多いのもあり、新書というフォーマットを考えるとどうなのかな、というのは少しありました。講座を受けている学生さん向けの教科書であればしっくり来る感じ。

行動経済学自体も面白そうだし、著者の筆致もわかりやすい文章なのですが、狙っているところが自分が読みたいものとは方向性が違ったかなと思いました。

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2016年02月21日

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人間は本当に常に合理的な行動を取る生き物なのか、だとすれば目先の損得にごまかされたりして頭では分かっていても結局非合理的な判断を下してしまうのは何故なのか、そうした非常に素朴な疑問から始まる行動経済学の概念から最近のトレンドまでの概略書。新書ではあるが、400ページ弱のかなり充実した内容となっている

内容としては、様々な種類のヒューリスティクスとバイアスの存在やプロスペクト理論に基づく4つのリスク態度パターン(同じ確率であってもその効用が利得か損失かによってリスク追求度合いが異なる、例えば確率が低い場合、宝くじのように対象が利得であればリスク追求型だし、牛肉におけるBSE問題のように対象が損失であればリスク回避型という行動が示される)などは、『影響力の武器』などと重なる内容もあり、実用性が面白かった。

完全に合理的な人間を想定して数理モデルを構築して理論展開を行う近代経済学に対して、行動経済学が確かにそうした数理モデルによる理論化が困難な点を認めた上で、それでも実用性があるのであればその方がよっぽど価値があるということを著者はあとがきで述べている(この点を、「完全に止まっている時計は1日に2度正確な時間を示すが、1分間狂っている時計は1度も正確な時を示さない。しかしどちらが役に立つかは自明である」という巧みな比喩で表現している)。まさにこうしたプラグマティズムが行動経済学のベースにある思想であり、行動経済学の実用性は、人々に特定の行動を取らせるため(例えば、医療費抑制のために健康に配慮した生活を送らせる、など)の政策立案にも大きな役割を果たせるはずだと著者も述べており、様々な分野でこの知見が活かせるようになると良いと感じた。

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2014年09月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

決して面白くないわけじゃないし、サンプルも豊富でわかりやすいのに、しかも新書だっつーのにやたら読むのに時間がかかった。
思うに入門書として書かれたためにある意味トピックを詰め過ぎたのかもね。それだけ裾野の広い分野だということなのでしょう。
残念なのは巻末の参考文献があれだけ充実しているのに索引がないこと。索引があったら絶対「手元に一冊」な本だと思う。

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2019年04月11日

Posted by ブクログ

行動経済学という新しいジャンルの学問の入口にはなるのではないかと感じることができる。まだ馴染みが無い内容は多いが身につけると、強い武器になると思える

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2014年07月31日

Posted by ブクログ

行動経済学について、ザックリと知るには良い。なんとなく、教科書を読みやすくしたような感じで、全体が淡々と述べられる。気持ちは分からなくもないが、数式やグラフを用いた説明は諸刃の剣で、それで分かる人と、逆に敬遠してしまう人に分かれてしまうような気がして、それがもったいないと思う。それぞれが問題提起レベルになっていて、もう少し突っ込んだ結論が欲しいところ。最初に思っていたよりも、内容が盛りだくさんで、咀嚼が大変。

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2014年04月05日

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