ジョナサン・ホルトのレビュー一覧
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ネタバレ本書はベネチアを舞台に、ベネチア貴族の引きこもり天才ハッカーとアメリカ軍の新人女性士官、情熱的なイタリア人女性警官の1男2女が、国際的な謀略に巻き込まれていくミステリー小説です。
カトリックが禁忌とする女性司祭の死体発見から始まるストーリーは、コソボ紛争をめぐる謀略、戦争犯罪、天才ハッカーが作ったバーチャル・ベネチア・サイト、カルニヴィアへの攻撃といった様々な要素が織り込まれ、これにアクションシーンやら上司との不倫やらが彩りを添えていると言う、
「ネタになるもの、突っ込めるだけ突っ込みました」的な"てんこ盛り"ストーリーでした。
これは本業が広告会社のクリエイティブ・ -
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面白かった。一気に読めた。これは良シリーズの予感。個人的偏見だが、ポケミスってもっと個性的な作品が多くなかったかな? 普通に人気の出そうな三部作をポケミスから出すって違和感ありあり。…てなことも考えながらの読書でした。
『ミレニアム』+『ダ・ヴィンチ・コード』という単純な発想ではあるが、前者ほどヴァイオレンス色はなく、後者ほど宗教色も強くない。事実に基づく歴史的背景に支えられた、完成度の高いサスペンス。
この歴史的背景がかなり堪える。北欧の社会問題にも通ずるので、作中では幾度と目にしてきたつもりだが、やり方が卑劣で冷酷。何でもありの内戦のどさくさに乗じて、アイデンティティーの確立に躍起にな -
Posted by ブクログ
著者はロンドン在住で本作はデビュー作になります。
ポケミスは文庫本より少し背が高く本棚での納まりが悪いので購入は敬遠しがちだったのですが小説の舞台がヴェネチアとの事でなかなかこの地を描いた小説が少ない事とつい最近出張で現地を訪れて事もあって衝動買いしました。
物語は運河で流されたと思われる女性司祭の死体をきっかけに殺人が次々と発生し現地の憲兵と駐アメリカ軍少尉が事件の真相を明らかにするという単純なストーリーですが、舞台のヴェネチアの静かで優雅な雰囲気や事件の背景には国際的な紛争やネット上のバーチャル世界が絡んでおり主人公である二人の女性が陰謀に迫る様は欧州を舞台とした”ダビンチコード”や” -
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イタリアが舞台の、濃~い国際謀略ものアクション・ミステリ。
三部作の二作目です☆
1作目で知り合った憲兵隊の女性大尉カテリーナ。
駐留米軍の少尉ホリーという二人の女性。
くわえて、SNS「カルニヴィア」の創始者ダニエーレ・バルボが再び活躍します。
米軍少佐の娘ミアが誘拐される事件が発生。
憲兵隊の大尉カテリーナは、前作で起きた問題で隊のなかで孤立していましたが、この捜査に加わることに。
ホリーもまた、少佐の家に急行。
軍人の家庭によくある、厳しい仕付けを受けて育った様子に気がつくホリー。
ミアが誘拐されたことに、カルニヴィアでの連絡が関係しているかもしれないと、協力を求められたダニエーレ -
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三部作の完結編。カテリーナ、ダニエーレ、ホリーがそれぞれ自身の過去と対峙し、大きな決断を下すというテーマは完結編にふさわしい。
三者三様のスタートから始まり、後半でひとつの線に繋がるまで、別々の視点でストーリーは進む。歴史的背景とノンフィクション的な内容というのは前二作と同様だが、今回が一番ややこしかったかも。秘密結社という謎めいた組織を糸口にして陰謀の深部に迫っていくのだが、二重三重のからくりがしっかり描いてあるので、それが逆混乱する要因になってしまった。謎解きよりも背景部分での色合いが濃いので、歴史の闇で胃もたれした感が強い。作者ってイギリス人でしたよね? アメリカに対してよく思ってない -
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ハヤカワ・ミステリ創刊 60 周年記念作品ということで、
大いに期待して読み始めた。
実際、途中まではいい感じだったのだが、
ラブロマンスな展開を挟んでこられたあたりから、
ハリウッド映画みたいだなあと感じだし、
全体的に人物の描写が浅く薄っぺらな印象持った。
ドラゴンクエストで村人を片っ端からクリックすると、
皆なんでもしゃべってくれるみたいに、
捜査の過程で皆さん聞かれると簡単にしゃべりすぎ。
ストーリー展開にハリウッド映画的安心感はあるのだろうが、
続きのプロットは気になるが、3 部作の次を読むかどうかは微妙な感じ。
それと巻末解説(?)で、ネタバレ詳細あらすじ必要なのでしょうか?
読後 -
Posted by ブクログ
舞台設定、登場人物の配置、いずれも良好。夢中になって読んだ。カルニヴィアがヴェネツィアを舞台にしたSNSでなかったらもっとつまらない作品に堕していたのでは。
個人的には、色恋要素は不要だったかも。ただ、全体的にそれが人間を描く一つの通奏低音として要素化されているのは事実。
続編に期待!!
追記
本作を機に、海外ミステリにはまり、かなり色々読んでみたが、振り返ると本作の平板さが目立つ。夢中にさせる本であったことは事実だが、薄っぺらく、やはり色恋沙汰はもっと別の書き方があったように思う。
売れる本であることは事実だろうが、深みがないのもまた事実。
そういう意味でも次作に期待したい。