赤瀬川原平のレビュー一覧
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ネタバレ赤瀬川さん、今回も救ってくれてありがとうございます。心の軽くなる一冊でした。
老人力とはいわゆるボケのことだが、彼曰くこのボケで物忘れをすることでなにか新しい情報が入りやすくなったり、変に嫌なことを覚えてなくてよかったり、また身体がちゃんと動かないことでの力が少し抜けるとか、自分のミスで予定したことに空洞ができることでその空間に余裕ができたりと、見方次第で物事を面白おかしくポジティブに捉えている。
またライカや侘び寂びも老人力の部類だとすると急に愛着の湧く存在になるからいい。
老人力を余裕を生み出す良さがあり、ときには切なくも愛おしくも感じる力でもある。
書籍の最後に関係者へのお礼を述 -
Posted by ブクログ
尾辻克彦の名で芥川賞を受賞した著者が、身の回りのものを題材に、奇想を展開しています。
雑誌『現代詩手帖』に連載されたとのことですが、とくに「電球」の項などは詩的に感じました。たとえば次のような文章があります。「おかしいですよね、電球というのは。あの電線のビリビリが溜まり溜まって垂れ下がった、雫のような形のガラス球の中は、真空なのです」。「危ないですよね。あの中には地球の外があるのです。あの中は外だ。だから良く考えると、地球は反対にあの電球のガラスに包まれているのです。あんなに薄いガラスの皮で、地球は外から包まれているのです。」「そんな宇宙空間を、ぽつんとガラスの皮で閉じ込めた電球が、私たちの -
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荒木博之さんのvoicy、マイブックカフェのコーナーで紹介されていた本。
赤瀬川さんの著作は新解さんの謎以来で2作目。
確か、子どもと一緒に読み継ぎたい本として紹介されていたのだが、鉛筆描きのような、ゆるく味わい深いタッチの絵に、そこまで長くないセンテンスが添えられていて、大人なら10分あれば読み通せる。
絵だけ眺めるのも楽しいが、文章が秀逸。
こんなに簡単で短い文章なのに、今まで考えたことなかった、わりと本質的な問いに気づかせてくれて、その問いを考えることで、今まで見てきた世界の、新たな面白さを教えてくれる。
赤瀬川さんなりのこの問いに対する探究は、最後にはクルリと一周して、なんとも言えな