鈴木由美のレビュー一覧
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最後の得宗北条高時自害により鎌倉幕府は滅亡した。その弟泰家は自害を偽装することで、高時の息子時行は幼齢であったことから生き延びた。鎌倉幕府滅亡から足利尊氏離反まで北条残党の反乱は15件程度確認できる。泰家を匿った関東申次西園寺公宗は後醍醐天皇暗殺の嫌疑で処刑された。暗殺計画の黒幕は後醍醐と対立する系統の光厳上皇と考えられる。公宗は泰家・時行と連携していた。
時行は信濃で挙兵し中先代の乱始まる。足利直義ら幕府側に勝利し、鎌倉に入った。直義は鎌倉幕府打倒に功績のある前征夷大将軍護良親王を殺害。これは時行と建武新政で冷遇されていた護良親王が結託し鎌倉幕府が再興されることを恐れた処置である。
尊氏が出 -
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鎌倉幕府滅亡から2年後。日本史の教科書では一行で終わるような反乱。最後の執権北条高時の遺児時行の闘争。
建武の新政から後醍醐天皇と足利尊氏の争い。その最中に起こる中先代の乱。一行で知識として知っていたが、建武の新政に対する不満を受けてか実は大きな反乱。鎮圧のため東上した尊氏が後に幕府を開くきっかけの一つともなっている。
乱の鎮定後も生き延びる時行。やがて南朝方に属し足利幕府に抵抗する。その20年の戦いにスポットをあてた本書は異例だろう。筆者の執念を強く感じる。
近年売れ行きの良い中公新書の日本史シリーズ。本書も他の著作に劣らず楽しめる一冊でした。 -
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ネタバレ愚論思いついた(´・ω・`)
鎌倉の地が主役で武士政権を作ったのでは?
鎌倉時代の終焉の図で、得宗家を含め北条氏と
言えば情けない姿しか思いつかない
中先代の乱、北条時行が起こした反乱など死に
体であった北条氏の最後っ屁ぐらいにしか思っ
ていなかったが、鎌倉幕府滅亡後20年に渡り、
多くの北条側の反乱が続発している
時行の戦いがもたらしたのは、出来かけ建武の
後醍醐体制をくずし『足利一族政権』である
鎌倉を支配する事になった尊氏はその時すぐに
将軍家と周囲から称された(武家政権の長)
それは北条氏(先代)の次に足利氏(当御代)
義詮が先例を模索するときに、頼朝の次に得宗
家を武家の吉例と -
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逃げ若読んで史実を知りたくなったので買ってみた。
素人にもわかる良い論文を読んだ…という印象。膨大な史料を参考に、あらゆる角度からこの年に何が起こっていたのか?を検証されていて、正直分かりづらい点もあったものの全体感を把握するのには問題ないレベル。本文では客観的な立場から淡々と(そう見える)論述されていたが、あとがきで時行への愛がすごくて、ギャップが面白く、また愛があるからこそここまで研究できるんだな…と思った。史料が少ないからこそ明かされて来なかったことも多いはず。それを著者の鈴木さんが表に出していき、今こうして多くの人に「北条時行」の名が知られているのはすごい。 -
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中先代の乱について、時代背景からその意義に迫る本。
中先代の乱自体は早々に鎮圧されるため、足利尊氏が後醍醐天皇との確執を生むきっかけになったというくらいしか認識していなかった。しかしそこには鎌倉幕府滅亡前から続いていた持明院統と大覚寺統の複雑な権力構造、足利氏に反感を持つ御家人の思惑などさまざまな利害関係が結集したターニングポイントとも言える。
特に北条時行が当初持明院統(北朝)の将軍を立てることで鎌倉幕府の再興を狙い、それが不可能になったことで後醍醐天皇側につく流れは新しい知見となった。
資料があまりにも少ないこの事件ではあるが、丁寧に史料を紐解いていけばここまで推察ができるということが歴史 -
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恐らく来年の大河ドラマを意識して出されたのだと思われる作品。鎌倉幕府が崩壊した時に実質的に権力を握っていた執権の北条一族は一族郎党の殆どが鎌倉で自害して果てたのだけれど討幕後の後醍醐天皇の政治に不満を持つ武士たちの反乱が相次ぎ最終的には討幕の中心的存在だった足利氏が後醍醐天皇を追いやって新たに幕府を立てた、という歴史の流れがあるけれども本作で取り上げられているのはその反乱が北条一族の残党が中心であるものが多かった、という話。中先代の乱、は教科書にも載っていて最後の執権の遺児が信州で蜂起して鎮圧された、みたいなさらっとした記述だったように記憶している。往時もうっすら疑問だったのだが、なぜほぼ一族
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鎌倉幕府滅亡から2年後に起きた、中先代の乱。
建武政権から南北朝時代へと進行する契機となった乱の、
あらましや内実、時流に抗う人々の動向を探る。
序章 鎌倉幕府と北条氏 第1章 落日の鎌倉幕府
第2章 北条与党の反乱 第3章 陰謀と挙兵-中先代の乱①
第4章 激戦と鎮圧-中先代の乱②
第5章 知られざる「鎌倉合戦」 第6章 南朝での活動
終章 中先代の乱の意義と影響
主要参考文献、関係略年表、建武政権期における反乱の表有り。
適宜、系図有り。
北条氏得宗家の生き残り、北条時行が起こした、中先代の乱。
鎌倉時代の始まりから滅亡までの北条氏と、
その後の建武の新政、南北朝時代の時の変遷の中で