岩根圀和のレビュー一覧
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「物語スペインの歴史」岩根圀和。中公新書2002。
大学の先生(外国語学部だそうですが)が書いたものです。
「キャパの十字架」を楽しむための準備運動の一環です。
・北アフリカのイスラム圏と、ローマからのキリスト教文化とのせめぎ合いの地であり、完全にイスラム圏だった時代も長くあったこと、そして決して悪政でもなかったことが良く分かった。
・レコンキスタ(キリスト教側の国土回復)に1400年代までかかった。800年くらいからずっとせめぎあいで、その間は普通に国王制の国家を中心とした群雄割拠。
・レコンキスタ終盤くらいからは欧州各地と同じ、各地血縁の王政。スペインのステイタス向上にはコロンブス含 -
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「物語スペインの歴史 人物篇」岩根圀和。中公新書2004。
大学の先生(外国語学部だそうですが)が書いたものです。この中公新書のシリーズは割と好きです。
総じて発見も多くて面白かったし、スペインの切れ端くらいは捕まえた気分になりました。
「キャパの十字架」への旅路の一環です。
・キャパ→ハンガリー生まれ→スペイン内戦への参加・撮影で有名に
・「ハンガリーの歴史」
・「誰がために鐘は鳴る」
・「キャパ写真集」
・「キャパ自伝 ちょっとピンぼけ」
・「物語スペインの歴史人物篇」
という流れです。
▼エル・シド
11世紀なんで日本で言うと源氏物語とかの時代ですかね。つまりは王朝に使えた名武将。 -
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スペイン旅行の前に予習として読んだ。スペインの通史というよりは、国土回復運動やレパント海戦、スペイン無敵艦隊などの歴史的事件をピックアップして、物語調で紹介する形式。著者がイスパニア文学専攻ということもあり、歴史書というよりは、情緒的表現にあふれる文学的な本になっている。個人的には、もうちょっと歴史学的なものを期待していたこともあり、逆にあまり文章に惹きこまれなかった。
トレドでキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒が共存していたということは本書で知り、興味深かった。
現在のスペインを理解するうえでは、スペイン現代史の部分をもうちょっと充実させてほしかったなと思う。
本文よりも、コラムの「失敗 -
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スペインの光と影の強い印象はキリスト教とイスラム教のせめぎ合いにより双方の文化が交じり合ったためであることを痛感させられる。しかし、レコンキスタ時代の2宗教の相互に寛容な時代は今では考えられないほど。カスティーリャ・アラゴン両国王の婚姻による国の成立、レコンキスタの完了、フェリペ二世時代のレパント海戦の対トルコ勝利、無敵艦隊の対イギリス惨敗。ハプスブルグからブルボン王家への乗り換え、そして20世紀のフランコ時代と、各時代の象徴的な出来事を物語風に語ってくれ、楽しみながら読める。フェリペ二世の弟ドン・ファンがレパント海戦の英雄でありながら、英国で病気に死すこと、セルバンテスがアルジェでトルコの捕
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ウィーン旅行でハプスブルク家に関心を持ち、中野京子の「名画で読み解く」でスペインもハプスブルクと知り、さらにゴヤとスペイン宮廷に興味が湧き、本書に至る。連鎖読書でヨーロッパ遍歴中。
でもこの本、ゴヤの時代は華麗にすっ飛ばしてありました。イスラムの時代から始まり、無敵艦隊が破れた次のページはスペイン内戦。従って全体史を知るにはまったく不向き。でもスペイン通の著者が「物語あり!」と感じた時期を厳選して面白く描いているわけで、楽しい読み物になっている。
読み始めてすぐロマンチックな文章から文学者と知れる著者の筆が、セルバンテスが登場すると滑りに滑るのが微笑ましい。ドン・キホーテは私にとって、笑っ