野口実のレビュー一覧

  • 源氏の血脈 武家の棟梁への道

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    2012年、中央公論新社から刊行された『武門源氏の血脈ー為義から義経まで』を改題し、修正・加筆して文庫化された本書は、源為義から義経まで武門源氏3代4人を取り上げて、源氏がその後700年に及んだ武家政権を築きあげていく過程を検討したものである。構成は以下の通り。

    序章 日本中世の幕開けと武門源氏
    第1章 構想する為義ー列島ネットワークの構築
    第2章 調停する義朝ー坂東の平和と平治の乱
    第3章 起ち上がる頼朝ー軍事権門「鎌倉殿」の誕生
    第4章 京を守る義経ー院近臣の「英雄」
    終章  征夷大将軍と源氏の血脈
    補章  「鎌倉殿」の必然性

    各章最初に4人の略伝が付されており、わかりやすい。また単純

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    2022年06月11日
  • 源氏の血脈 武家の棟梁への道

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    2012年刊行本を修正・加筆しての文庫版。為義・義朝・頼朝・義経の四人にフォーカスを当てて、武家の棟梁として確立される過程を追う内容。流通との関わりと、それを通しての各地への勢力展開などの様相が興味深かった。

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    2023年04月02日
  • 源氏の血脈 武家の棟梁への道

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     一昔前までの貴族対武士、東国対西国といった単純な対立軸で鎌倉時代開幕の歴史を論じることは無くなってきているが、本書は、河内源氏の嫡流、源為義、義朝、頼朝の三代にプラス義経を取り上げ、武家の棟梁に至ったのはなぜか、またどのようにしてそうなったのかを論じたものである。

     交易に力を入れていた平氏に対し、源氏にはそうしたイメージはなかったのだが、為義、義朝の代には積極的に地方に進出し、海・水上交通の拠点の確保を目指していたということ、また京武者系武士と在地勢力との関係等は、本書の叙述で良く理解できた。

     そして頼朝。著者は、それまで武家の棟梁と地方武士の間の主従関係はルーズなものであったのを、

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    2022年03月28日
  • 武家の棟梁の条件 中世武士を見なおす

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     武士論というと葉隠れだの忠臣だの何となく格好いいイメージではあるが、職能集団としての武士で考えるならば殺しを家業としたごろつき集団いわばやくざである。
     中世以前の日本史認識には近世・近代のフィルターがかかっていると言うのが著者の主張でたとえば夫婦別姓とか男尊女卑というのも北条政子、日野富子といった具合に中世ではありえない事である。
     武家の棟梁というのも近世・近代のフィルターを通すと長子相続のイメージになるのだが源家の鎌倉将軍就任が三代で終わっているので判るよう血統の上に立脚しつつも武家としての才能がないと統領とはなれないのである。
     源頼朝など昨年の歴史ドラマではずいぶん優男に描かれてい

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    2013年01月27日
  • 武家の棟梁の条件 中世武士を見なおす

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     平将門の乱から鎌倉幕府成立に至る「武家の棟梁」成立史。血脈と系譜、武芸故実の継承、「武都」としての鎌倉の歴史的変遷、東国の最有力軍事貴族の称号としての鎮守府将軍の位置づけ等々の分析を通して、「東国武士団史」ともいうべき内容となっている。著者は東国武士の暴力的で事大主義的な価値意識や行動原理を「ヤクザ」「暴力団」そのものと断じて全面的に否定しており、そうした蛮風が近代日本社会に直結しているとみなしているが、こうした見方に対しては一面的・恣意的に感じる向きもあるだろう。

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    2011年12月28日