服部茂幸のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
170815 偽りの経済政策 服部茂幸 17年3月岩波新書
日本はバブル崩壊で目の前の短期的合理性に終始する政治と経営に堕してしまい、中長期の取組=愚直さを喪失した。
そのツケが「30年不況」 長期的・戦略的取組を回復しなければ、この国は滅びの道
安倍政権の短期決戦・スローガン政治は逆効果と思う
アベノミクスの評価を問う 真っ当な本 4年を経て誰も評価を行わない 日本のダメなところ 「戦略トップ」が鍛えられない
著者は前著作「アベノミクスの終焉」(2014)で厳しい見立て 予想通り 国民には不幸
経済成長は政府支出・耐久財消費・住宅投資 消費増税後、経済成長は頓挫する
17年現在の評価
-
Posted by ブクログ
ネタバレ(個人用の大雑把なメモのため誤りがあります。)
ケインジアンによる、リーマンショックの犯人としてのFRB当局(バーナンキ、グリーンスパン)およびその理論的支柱となった新自由主義への批判。
新自由主義による金融政策第一主義が、1%のスーパーリッチの富を拡大(所得の逆分配)し、リーマンショックを惹起した(貧者の生活を破壊)。リーマンショック直前の「繁栄」は住宅バブルにすぎず、政府の金融政策がバブルを更に加速させた(カジノ資本主義の形成)。この住宅バブルは、無価値の債権に利子の価値が次々と上乗せされていっているだけの、実態のないものである。労働により新たな財が生産されたのであれば社会は豊かになるが -
Posted by ブクログ
新自由主義経済への理論的、実証的批判。結論として得たのは、格差時代を克服するのは決して難しい経済理論が必要なのではない。所得の再分配(富裕層から貧困層へ)をきちんと行う政策の立案と実行にあるということだ。新自由主義はその真逆を行く形だった。
「ハイ・ロード」と「ローロード」の概念を知って、経済史的な変化の本質がやっと腑に落ちた感があった。(競争戦略にはハイロードとローロードに大別される。ハイロードとは戦後資本主義が歩んだ道で、技術革新によって高い品質の製品を低価格で生産することで競争に勝とうとするが、ローロードとは新自由主義レジームが追及するもので、低賃金により競争に勝とうとすることである。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ内容は難しめとなっているので
あまり無理しては読まない方がいいでしょう。
ただし、この経済のシステムを読むと
いやというほど人間という生き物が
ご都合主義だということを痛感させられます。
そして、どの世界でもいえるのですが
何度失敗しても学びやしない。
終焉というか、
ボロが現在見え始めているのは
確実でしょう。
だけれども、無知(私も含む)な我々は
この人を推してしまったのです。
いつぞや理想のシステムが
あることに気づくことでしょう。
だけれども、そのシステムには誠実さと
個人のほうにも痛みが生じます。
今の生活を崩したくない一部の人は
絶対拒否するでしょうね。
世の中は、隅の隅ま -
Posted by ブクログ
過激なタイトルであるが、実証実験に各種経済指標を通して、アベノミクスがいかに失敗しているかを淡々と説明しており、目から鱗。デフレの克服、2%の経済成長などの公約がいかに破られ、達成時期先送りを繰り返ししてきたか!なんとアベノミクス前よりも経済成長率は低く、物価下落も続いている。これだけの金融緩和の中で起きている現象である。企業利益の回復のみが、プラスだが、円安・原油安による名目的要因が大きく、人件費削減が利益回復を支えられているという。何のことはない、中間層の没落、富裕層の資産収益増というのが、現在の正直な状況である。それがアベノミクスという言葉に幻惑され、成功しているかどうか、検証する人もい
-
Posted by ブクログ
本書は2014年8月の発行であるが、原稿は4月に上梓されていたそうである。昨年4月時点で現在の状況を的確に予想している点はすごいが、著書は元々「反アベノミクス論者」であるそうだから、内容は妥当なのかもしれない。
本書での経済予想は、現在から見るとあたっている点もやや的外れの点もあるが、全体的には、ほぼ的確な指摘となっているのではないか。
「黒田日銀」の「金融緩和」は、円安と輸出企業の好業績は一定程度もたらしたが、物価と経済を持ち上げるほどの力はなさそうだし、「財政政策」も持続性は困難だろうし、「成長政策」も農協の徹底抗戦の佐賀の選挙以来、どうも迫力不足となっている。
安倍政権は政治的に -
Posted by ブクログ
やはりそうだったか、というのが率直な印象。
景気回復はアベノミクスの開始前から始まっていること、ゼロ金利下での量的緩和(第1の矢)は経済刺激効果がないこと、公共事業(第2の矢)の経済刺激効果は微々たるものであること、規制緩和を主とする新自由主義的な成長戦略(第3の矢)は第2の矢と整合せず、輸出型産業の回復は国民経済に恩恵をもたらさないこと、などがデータを以て論じられている。
こうなると、どの党が政権を取ろうが、誰が首相になろうが景気変動にはおおよそ関係ないのではないか、との見方もできる。一部の利益享受者(今でいえば旧来型の重厚長大産業の経営者)には大いに関係するけれども。