永江朗のレビュー一覧
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本の現在(2005から2007の原稿)を制作側と読者側の両方から考えている本。
本書の特徴は何といっても著者の想像や推測の産物ではなく、関係者へのインタヴューや統計資料を基に考察が行われているという点。
そのため楽しく読め、かつ、他の本では扱われていない現場(編集プロダクションなど)の声も汲み取られている。
電子書籍に関してはまだまだ携帯漫画だけの時代なので、ほぼ言及はない。
ネット発の本に関しては現況の本ということに限るのであれば、現在にも当てはまるのでは。
ただ、ブログやニュースサイトなどはそれはそれで一つの形態であり、パッケージされた本とは別の次元で考えるべきだとは思う。
どうし -
Posted by ブクログ
「哲学からアダルトビデオまで」をモットーに、さまざまな人へインタビューをしてきた筆者。その信念や、具体的なスキルをまとめた1冊。
最も印象に残ったのは、「インタビューはフィクションである」というくだり。編集の仕事をしている今の思いと重なる部分があって、ものすごく、考えさせられた。「インタビュー=あの人の素顔」っていうのが、きっと私も含めた一般常識じゃないかな。だけど実際は、どこを切り取るか、どの言葉にフォーカスするかに、インタビュアーの想いがものすごく反映されていて、きっと同じインタビューをちがう人が記事にしたら、まったく違うものが出来上がる。それはどこまでが「真実」なのだろう、と…。
そ -
Posted by ブクログ
ネタバレチェック項目5箇所。フリーライターで食べていくのは大変だ、とよくいいます、だけど大変なのはフリーライターだけじゃない。テレビは時間をむだにします、受動的なメディアですから、本や雑誌だったら、つまらないともう読み進められない、おもしろくてやめられないということはありますが、テレビは油断するとまったく内容のないバラエティ番組や通販番組までだらだら見てしまいます。松永真里さん・・・初対面の人に会って知りたいのはその人の価値観。新人ライターは自分のウェブサイトかブログを持つことが不可欠。世の中には同時に複数のことができる人と、一つのことに専念して確実に片づけていく人の二パターンがある、後者の人はライタ
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Posted by ブクログ
自分は、バブルの記憶もなく、セゾン美術館閉館の年(1999)に上京した人間なので、直接その時代を知らない。しかし、東京で暮らすうち、セゾン文化を出自とする先人の多さに驚き、本書を読んでみた。
登場するアーティスト・文化人の顔ぶれに、まず、圧倒される。堤清二個人をなしに、セゾン文化は生まれなかったが、セゾン文化自体は様々な思惑を持ったそれぞれが勝手に形成していた、という理解で良いだろうか?
また、企業が営利以外で社会に働きかける事の是非についても考えさせられる。企業が文化活動をする事が、いかに困難を伴うか……。「直接お金を生まないものに対する感情──嫉妬と羨望と軽蔑と憎悪」があった事を指摘する記 -
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とても当たり前だけれども、インタビューをするためには
きちんとした「準備」が非常に大事。
相手のことを知っておくことや想定する質問内容を
作っておくことはもちろん、インタビュー自体の
「目的」と「アウトプット」を明確にしておくこと。
どんな媒体に、何を達成するために、どれくらいの
分量で載るのか。それが整理されていなければ
良いインタビューは出来ない。
インタビューはあくまでも、アウトプットを作るための
一つの手段でしかない。
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インタビュアーの力量が試されるのは、話が本論から
逸脱した時。筆者は「ジャズに切り替わる瞬間」と呼ぶ。
自分の持っている教養、対話力、価値観、 -
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Posted by ブクログ
発行部数の増加→1冊あたりの販売部数の低下→返品率の増加(4割)
出版社は納品数より返品数が多くなる事態を避けるため、納品数(新刊数)を増やす→→本の短命化(1冊の本が書店に並ぶ時間が4分の1に)
出版社が本の内容の良さを保障していないことが問題
漫画誌→ネットへ→出版社が楽になる
インターネット=無料・おもしろい
→コンテンツを作るプロと素人の差別化が重要=おもしろさの保障
情報の無料化について考える
→自分の会社に利益をどうやって出させるか
無料=多くの人に見てもらえる、読んでもらえる手段
値段と情報流通の関係
フリーペーパー=消費者の値段の感覚を変える?→本の首を絞める? -
Posted by ブクログ
80年代後半からセゾン文化の崩壊は始まっていたとはいうものの、90年代前半学生だった自分は六本木WAVEでバイトをし、シネヴィヴィアンで映画を観、足繁くリブロに通うことでこれまでに経験したことのない何かを確実に吸収した。その時はまったく意識していなかったが、そういう意味で自分もセゾン文化の影響を受けた一人だ。
HMV渋谷の閉店、ミニシアターの相次ぐ閉館、電子書籍の登場による出版・書店への影響が叫ばれる一方で新たな個性を持つ書店が現れていることなど最近の出来事は大きな環境変化下のこととはいえ、何かセゾン文化の終焉の延長および再生のような気がしてならない。(とは大袈裟かもしれないけど、HMV渋谷閉 -
Posted by ブクログ
ネタバレセゾン美術館付属の書店で働いていた永江朗が書いた自分とセゾンの歴史。バブルの象徴ともみなされ、ニューアカブームなどもあり80年代を席巻した西武の文化事業を内部で働いている人間の視点から、関係者の証言を得て書いている。非常に多くの人間が登場するが、趣旨としては堤清二、パルコの創設者・、西武ニューアートの創設者・の三角関係で西武文化事業が生まれたとの見解。最後は堤清二との対談となる構成。確かに清二の古い価値体系を壊し、新しい価値体系を作りだそうとする意欲、権力への反感、卓越した世界観はコメントからも十分に伺いしれる。清二の元に集まったさまざまな人間がいろいろなものを生み出した。それがセゾン文化では