陣内秀信のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
5月の天気のいい土曜日、友人に誘われて京浜運河で初めてのカヤック遊びを楽しみました。すいすい進む感覚も面白かったのですが、普段見ることの出来ない視点から東京(の一部)を見れたことにテンション上がりました。陸に上がって昨年からの積読だった「水都 東京」を開いた訳です。著者については大昔テレビの番組でヴェネツィアやアマルフィーを紹介している人として認識していましたが、東京も同じように〈水の都市〉として研究してきたのですね。本書は35年前の「東京の空間人類学」を基本に置いた更新ということです。未読ですが前著の水の下町、陸の山の手という二元論でなく、もっと広い東京エリア全体を〈水の都市〉という観点で語るという本になっています。例えば日野を〈水の郷〉としていることも意表を突かれました。中沢新一の「アースダイバー」の2019年の増補改訂版が「海民」という〈水の人〉視点でのアップデートだったのとシンクロを感じました。1964年のレガシーである首都高が用地買収の効率性から東京の河川を覆い隠すように建設された成長の20世紀だとしたら、日本橋のプロジェクトのように水辺を取り戻そうとする動きが21世紀の持続性の世紀の特徴かもしれませんね。
-
Posted by ブクログ
世界史についての本。
興亡の世界史というシリーズの中の最終巻。2007年に出されていたが、文庫化されるにあたって新しく手直しされたもの。
従来の世界史というのは西洋史を中心としたものであったが、本書ではそれに対してもっと多文化的で中立的な世界史を提唱している。
人口問題については、人口バランスとその国の繁栄について書かれており勉強になった。日本は戦後の復興期、高度成長期に人口ボーナス期を迎え、一気に経済繁栄した。これからは急速な高齢化と少子化で人口減少時代を迎える。経済的な縮小はやむを得ないだろうと思う。しかし、世界的には人口増加による環境問題に直面しており、日本の人口減少は今後に必要な世界的人口減少に先駆けたものと考えれば、やむを得ないのかもしれない。
海の歴史についてはインドを中心に西と東がインド洋で交流していたダイナミックな歴史が興味深かった。その後にヨーロッパの産業革命がおこり蒸気機関による船舶が開発され、西洋による世界の植民地化の歴史については、力による支配に辛い気持ちになる部分があった。
アフリカの悲惨な歴史については、最も衝撃的であった。アフリカには部族がいてそれが抗争して未開である、という今日のアフリカ像が西洋的な視点から作られたものであると書かれていた。アフリカの部族という存在は古くからの伝統かと思っていたが、西洋の植民地化で地域ごとに部族を縛り付けて孤立させ固定化した結果であると知った。
さらに、奴隷貿易がアフリカの発展に壊滅的な打撃を与えた。奴隷制度が西洋の発展と自由で民主的な生活スタイルを作ったが、その悪影響をもろにかぶった地域なのだと再認識した。
全体にアンチ西洋の雰囲気を感じたが、日本独自の世界史への関わりを提唱していて面白かった。地域ごとにダイナミックな歴史と異文化交流があったことを知ることができ、他のシリーズも読んでみたいと思った。
-
Posted by ブクログ
ボローニャのスローガン 「保存は革命である」
質的充実への道
その土地の個性、歴史や文化の蓄積にこだわり、
人間の感性にぴったり合った質の高い生活環境をつくる。
「保存」conservazioneから生活できる「修復再生」restauro
ricupero
restauro
「老朽化し、機能が低下した建物を修復し、
本来の建築的な特徴、歴史的な価値を保存しながら、
現代のニースにあわせて機能を再生する仕事」
イタリアの豊かさは、どこからきているのか?
