赤瀬川原平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「物忘れはをするのは力だ」というところから始まった「老人力」について、様々なテーマごとに老人力にまつわるエピソードを綴る。
寡聞にして知らなかったのだが、1990年代の終わり頃に「老人力」ブームが有ったそうな。発症者は著者の赤瀬川原平、発見者が南伸坊。おう、よく読んでた人らじゃないか。というのも、「トマソン」をはじめとした、路上観察学会であり、街角考現学のメンツである。両方当然読んだ。ただ、何かって言うとジョーダンに持っていきがちな南伸坊に比べ、赤瀬川原平は、弾けているか内にこもっているかの両極端で、こもるタイプは苦手だったのだな。
本作は、割と軽く綴られているし、なんでそういう方向に進むかなという部分もあるので、割と読みやすい。途中で「路上観察」らしい、一言を添えた写真が入っているのも、読みやすさに良い意味で効いている。
老人力と関係ないが、夜眠れない話などは、私小説を書く際の参考になる。長らく寝かせていたが、こういうタイミングで読んだのは良かったと思う。
でもまあ、カメラの話はちょっとやりすぎかな。コンピューター、インターネット、デジタルを、必要以上に嫌うスタイルは、あまり好きではないな。そういう世代の人なのだと言われたらそうなんだけど。
「『老人力』の言葉の乱れ」という項が、メタ視点で非常に良い。これはちくま文庫版にしか含まれないのだろうし、そこは単行本よりも絶対に良い。 -
Posted by ブクログ
物忘れがひどい、身体に力が入らないといった老いの問題を、「老人力」と呼んでみることで、明るく捉えなおそうとする、というと、まだちょっと本書の主張から逸れてしまうような気がします。老いを明るく捉えなおすというポジティヴさが、著者の考える「老人力」というコンセプトにちょっとそぐわないからです。むしろ、老いによる衰えを自覚し、それをユーモアにしてしまうという心の余裕が、「老人力」というコンセプトのポイントなのかなと思います。
『老人力』と『老人力②』を一冊にまとめた文庫本ですが、『②』の方は著者にしては少し繰り言めいた文章もあるように思います。 -
Posted by ブクログ
年寄りが集まるとどうしても話題は病気と墓に行きつくのは良く経験しているところである。あの赤瀬川サンにしてもいよいよそこへ行きついたということのようだ。(そう言えば後書きで胃がんの摘出手術をしたとある。どうりで最近はめっきりと年老いた感があるはずだ)
もともとは赤瀬川家も鹿児島の出身で父の世代に東京へ出てきて、父母が両方亡くなったのを機に東京郊外の霊園に墓を何となく決めて買ったらしいのだが、そこは電車を何度も乗り換え、おまけにバスで更に奥地へ行くような場所。先祖に申し訳ないと言いつつ、遠くて行く気がしないし近くに何も楽しみもないので、墓参りに行く気分になるような場所は無いかと探す活動、即ちそれが「墓活」というわけだ。
確かに御墓は悩ましい問題だ。自分の父も将来に備えて釧路に墓を買ったのだが、今は良いけど将来は両親がともに居なくなれば親類縁者の居ない釧路に置くこともないし墓参りも出来なくなるであろうことは容易に想像できる。そしたら墓を引っ越して、出来れば東京のどこか、歳を取ってもすぐに歩いて行けるくらいの距離の場所で、草むしりもしなくて済み、雨・風にも関係ない御墓マンションが良いな、などと考えたりもする。
一方で自分が入るのであれば、母方の秋田の外れの小さな村の海辺にある墓が眺めが良くて素敵だなと思う。まあ入ってからも景色を見れるのかは知らないが。
そんなこんなの墓活だが、その他にペットの死や趣味で収集されたモノ、特にカメラの扱いについても触れられている。