それは、ライフスタイルにあると思う。
ヒューマンスケールの町
世界遺産の街 トスカーナ ピエンツァ
ヴェネト アゾーラ
非機能的都市 ヴェネチュア
過去と現在を共存させる
産地 distretto industriale
コンバーター
マーケティングと商品企画機能を担いながら、
製造の各工程の下請け企業を組織する。
そして、中小企業がネットワークを形成して、
消費者のニーズに応えられる
多品種で少量の生産を実現する。
古いオリジナルなものが、美しく、
希少性があるばかりか、
さまざまな歴史の想像力を働かせてくれるから、
価値があると考える。 -
Posted by ブクログ
イタリアを代表する中世に活躍した4つの海洋都市の歴史を描いた本である。イタリアは古代ローマ帝国から本当に豊かな歴史物語に溢れている国であるが、ローマ以外のこれらの都市もローマに劣らないほどの活躍をしている。
ヴェネチアとジェノバはそれなりに有名だが、4つの海洋都市のアマルフィとピサの活躍は知らなかったので新鮮でした。特にアマルフィはこの4つの海洋都市の中で最初にビザンツ帝国に認められてコンスタンチノープルに活動拠点を置く事を許されていた都市なのであるが、これが本当に閉ざされた小さな港町なのである。車も入れない細い斜面の街、そんな街にある潮風に晒された小さなレストランで食事をしてみたいものだ。
-
Posted by ブクログ
東京を東西に結ぶ大動脈の中央線は街の新参者で、それを外せば古くから横たわる街の骨格が見えるとのコンセプトで新宿から始まり日野まで綴られている。訪れたことがある街以外はあまりイメージか湧かなかったが、興味深く読めた。今はどうしても中央線沿線周りが街の中心だが、そうではなくかつては別の場所に中心があったりしたようだ。
しかし、文庫版の最後の対談で思ったのは、この手の人は何故いつも最後は薄っぺらい開発や資本主義、既成政治への批判に行き着くのだろうか。せっかくの良い仕事が勿体無い。タワーマンションへの批判も何故か展開されており、まるでタワマンで親が殺されたのかと思えるほどだ。 -
Posted by ブクログ
<目次>
対談 近代以前の東京の原型を探る(陣内秀信VS三浦展)
第1部 中野・杉並編
第1章 新宿~中野…青梅街道から中央線へ移動した軸
第2章 高円寺…前近代の宗教地域から近代軍事都市へ
第3章 阿佐ヶ谷…聖域・湧水・古道・河川・釣り堀から読む地域構造
第2部 多摩編
第4章 国分寺~府中…いにしえの東京を探しに、古代武蔵の中心をめぐる
第5章 日野…用水路を軸とした農村、宿場から鉄道中心のベッドタウンへ
文庫版対談 「鉄道がなかったら」という視点が新しい郊外を生む!(陣内秀信VS三浦展)
<内容>
雑誌「東京人」(2012年4~9月)の連載を基に出版された本(2012年12月刊)の文庫本化。社会学的な視点と地理学的な視点をクロスオーバーさせ、歴史学的視点をちょっと振った感じ。武蔵野地域が、中央線のなかった時代から発展しており、それは甲州道中や青梅街道沿いからで(中野~国立)、多摩地域は国分寺崖線や日野の多くの湧水がベースであった。最後の対談に、こうした歴史的分析を踏まえて、「古き良き日本」を基にした、町おこしが必要、という示唆は深いと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ<目次>
第1章 隅田川~水都の象徴
第2章 日本橋川~文明開化・モダン東京の檜舞台
第3章 江東~「川向う」の水都論
第4章 ベイエリア~開発を基層から考える
第5章 皇居と濠~ダイナミックな都心空間
第6章 山の手~凸凹地形を読む
第7章 杉並・成宗~原風景を探る
第8章 武蔵野~井の頭池・神田川・玉川上水
第9章 多摩~日野・国分寺・国立
<内容>
東京を多摩地区まで広げて、「水」をキーワードに展開する都市論。イタリアの分析技法を東京にも生かしている。昨今の地形ブーム(「ブラタモリ」など)と歴史をうまく取り込みながら、人々が何を考えてきたかを分析する。陣内先生も結構なお年だったんですね…。